第19話 異世界の食堂
オレとユリカは、城内の預り所でリュックを回収し、衛兵や文官たちが利用する共同食堂へ行った。
異世界なので、どんなゲテモノ料理が出てくるのかと内心ビビッていたのだが、意外にも出てきたのはロールパンに骨付きフライドチキンにサラダにクリームスープと、元の世界の洋食と大して変わらなくてホッとした。
「いや~、ナリユキ君ってば、耳まで真っ赤になっててケッサクだったよ~。隣で笑いをこらえるのに苦労したんだから~。ぷーくすくす!」
ユリカがスープをすすりながら、下品に笑う。その笑い方やめてくれ、イラッとするから。
「そんなこと、どうでもいいだろ。それより、これからどう動くべきか、決めておくべきなんじゃないのか?」
計画を立てずに動き回っても、骨折り損のくたびれ儲けだ。無知なオレでも、それくらいは予想できる。
「そうだね~。まあ、今日は新しい家でゆっくり休んで、明日は予定通り冒険者ギルドでナリユキ君を登録してからクエストを選べばいいんじゃないかな~?」
「今日は、いろいろあって疲れたからな。動き始めるのは、明日からでいいさ。宿代もかからないし」
夕食を済ませて城を出ると、既に日が沈んで真っ暗になっていた。
オレはユリカに連れられて、冒険者ギルドの隣にある空き家へ向かった。空き家は平屋建てで1階しかなく、こぢんまりとした広さだったが、部屋はちゃんと2つあり、鍵まで付いていた。
「まあ、これなら変なマチガイは起こらないね~。ナリユキ君、いくら私が魅力的だからって、変なコトしたらダメだよ~?」
「するかッ! 誰がお前なんかに!」
余計なお世話だ。だいたいオレは姫様一筋だというのに……。
最後に、ユリカと一緒に近くの公衆浴場へ行き、今日の汗と汚れを洗い落とした。「異世界の銭湯って、ひょっとしたら混浴かも?」と淡い期待をしていたのだが、しっかり男女別に分かれていて、全然そんなことは無かったぜ!
オレは風呂から出たら一気に眠気が襲ってきて、家に着いて部屋に入ると鍵もかけずにそのままベッドへ倒れ込んで眠ってしまった。