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Case.33『トリックの答え』

「一撃で死なないなら――」


 そう言うと、少年声の男は露骨に何かをカチャカチャし初め、再度何かがチャージされていく。


「……まだ、だな」


 あのシャボン玉、あれを使って攻撃をした訳じゃない。いつも……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。現に、今シャボン玉が出ている訳ではなく、いつも現象が起こった後にシャボン玉が現れている。つまり……これだけである程度絞る事が可能。


「……今だ」


 手袋の遠隔生成。作り上げるのは――


「――チッ! ()()()()()()!」


 読み通り、相手は慌てふためいてチャージを止める。


「クソ――」

「制限時間だ、少年?」


 再度何かを練り直す眼前に突きつけた銃口。散り散りと舞うアルミホイルは、彼の服は付着していき銀色の輝きを放つ。


「もう、終わりだ」

「どうして……」


 放たれた弾は的確にコートの中を貫き――不気味を作り上げた虚像から少年が姿を表す。


「とりあえず、手錠をかけて――っと」


 少年の手首に付けられる手錠、これによってARによる干渉を阻止出来る。過去に手錠だけで慢心した警察が、犯人を取り逃す不祥事が原因で作られた……専用の手錠。

 この手錠はつけられた対象のAR機能を強制的にシャットダウンさせる物で、『コンダクター』も『スーツ』も使えなくなる。まぁ、()()()()()のみが止まるので、早い話が『スモーク』産の違法パーツ等の別製作は止められない。……過去に強制暴走で手錠をかけた人間が、助けてくれと縋りながら違法パーツを振り回し、筋肉がちぎれてボロ雑巾のように死亡した事案もあるので、最近は気絶されるのが主流になっている。


「何で……」

「界面活性剤と増粘剤による、小型爆弾。起爆剤は、電気辺りかな?」

「――っ!」

「硝酸アンモニウムを水溶液にして水相に、ワックス等の油相を界面活性剤を使ってゲル状に混ぜ合わせる、エマルション爆薬」


 水と油を混ぜ、水分を多く含ませる安全な爆薬。それは、爆薬を一歩先へ進ませた発明であり、界面活性剤はそれを繋ぐ役目。……言ってしまえば爆発するマヨネーズだ。


「そして、同じく含水爆薬のスラリー爆薬。それには増粘剤を使って、粘度を同じにしている」


 こっちは水に硝酸アンモニウム等の物をぶち込んだドロドロの液体。どちらもニトロ等の鋭感剤を一切使わない事から、誤爆を防ぎやすい利点が存在している。だからこそ、安全な爆薬。


「どうやって入手したのかは……まぁ、ほぼ『スモーク』だろうけど」

「……馬鹿だと思ったのに」


 流石に爆薬の元である硝酸アンモニウムは、流石に色んな方面から規制がかかる代物。動物の糞尿から作られるとはいえ、爆発物の材料なのは規制対象。それでも裏では安価で手に入る代物。『スモーク』辺りが手を貸せば確実に手に入ると言っても良い。


「アルミニウムで手を止めた理由は、粉末は身体に付着して――燃えすぎてしまうから。まぁ、爆弾を至近距離で放つんだ……当然、身を守るトリックがあるだろう?」

「……そうだよ」


 この少年が戸惑った理由。アルミニウムは硝酸アンモニウムと相性が良い。混ぜ込む事で爆薬としての威力を上げてくれる。

 だけど……それは、しっかりと混ぜ込んでいる段階での話だ。


「液体の爆薬、弾丸を止めたのも液体、そして――身体にも保護する為の水分。そのどれもが、液体。そして、弾を止めたのは正真正銘ただの水だった事から――お前は流体を動かせる違法パーツ持ちだと分かった」


 爆薬を間近でぶっ放す。それは、例に漏れず本人にも威力は飛ぶ。……そこで、シャボン玉。

 チャージと思わしき動作中、水に界面活性剤と増粘剤を混ぜ、水の膜を作る。作られたシャボン玉は液体、操作対象。

 弾丸を止められる程の違法パーツなら、()()()()()()()()()()()で爆風を止める事は容易と考えて良い。


「音が小さかったのは、爆風に思考性を持たせる為に――シャボン玉で包み込んでいたんだろ? 俺を吹き飛ばしていたのは、何かをやっている風に見せて、俺の懐に小さな爆弾を置いていた」


 最初の車を吹き飛ばした爆発と、盾を飛ばす程の爆発、それはどちらも同じ原理。

 爆風をシャボン玉である程度封じ込めて、一点に穴を開ける。すると、小さな火薬量でも爆風が巨大な物へと繋がる。

 そして、俺への爆発はまた違う。裏で付着させた含水爆薬を、ただ起爆させただけ。


「自らの身を守る為に作ったシャボン玉。チャージの際に仕込んだ種も、アルミの粉末を撒かれたならお前まで巻き込む物になる。だから、動作をやめた」


 水の膜に付着するアルミ粉末。それは、界面活性剤の膜を破る物。物に引っ付いたシャボン玉は、耐久性が失われて割れてしまう。加えて、使っているのは爆薬と相性の良いアルミ。

 一瞬で全ての成分が爆発しきれば大丈夫だが、それが出来なかった場合……飛んできた微細な爆薬が付着しシャボン玉に穴を開けてしまう。


「……最後に聞きたい。何で、耐えられたんだ」

「……まぁ、色々やっただけだよ」


 本当は、液体窒素を作って頭から被ったんだけど……殺傷権も無しに罠じゃない物を作ったらダメと固く言われている。その他衝撃緩和剤等も使ったし……バレたら退職物だ。

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