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日本連邦共和国  作者: トースト
第2章
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とある魔法帝国兵士のお話 前編

フランス某所 地中


簡易魔灯アルテを手に持ち周りを照らしながら、グラニにが掘りぬいた少し湿った土のトンネルをゆっくりと進む。上から時々水滴が落ちてきており、水脈は近いことがわかる。6mほど先で穴を掘り続けているグラニがもし水脈を掘り当ててしまった時すぐに水を凝固させるため、隊唯一の魔術師免許を持っているカイルが一番先頭で待機している。


とはいえ度重なる訓練によりグラニは水脈が近いことに気づくとよけて掘り進めてくれるので水脈とぶつかるということはめったにない。このイノシシを2周りほど大きくしたこのモグラのような生物グラニは土を掘るのが上手く、極めて温厚な性格なため扱いやすく通路や基地の建設など魔法帝国の地下での行動を支えている存在である。


今回の我々第106中隊に命じられた敵地攻撃任務でもグラニは地上からでは絶対に接近できない敵重要施設まで安全に近づける地下通路作ってくれており、ほんとに役に立つ存在である。


さすがに目的の敵施設まで近づくと、かなり地盤がしっかりしてるようでグラニ掘ることに苦戦してるようではあるが、鉄をも溶かせる胃液を使ってゆっくり確実に道を作ってくれた。


それから数分するとグラニは掘ることをやめ、その場でぐるぐると回り始めた。敵拠点の下にまで着いたようだ。


地上に上がってすぐ敵兵に見つかることを防ぐため望鏡を取り出して地上の様子を伺う。地中から安全に地上の見るために設計されたこの潜望鏡は先端がドリルのようになっている。このドリルが勢い良く回ることで楽に潜望鏡を地上まで出すことができるのだ。潜望鏡が地上に出たことがわかると、ドリルを止め敵兵の有無の確認を行った。


潜望鏡が出たところは敵基地の中庭のような場所であり周りを確認すると30mほど先にのんびり談笑している2人の兵士を確認できた。安全を確保するため、狙撃銃トリンチケットを取り出す。この銃は地中から地上の目標を攻撃できるように、潜望鏡と同じようなドリルが先端に取り付けられており、銃口だけを地上に出して目標を狙撃することが可能である。通常時は直径30cmほどの太い筒であり、かなり重い。


二つの狙撃中から打ち出された弾丸は敵兵の急所を打ち抜き、敵兵は何も発することなく倒れ落ちる。


安全を確保できたため疲れ切り休んでいたグラニにもうひと踏ん張りだと背中に手を当て、地上まで穴を掘ってもらう。しばらくして人1人分が通れる穴が完成したため後ろにいる部隊員にも見えるように無言で手を高く挙げ作戦開始の合図を告げた。


狭い通路を次々と兵士が通り抜け地上へと上がっていく。暗い地中からの明るい地上にでるとまぶしくてしばらく行動できないものだが、遮光グラスを付けているため問題ない。


1個中隊196名は中庭正面にある施設内で一番大きい建物の確保を狙う。頑丈な鉄の扉を魔導砲で破壊し突撃を行う。建物内には60名以上の敵兵がいたがほとんどのものが戦闘態勢ではなく、ごく少数の武器を持った敵兵は速やかに排除を行う。


民間人と大差ない格好の敵兵が多く、それらの兵士ははやばやと抵抗をあきらていた。適当な部屋に押し込むことにしよう。


我々の任務は敵地攻撃任務であるが、まともな航空支援受けられないこと事前に知らされておりある種敵地で行うゲリラ戦のようなものであった。そのため明確な目標は決められておらず、漠然と敵兵が多かったら軽く戦闘を行い威力偵察程度にとどめるつもりだったが運がいい建物の大きさと比べると敵兵がかなり少ない。


敵兵が気づいて、この建物に攻撃してくるまでまだ時間があると思ったので中隊に建物内にあるめぼしい書類,機械,兵器を持ち出すことを命じる。処分されてるものも多そうだが奇襲だったため敵軍は完全には処分できていないようであった。


何かいいものはないかといくつかの部屋をめぐっていると30人近くが使えそうな大きな机のある会議室を発見した。机の上は飲み物や書類が散在しており、先ほどまで会議をしていたようだ。


有用そうな書類だらけなので、部下を呼びこれらの書類を持ち帰るようにと命令する。大きな灰色の袋を持ち次々と書類を突っ込んでいる中、俺は会議机の中央に置かれていた一冊の分厚い灰色の本を手に取る。


文字はよくわからないが開いてすぐに地図だと分かった。それも軍が配っているものよりもずっと精巧なものだ。地図といぬおは敵国を知る上で極めて重要なものだ。なぜ破棄されていなかった疑問だが、まあそれはいい。手持ちの袋に地図を入れこの会議室を後にする。


めぼしいものはないか別の部屋であさっていたところ、建物外に敵軍が集結してきており敵航空機械もいると急報が入る。まだ突入してから15分程度しかたっていないのにもう敵軍が来ているのは予想外だ。ずいぶん優秀な通信設備を持っているのだろう。歩兵だけなら強行突破も考えたがあの空中で浮遊している航空機械はまずい。ああいう兵器は対人能力が極めて高いことが多いことが経験が教えてくれている。


すぐ地中にいる待機組に連絡し、脱出口はまだできないかと聞いてが、この建物は思った以上にしっかりしたつくりらしく予備のグラニも動員して掘らさせているがまだ時間がかかるから耐えろだと。


外の敵軍は時間がたつごとに増えてくるが、いまだ攻撃してくる気配がない。中の兵士が人質に取られていると思っているのだろうか。それとも周りを包囲すれば脱出することはできないからじっくり攻めればいいと高を括っているののだろうか。まあどちらでもいい。敵が攻撃してこないのならこちらも敵を刺激しないでじっとするか。


建物の中と外で両軍がにらみ合って15分ほど脱出口が完成した。敵軍に気づかれないよう静かにこれから撤退すると伝える。負傷者から撤退開始し、全員撤退が成功したことを確認するとモグラに脱出口に土をかぶせ簡単に封鎖させた。


撤退してから数分経つと建物が崩壊しがれき轟音が響いてきた。事前にセットしていた時限爆弾が爆発したようだ。うまく脱出口は隠せてたらいんだが。


結局敵が追いかけてくることなく2時間近く歩き続け、無事に自拠点バルツハルム要塞に戻ることを成功した。



おまけ 簡易魔灯アルテ解説


アルテはテントや寝袋など主にレジャー用品を生産,販売しているアッパース社が1年前に発売したものの軍用版であり、市販されているものよりも耐久性が高い。数か月前から配備されはじめアルテはポケットに入る手軽さやどれだけ砂をかぶったとしても壊れることのない丈夫さがかなり兵士から好評である。






読んでいただきありがとうございます。


今回の話はほぼ会話のない1人称だったのですがどうですかね。自分は結構書いてて楽しかったです。


お知らせですが第1章にあった歴史の話はすべて削除し日本連邦共和国設定資料https://ncode.syosetu.com/n8753hs/に移しました。

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