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異世界忍者はナリユキまかせ  作者: 宗谷ソヤナー
第3章 平穏な日々
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第46話 ベルファの挑戦

 ドンドンドン! ドンドンドン!


 …………な、何だ? この音は…………?


「目を覚ますのよナリユキ! 起きろってば!」


 ベルファの声だ。ドアの外から聞こえてくる。オレは慌てて、その場で跳び起きた。さっきの騒音は、ドアを叩く音だ。


「ふあ~、何の用だよ。今日は休みのハズじゃないのか?」


 オレは、あくびをしながらドアを開けた。見ると、ベルファが鬼の形相でオレを睨んでいた……一気に目が覚めた。


「あたしは今日、大事な用ができたのよ! 奴隷のあんたも、あたしについて来なさい! わかったわね!?」

「な、何だよ、大事な用って……」

「口答えするな! さっさとついて来るのよ!」


 完全に取り付くシマもない。オレは諦めて、ベルファについて行く事にした。どこへ行く気だ?



 ベルファとオレは、王都の繁華街を歩いて行く。通りのあちこちに店が立ち並び、まだ朝だというのに賑やかだ。

 そして、その中心部に大きな建物があった。冒険者ギルドと同じくらいデカい。ベルファは、その入口で立ち止まった。

 

「ベルファ、この建物に用があるのか? この店は何だ?」

「ここは、この国で唯一のカジノよ! くっくっくっ……今日こそは、今までの負け分を全部取り返してやるわ!」

「ええええっ!?」


 大事な用って何かと思ったら、ギャンブルかよ!? しかも、今までの負け分を取り返すって、完全にギャンブル依存症の発言だよ! アホのオレでもわかるよ!


「さあ、行くわよナリユキ! あんたは、しっかりあたしのサポートをするのよ!」


 ベルファはそう言って、敢然と建物の中へ入って行く。オレは慌てて後を追ったが、中を見て絶句した。

 内部は、豪華な飾り付けが施されていた。床には、赤い絨毯が敷き詰められ、ルーレットやスロットマシン、トランプゲーム用の卓などが整然と並んでいた……異世界にも、こんな娯楽施設があるのか……。


「よし、この台がいいわね」


 ベルファは、1台のスロットマシンの前で立ち止まり、懐から財布を取り出した。凄いな、こんなマシンを作る技術があったとは…………。

 ベルファは財布から銅貨を取り出して、次々とマシンに投入していく。慣れた手つきで…………怖いよ。

 

「レディー……ゴー!」


 自らかけ声を発して、スロットのレバーを勢いよく下げるベルファ。

 やべえ! ベルファの瞳の奥にメラメラと炎が燃えてるよ!


「ほら、これ! 両替してきて! パクッたら殺すわよ!?」


 ベルファが突然、オレに金貨を差し出してきた。これじゃ、完全にパシリだ。やれやれ…………。

 オレは金貨を持ってカウンターへ行き、ディーラーに銅貨100枚と交換してもらう。枚数が多いので、カウンターの脇に置いてあったカゴの中へ入れて運び始めた。

 まだ午前中だというのに、結構客が多いな……よし、あの柱を曲がれば、ベルファがいるハズだ。

 曲がろうとした、その瞬間だった。


 ガツン!

 

 突然、柱の陰から誰かが出て来て、オレにぶつかった。

 

 ガシャガシャガシャンッ!


 銅貨の山がカゴの中で激しい音を立てる。あ、危ねえ……。

 もう少しで、転倒して銅貨をバラまくところだったぜ……。


「何じゃ、おぬし! しっかり前を見んか!」


 ぶつかった相手に怒鳴られた。「それはアンタも同じだろ!」と言い返そうとして、相手の姿を見た途端、ハッとした。

 茶髪だけど白髪交じりの初老の男。服装はややみすぼらしいが、鼻の下とあごの下に生えたヒゲだけは妙に立派だ。そして、この顔はどこかで見た事があるような気がする……。

 この男…………誰だ?


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