表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界忍者はナリユキまかせ  作者: 宗谷ソヤナー
第3章 平穏な日々
41/105

第41話 奴隷はツラいよ

 救世主として異世界に転移したオレは、わずか14日で3人の女子の奴隷に成り下がっていた。

 まったく、酷い話だよ。とほほ……。


 西の塔で魔王軍が所持する秘密兵器の奪取に失敗したオレ、ユリカ、エアリス、ベルファの4人は、その日の夜に王都ザリザクの冒険者ギルドへ戻って来た。

 オレたちは、受付嬢のライムに西の塔であった出来事を包み隠さず説明した。魔王軍の四天王が秘密兵器を持ち去ってしまった事も含めて。

 戦利品の巨大な剣は、ライムへ渡した。オレが使えないワケでも無いのだが、いかんせんデカすぎて持ち歩くには不便すぎる。

 ライムは、オレたちの話を聞きながら熱心にメモを取っていた。

 本当にマジメな子だ。


「わかりました。今回の件は、明朝に私がギルドマスターへ報告しておきます。明日のお昼過ぎに、皆さんでまた受付へいらしてください。本当に、お疲れ様でした」


 ライムはそう言って、ペコリと頭を下げた。

 そして、エアリスとベルファの2人を『チームナリユキ』へ編入させる手続きを行い、冒険者ギルドの隣にあるオレとユリカのアジトで一緒に暮らす事になったのだが。


「さあ! 今夜は新しい『チームナリユキ』の結成を記念して、パーッとお祝いしちゃうよ~☆」


 ハジけるようにテンションの高いユリカの提案により、冒険者ギルドの座席の一角で派手なパーティーが行われる事になった。


「ぷはーっ! 仕事の後の一杯はサイコーだわ!」


 ベルファは20歳なので、ガンガン酒を飲んでいる。飲み過ぎは体に悪いだろうと思って、少し自重するよう忠告したのだが。


「何言ってんの!? あんたは奴隷なんだから、あたしの介抱まで責任持ってやるのよ! 口答えするな!」


 これだよ。オレはチームのリーダーのハズなのに……。

 一方、ユリカとエアリスはガツガツと料理を平らげている。君たち女の子だろ……? 太る心配とか、しなくていいの?

 

 そんなワケで、パーティーは夜遅くまで続いた。オレは、3人の注文を取りまとめるだけでなく、料理や酒を2階の厨房から1階のテーブル席まで運ぶ役までやらされた。店員じゃないのに……。

 最後は、べろんべろんに酔っ払ったベルファを、エアリスと2人がかりで両わきから腕を抱えてアジトまで連れて行った。

 食事の味? 全然覚えてないよ!


 アジトへ戻ってからも、悲惨だった。

 オレのベッドが取り上げられてしまったのだ。

 アジトの中の部屋は2つだけ。ユリカの部屋は広めで、元々ベッドが2つ並んでいたのだが、オレの部屋には1つしかない。


「あたしたちの誰かを、床で寝させるつもりなの!? 奴隷のあんたが、床で寝るのよ!」


 ベルファの一声で、オレは重いベッドをユリカの部屋へ運び込んだ。


「すまない、ナリユキ」

「ナリユキ君、ごめんね~?」


 エアリスとユリカは同情してくれたが、何の慰めにもなっていない。

 つ、疲れた…………散々な一日だった…………。

 オレは、ベッドを運び終えて自分の部屋に戻ると、そのまま床に突っ伏して眠りこけてしまった。部屋の鍵もかけずに。


 ああ、以前オレが開けてしまった壁の穴は、持っていたガムテープで両側から塞いでおいたよ……あんなのをベルファに見つかったら、殺されてしまうところだ……危ない危ない…………。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ