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異世界忍者はナリユキまかせ  作者: 宗谷ソヤナー
第1章 異世界忍者、現る
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第16話 新たなる野望

 エルディア姫の講義の内容をまとめると、ざっとこんな感じだった。


 まずは歴史について。

 約200年前、ザナトス王国はリーデシア大陸全土を統一した。しかし、約100年前に王国内で激しい内乱が起こり、ザナトス王国が分裂してしまった。さらに、人間同士がいがみ合っている隙をつくかのように、リーデシア大陸の西の果てから多数のモンスターが襲来してきた。

 今や、大陸の西部は人間の住めないモンスターの巣窟となっており、ザナトス王国自体も大陸全土の30分の1以下まで国土を縮小してしまったのだという。分裂に次ぐ分裂によって、人間による国家はザナトス王国を含めて9つほどになったらしい。


「今のままでは、私たち人類はモンスターを率いる魔王によって滅ぼされてしまうでしょう。それは絶対に避けなければなりません」


 エルディア姫は、沈痛な面持ちでそう締めくくった。



 次は地理について。

 今、オレたちがいるザナトス王国に隣接する国は4つあり、エルディア姫の話では、とりあえずこの4つの国さえ頭に入れておけば問題ないという。

 ザナトス王国の南に位置するリューズ帝国は、人間による国家の中で最も強大な軍事力を持っているらしい。この国と戦争するようなことがあれば、ザナトス王国はおそらく滅亡してしまうので、外交面では最も神経をすり減らす相手だそうだ。

 ザナトス王国に西にはウェルゼナ王国。この国は、モンスターの巣窟となっているエリアに隣接しているため、ザナトス王国よりはるかに多くモンスターの襲撃を受けている。エルディア姫としては、できるだけ早く、この国を援護したい考えのようだ。

 他に、北に隣接するノーブル王国と、東に隣接するイグリック王国があるが、両方とも過去に戦争をしたことがあり、今もこの2つの国との関係はあまりよくないらしい。

 

「我が国を含めて、どの国も自分の国を維持するので精一杯なのです。だからこそ、各国と同盟を結び、手を取り合って魔族に立ち向かわなければなりません。本当の平和を手にするために」


 エルディア姫は、そう言って決意の表情を浮かべた。本当にその通りだと思った。



 その次は宗教について。

 ザナトス王国では、フェリオ教が国教に指定されている。オレがあったフェリオは、慈愛を司る女神で、この大陸には他にも神様が存在しているらしい。他にどんな神様がいるのかオレは気になったのだが、エルディア姫としては他の宗教に興味を持ってほしくないらしく、教えてもらえなかった……まあいいんだけど、あの軽いノリの女神を信じても大丈夫なのかなあ?



 さらに講義はザナトス王国の国内の件へと続く。

 ザナトス王国の人口は約10万人。今、オレたちがいる王城は、首都ザリザクの中心部に位置している。現在の国王は、エルディア姫の父親であるザリウス13世。王妃は5年前に病気で亡くなっており、国王の血を引く者は第一王女であるエルディア姫と、第二王女のメリーナ姫のみ。メリーナ姫はまだ9歳なので、政治はとても無理だ。国王は政治に全く関心がないため、実質的な政治はエルディア姫がほとんど執り行っている状況だ。国王ひでえ!


 ……ん、待てよ?

 王女が2人だけで王子がいないってことは、もしエルディア姫と結婚できればオレが次期国王になれるんじゃね!?

 さすがにそのことは口に出せなかったが、オレの体の中で野望の炎がメラメラと燃え上がった。これはチャンス! オレはこの姫様に尽くして、姫様と次期国王の座をゲットするぜ!

 

「わかりました、エルディア姫。このナリユキ、精一杯がんばりますッ!」


 オレはその場に片膝をついて頭を下げ、臣下の礼を取った。女神フェリオから何か頼まれていたハズだったが、とりあえずどうでもいい。エルディア姫の願いが最優先事項だ。


「ありがとうございます、ナリユキさん。それでは任務の話をしましょう」


 エルディア姫は、にっこりと微笑みながら……衝撃的な発言をした。


「単刀直入に言います。あなたに、ニンジャになっていただきたいのです」

「な、な、なに…………に、忍者…………!?」


 この異世界に、忍者が存在するのか!?


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