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異世界忍者はナリユキまかせ  作者: 宗谷ソヤナー
第2章 クエスト攻略戦
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第21話 初めての冒険者ギルド

 冒険者ギルドは、3階建ての立派な建物だった。オレはユリカに連れられて中に入ったのだが、これが広い! 1階には冒険者たちが食事や打ち合わせができるようにテーブルと椅子がたくさん並び、奥にはギルドの受付窓口が設置されていた。2階は厨房と資料室、3階は職員たちが寝泊りするための部屋があるらしい。既に中には10人くらいの冒険者たちがいた。

 

「やっほ~、ライムちゃ~ん。 ナリユキ君を連れてきたよ~」

「あっ! ようこそ! ユリカさんにナリユキさん! 登録に来てくれたんですね!」


 パッと顔を輝かせる青髪ツインテールのライム。日本だったら、まだ中学生くらいの年齢だろう。接客態度がしっかりしてて、偉い子だなあ。

 しかし、そんなライムに対して下卑た笑いを浮かべるユリカ。


「もちろんだよ~。それより、ナリユキ君の紹介料の件はどうなったのかな~? でへへへ~♪」

「あ、マスターの許可をもらいました。今、お渡ししますね!」


 ユリカの不気味さに若干引きながらも、机の引き出しからコインを出してユリカに手渡すライム。

 オレがのぞくと、ユリカの手のひらに銀貨が3枚乗っていた。


「ええ~っ!? たったの30エルド!? ちょっと少なくな~い?」


 ユリカが渋い顔をする。ちなみにエルドというのは、この国の通貨単位で、1エルドでドーナツが1個買えるらしい。1エルドを日本円に換算すると、だいたい100円くらいだろうか。


「まあいいか……無いよりはマシだし。じゃあ、ナリユキ君を登録しよう!」


 気を取り直したユリカが宣言する。そこで、ライムはにっこりほほ笑んで、

 

「既にエルディア姫の遣いの人が来て、お話をうかがっています。ナリユキさんは、忍者で登録するようにと」


と言った……ああ、やっぱり忍者でいいのね、オレ。

 オレは、登録用紙にペンで必要事項を記入していく。名前、年齢、住所、職業……これだけ? 意外と書くことが少ないな。


「ユリカ、オレたちのアジトの住所を教えてくれ」


 ユリカに頼んだら、コイツはオレのペンを取って何のためらいもなく『冒険者ギルドの隣の家』と書きやがった。そのまんまじゃねーか! そんなのオレでも書けるわ! これでホントに通用するのか!?


「書けましたね。それでは次にユリカさんとナリユキさんのパーティー登録をします。パーティー名はどうしますか?」

「まあ『チームナリユキ』でいいんじゃない?」


 ライムの問いにユリカが即答した。この女、ホントに頭を使わないな……悪知恵だけは働くけど。

 ライムは言われた通り、登録用紙にサラサラと記入して、


「はい、これで完了です。これで2人は『チームナリユキ』として最低ランクのクエストにチャレンジできることになりました。クエストの選択については、そこの掲示板に依頼書が貼ってあるので、ランクと内容をしっかり確認してから受付へ申し出てください」


と説明してくれた。そうか、やっぱりクエストの内容にABCとかランクがあるのか……いくつランクがあるんだろう?


「ちょっとライム。ランクの制度について、詳しく教えてくれないか?」


 オレの問いに、ライムは「そうでしたね」とうなずいて、説明を始めた……のだが。


「ランクは難易度別に3つに分けられています」

「えっ、たった3つしかないの!?」

「はい。難易度の高い方から順に、松ランク、竹ランク、梅ランクに分かれています。『チームナリユキ』は梅ランクのパーティーになりますね」

「なんなんだ、その和風テイストなネーミングは!? ここは寿司屋か!? そもそも、この異世界に松竹梅が存在するのか!?」


 全力でツッコんだ。ライムは少し困った顔をしながら答えた。


「実は200年前、ザナトス王国が建国した時にハチベエという伝説の忍者がこのギルドを創設したと伝えられていて……ランクの名前を決めたのも彼だとか」

「謎は全て解けた!」


 あの日本人がこのギルドを建てた張本人か!


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