夢喰いパンダ
悪夢を食べてくれるとされる、伝説の動物、獏。
獏って、実は、ジャイアントパンダのことだったらしいんです。
……マレーバクの立場はどうなるの?
秋の桜子 様より、パンダさんの絵をいただきました。
絵:秋の桜子 様
むか~し、むかし、そのまた、むかし、パンダは夢を食べていた。
こざるの夢をむしゃむしゃ、きつねの夢をむしゃむしゃ、りすの夢もむしゃむしゃ。
森の動物たち、みんなの夢を食べていた。
パンダは、とても、食いしんぼう。
かたっぱしから、むしゃむしゃと、みんなの夢を食べていた。
パンダが、あんまり、たくさんたくさん食べるので、森の動物たちの夢は、だんだん足りなくなっていった。
せっかくすてきな夢を見ても、次の瞬間、食べられて、みんなの夢は、とぎれとぎれ。
朝、目がさめたときに、どんな夢だったのか、だれも、おぼえていられなくなってしまいました。
そこで、森の動物たちは、神様に、そうだんすることにきめました。
「パンダさんは、こわい夢や、いやな夢も食べてくれるから、夢を食べないで、とは思わないんだけど……。」
「パンダさんは、ちょっと、食べるのが、早すぎるんだよね。」
「たまには、せっかく見た夢を、僕も、楽しみたいだけなんだ。」
神様は、森の動物たちのはなしを聞いて、言いました。
「では、夢は、かんたんに食べられないように、かたい入れものに入れるとしよう。」
神様は、パンダに言いました。
「パンダよ、これからは、ゆっくり、よくかんで食べなさい。それから、ちょくせつ、みんなの夢を食べてはいけない。いったん、夢をかたい入れものにしまうから、入れものから出して食べなさい。」
神様は、みんなの夢を、竹の中に入れることにした。
みんなの夢が増えると、竹はぐんぐんと、背をのばします。
ところが、夢が足りなくなると、竹は花をつけ、いっせいに、枯れてしまいます。
パンダは、食べすぎてしまわないように、ゆっくりゆっくり食べるようになりました。
おしまい。
ちゃんと噛んで、ゆっくり食べる。健康の秘訣です!
夢も食べすぎちゃうとダメなのね。