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異世界忍者はナリユキまかせ  作者: 宗谷ソヤナー
第2章 クエスト攻略戦
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第37話 重傷のエアリス

「あっ、あそこにエアリスの足が見えるよ! わかる? ナリユキ君!?」


 ユリカが指差す方向を見ると、瓦礫の下からエアリスの右足がはみ出ているのに気がついた。オレは瓦礫を避けながら、エアリスの元まで歩いた。


「よいしょっ……」


 エアリスの上に乗っている瓦礫をどける。


 ズズーン!


 大きな重低音を立てて、瓦礫はエアリスから離れた。

 しかし、エアリスは酷い傷を負っていた。体のあちこちから流血している。オレは、ゆっくりとエアリスの体を持ち上げて反転させ、あお向けにさせた。エアリスの体の下に、ベルファの体があった。


「う……ぐ……あぁ…………」


 エアリスは、苦しそうに呻いた。良かった、まだ息がある。

 そこへ、追って来たユリカが声をかける。


「エアリス。今、回復魔法をかけてあげるのね!」


 エアリスのそばに寄り、右手をかざすユリカ。しかし。


「ま、待ちなさいよ……!」


 ベルファが目を覚まし、その場で杖を立ててしがみつきながら立ち上がろうとしていた。


「ベルファ! あなたも足をケガしてるじゃない! ちょっと待ってて。エアリスを直したら、あなたも手当てしてあげるから!」


 ユリカの言う通りだった。ベルファの左足から、血がポタポタとしたたり落ちている。相当痛そうに見えたが、それでもベルファは立ち上がった。


「冗談じゃないわ! ヤツらが消えたのなら、あたしはナリユキを殺す!」

「何を言ってるんだ! オレよりお前の方が酷いケガをしているじゃないか。そんな体で戦うつもりなのか?」


 オレはベルファを止めようとした。これ以上の争いは無意味だ。


「う、うるさい……あたしは誰の助けもいらないわ……エアリス、あんたもバカよね! 大バカだわ! あたしに構わず、一人でさっさと下の階へ逃げれば良かったものを…………!」


 吐き捨てるように叫ぶベルファ。


 パアンッ!


 その時、乾いた音が響き渡った。


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