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異世界忍者はナリユキまかせ  作者: 宗谷ソヤナー
第5章 怪盗との対決
105/105

第105話 後日談

 オレたちの活躍によって、怪盗ダナシャスは逮捕され、ヤツに奪われた金品や財宝の類はそれぞれの持ち主の手元へ無事に戻ってきた。

 後で分かったことだが、ダナシャス自身は盗んだお宝を自室へ並べて鑑賞するのが楽しみだったらしく、国外で売って儲けるようなことはしていなかったらしい。

 そして、ダナシャス本人は死刑にはならなかったものの、懲役30年という重い刑を科せられた。40代という年齢を考えれば、ほとんど無期懲役に等しい。

 

「報酬もたくさんもらえて、しばらく休暇も取れるなんて、ホントに最高なのね!」


 ユリカがウキウキ顔でくるくると回りながら先頭を歩いて行く。今日はダナシャスを逮捕した日の3日後だ。これから王城へ行って姫様へ謁見し、任務の報告をする予定なのだが……。

 オレたち4人の中で、浮かれているのはユリカだけだった。

 エアリスとベルファの2人は、暗く沈んだ表情をしている。

 無理もなかった。


「なぜ! なぜ、ダナシャスが自首したことになっているんだよ! 事実と全然違うじゃないか!」


 オレたちがダナシャスを捕まえた翌日、冒険者ギルドへ報告に行ったところ、オレたちのクエスト成功は無かったことになっており、しかもダナシャスが自首したことに改変されていたのだ。その報告を受付嬢のライムから聞いたエアリスは、彼女につかみかからんばかりの勢いで問い詰めた。


「すまん! 君たちの活躍については伏せるように、姫様から内々に頼まれていたのだ! 多忙だったとは言え、事前にワシから説明せずに、本当にすまなかった! どうか許してくれ!」


 ギルドマスターのガルフは、そう言って深々と頭を下げた。そしてオレたちが逮捕した事実を伏せる代わりに、報酬を3割ほど上乗せすることでどうにか合意にこぎつけたのだった。


「いったい、あたしたちって、何やってんだろ……」


 ベルファが道に転がっている小石を蹴飛ばした。今回、推理と魔法で一番活躍したのは彼女だというのに……。


「せっかくクエストを成功させたのに、このままじゃボクの気持ちがおさまらないよ! エルディア姫に相談しよう!」


 エアリスが、握りこぶしを作って力強く上を向いた。オレには、2人の気持ちが痛いほどよくわかった。だけど、実際には2人を励ますことすらできず、心の中でもどかしさだけが残っていた。



 オレたちはそのまま歩いて王城に入ると、廊下でバッタリとレゼルブに出会った。だが、事件は解決したはずなのに、彼の顔色が悪い……なぜだ?


「やあ、君たちか。先日は本当に世話になった。あらためて礼を言う。ありがとう」


レゼルブは、そう言って頭を下げた。


「その節は、どうも。これからエルディア姫にお会いする予定なのですが、仕事部屋にいらっしゃるのでしょうか?」


 オレも頭を下げながら、レゼルブに尋ねた。すると……。


「残念だが、エルディア姫は昨日、突然の病で倒れられたのだ。今は、病室で静養している。もちろん、命に別状は無いのだが、回復されるまでは面会謝絶だな。今日は諦めてくれ」


 衝撃的な発言だった。


「そ、そんな……」


 オレは、その場でへたり込みそうなほどのショックに見舞われた。オレ……いや、オレたちの心の支えだったエルディア姫が倒れてしまうなんて……!


 そして、その出来事によってオレたち4人で結成された『チームナリユキ』は、瓦解する危機を迎えることになる。


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