第13話 国王は行方不明?
オレとユリカが王城の入口へ戻って来ると、大勢の衛兵たちが歓声とともに拍手で出迎えてくれた。200人くらいいるんじゃないだろうか? 凄い人数だ。
その中央にいた鉄製の鎧に身を包んだ男が、
「やあ、君の活躍は聞いているよ。よくやってくれた!」
と、右手を差し出してきた。オレも「どうも」と右手を出して握手を交わした。鍛え上げられた、分厚い手だった。歳は40歳くらいだろうか。
「俺は騎士団長のデボルドだ。ここ最近、魔物が頻繁に街の内部まで攻めてくるようになって、手を焼いていたのだ」
「ま、まあ、大した敵じゃなかったですよ、今回は。ははははは」
強がってはいるが、街の中にモンスターが度々攻めてくると言われると、冷静ではいられない。今回は、たまたま上手くいっただけだという自覚はあったし、やっぱり戦いたくはないのだ。
「ねえ団長? 今、王様いるかしら?」
そんなオレの緊張感をブッ壊すかのように、ユリカが問いかける。それに対して、グライツは頭をボリボリと掻きながら、
「それがな……ゴブリンを撃退したとわかった途端に、姿を消してしまわれてな……おそらく城の裏口から街へ出て行ったと思うのだが、本当に困ったお方だよ」
と、苦々しい顔をして言った。国王なのに、勝手に出かけたのか? まさか、誘拐されたとかじゃないよな?
「え~っ? じゃあ、どこにいるか……わからないの?」
ユリカも困った顔をする。まあオレは、姫様にお会いできればそれでいいのだが……国王が行方不明と言われては、さすがにちょっと不安になる。国王って、姫様の父親だろうし。
「今、ターバル参謀が国王を探しに行っている。たぶん、街のどこかで遊んでいるのだろうが……まったく迷惑な話だ」
えええ!? 国王は遊んでるの? 大丈夫なのか、この国……。
「仕方ないのね。それなら、まずエルディア姫に挨拶してくるのね~」
「そうか。俺たち騎士団は、これから街の復旧作業に行く。くれぐれも、姫に対して失礼のないようにな」
オレとユリカはデボルドと別れ、城内へ入って行った。