新たな一歩
12月25日トリエステ帝国の全面降伏。準列強のトリエステ帝国が新興国の日本連邦に負けたことはパーク大陸中の国家に衝撃を与えた。
帝国が日本連邦に劣勢であったことは伝えられていたが、やはり軍事大国がたった数か月で全面降伏するとはどの国も思っていなかったのだ。
そしてトリエステ帝国に観戦武官を派遣していた国は自衛隊の強力さを知ることになった。
講和会議
和平交渉は日本連邦共和国首都,東京で行われた。出席国は当事国の日本連邦,グルーセン王国,トリエステ帝国に加え出雲国がオブザーバ国家として招待された。
列強国を含むいくつかのパーク大陸国家や地球国家がオブザーバー国家として参加を求めたが、日本連邦はやんわりと拒否した。
日本国旗が掲げられた旅客船から一人の男が港に降り立つ。今の時代には珍しい絹できたヨーロッパの貴族のような服装である。周りには幾人の自衛官によって囲まれており男が重要人物であることがうかがえる
「我々はこんな国と戦っていたのか」周りの自衛官にも聞こえないような小さな声をつぶやく。
彼の名はアルベルト・シュタイン、トリエステ帝国全権大使である。彼は講和会議の代表になるような立場ではなかったが今戦争で外務局の何人もの上官が責任をとり消えていったので彼に役が回ってきたのだ。
元々彼は侵略戦争ばかりする政府に飽き飽きしていたのだが、こうして母国が敗戦し他国に母国の運命を握られていることを考えると暗い気持ちになっていた。
日本連邦滞在中アルベルトは彼の母国トリエステ帝国では考えられないぐらい機能的で清潔感あふれるホテルに泊まっていた。そして講和会議当日彼は煙を吐かず、自国のよりもはるかに高性能な鉄道に乗って会議場へと向かう。
「アルベルト大使これが日本連邦,グルーセン王国とトリエステ帝国との講話内容です。よろしいでしょうか」
「はい」アルベルトは静かにうなずく。言いたいことはいろいろとあったが敗戦国の代表であるアルベルトは何一つ言えることはなかった。
講話内容
トリエステ帝国の属国は解放され独立国家となる。トリエステ帝国自身は名をトリエステ国に変え日本連邦の属国となる。
グルーセン王国への謝罪及び賠償金を払うこと。賠償金は日本連邦政府が補填する。
他にもいくつもの条項もあったが割愛する。
トリエステ国首都トリエステ自衛隊によって多くの市民が動員され町の復興作業が行われていた。
「元敵国の兵は帝都トリエステを闊歩してるし我々は奴らが破壊した瓦礫の山の片づけだ。我々の国はどうなるのかね」
一人の市民がシャベルを動かしながらつぶやく。近くにいた普段から仲のいい男が
「とはいっても突然日本兵がやってきて俺らの家族を連れ去らわれるわけでもないし、少なくはない量の食料を供給してもらってるだろ。しかも瓦礫の山を撤去したらここに小学校作るってあそこの兵が言ってだぜ」
向こうで市民と一緒に汗をかきながらシャベルを立ててる兵を指さす。
「それにな帝国の属国に対する扱いを思い出してみろ。こっちのほうがずっとましだろ」
小さな声で言う。
「たしかにな」
約10年前,兵役についていた時彼は駐屯兵として西方の属国で勤務していた。帝国の属国に対する扱いはひどかったことを記憶している。帝国は働き盛りな男たちを強制労働させ、帝国兵が属国民を殴ることはあたりまであり誰も咎めなかった。
「帝国は日本連邦の属国なったけど待遇はそんな悪くないと聞く。意外と今までと変わらないかもな。逆によりいい生活が送れるかもな」
男は満面の笑みを浮かべていた。これからの世の中に大きな希望を抱いてるようであった。
日本連邦の属国になったトリエステ王国は新たな一歩を踏み出していた。
そして日本連邦はパーク大陸内での立場を明らかにしていく。
準列強であるトリエステ帝国を下し属国にした日本連邦は一つの大国として注目されることとなる。
一度はトリエステ帝国属国群を日本連邦を開放したが今まではトリエステ帝国の一部であることである意味平和を維持していた彼らは自力で国を守ることはできなくなっており日本連邦の傘下となることになる。
解放された国家たちには多くの日本連邦の官吏が派遣された。名目上は主権国家であり日本連邦の同盟という立場であったが、実際のところ彼らは結局属国であった。とはいえ日本連邦の元以前よりはよくなることは保障されていた。
ただ正直のところ日本連邦はトリエステ国のインフラをそこまで整えるつもりはなかったが、多くのレアメタルが発掘されたので話は変わることとなる。元々日本大陸では鉄や石油など主要な資源がかなりの量産出していた。ただレアメタルそもそもあまり埋まっておらず環境にも配慮しかなりを中国に頼っていた。戦闘機など精密機械には多くのレアメタルを使用しており仮想敵である中国にレアメタルを握られているのは危険であると叫ばれるようになっていた。そんな中トリエステ国でのレアメタルの産出である。日本連邦は本格的なインフラ敷設を認め多くの企業がトリエステ国に訪れるようになる。
「日本連邦共和国」を読んでくださりありがとうございます。読者様のおかげで途中エタリかけたりしましたが何とか今年いっぱい書き続けることができました。来年の抱負ですが週一投稿と新たな短編の投稿です。来年もよろしくお願いします。いつかブックマーク1000人いきたいな