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Case.17『リビングデッド』

 学校から離れた高層ビルのホテル、予め待機していた神白と合流。日尾野はまだ警察という看板を立てる予備の保険として、学校の周りで姿を見せずに隠れながら様子を伺う。


「神白さん、現状は?」

「上手く侵入出来ています。生徒にバレるような素振りも無し」


 兎川は現役の学生。進学校かつ評判の良い制服は、援助交際やコスプレ先として利用されている。なら逆に、現役で歳の近い人間に制服を着させたらバレない。

 もちろん、妙な事をすればすぐに身元が割れて終わり。だが、生徒の顔と名前を全部覚えている人間は居ない。友達や同じクラスならまだしも、上級生や下級生の顔を覚える事は無理に近い。

 そして、変装するのは一般人。時間は丁度、お昼時――生徒が自由にウロつける休み時間。


「長通さん、武器は?」

「ちゃんと今回用に調整した」


 手に持つは学校へ行く途中、署に寄って回収した銃『NK-35 Oモデル』。

 一時期ハマった遠距離への射撃に特化したモデルで、威力が低くても隠密性と精密性で弱点へ確実に撃ち抜く、というスタイルだった頃の銃。

 ……後々、罠を仕掛けるのに遠距離という致命的な弱点が見つかり、大体NK-57ぐらいで僕内での流行が終わった。


「まさか、埃かぶっていたこれを使うとは……」

「うちの遠距離には()()がいますからね……」


 狙撃手の存在。僕とは違い、純粋に狙撃だけに特化した人は『セブンヴィランズ』内にいるが、ある日忽然と姿を消した。この人とはあまり喧嘩したと言う印象が無く、何故消えたかは不明。遠谷警部からは、仕事の都合でこれなくなった……と言われたが。


『長通。休み時間中に情報を探したが、どうやらいじめがあったらしい。被害を受けていたのは村門、内容は再婚関連だ。裏に連れられ、よく()が見つかっていたらしい』

「兎川。入らなくても良いから職員室周辺へ向かえるか? 羽飼を恨んでいるのは同じ教師という線が強い。警察が来たと言う噂で裏サイトに動きがあれば、随時連絡する」

『了解』


 指示を出すのは、裏サイトという存在。これさえ見つかれば、()()()()()()()()()()()()()()


「……そこまでの細かい指示。何か、分かったんですね」

「予測ですけどね。神白さんは神白さんで、校長室の方をお願いします」


 ただ、僕の予想は確証の無い綱渡り。だから今本腰入れてそちら側へ行けば、すぐに落下して迷宮入り。今は、あらゆる可能性を取り入れつつ、明らかに鍵となりそうな人間に目星を立てないと。


『僕はどうしたら良い?』

「日尾野警部補は最終手段です。待機を」

『了解、京君』


 そして、警察の強制介入。効果は抜群だが、同時に劇薬にもなる。警察という手段には誰も手が出せない反面、その行動に意味が無ければ後で怒られるという点だ。それに、真犯人の逃走と潜伏にも繋がる。これは出来るだけ取りたく無い手段。


「……ねぇ長通さん。いつから、日尾野警部補とそんなに仲良くなったんです?」

「あー……色々あったんですよ」

『色々、ねぇ――神白さん、裏サイトに動きはあるか?』


 会話の最中、急な真面目トーンに切り替わる兎川。これは、釣れたか。


「……裏サイト、更新されました。『羽飼が振り撒いた種がまた面倒を引き起こしてる。さっさと自殺しろよアイツ』だそうです」

『職員室にはまだ五人いる。誰か目星を立てられるか?』


 覗き込むスコープ。職員室には窓があるものの、カンニング等を防止する為に上側についてある。だけど――


「無理だ。兎川、あの窓を頼む」

『――了解。刃物よ』


 銀の刃物を裏手に付ければ、即席の鏡が完成する。これは兎川の違法パーツ『千刃万裂(せんはばんれつ)』。

 厳つい名前が付いているが、要するに金属のコーティングをする事で強度を増し、木の枝でも戦えるようにした彼の違法パーツだ。今回は窓ガラス、その裏側に銀のコーティングを貼って貰っている。


「……こいつだ。名前は――」


 味方にしか見えないレーザーポインタを発射し、場所の指示。別で待機している兎川が顔を見てデータベースに接続、その解析を進める。


西影 康司(にしかげ やすし)。同学年別クラスの担任で、生徒からの印象はあまり良くは無い。今の時代に似合わない熱血だが、それも過ぎれば嫌われる。その典型例だったらしい』


 一人目は熱血教師。だが間違っているのか、赤ジャージに竹刀を待つ姿を見てしまい……嫌われるのも道理と思ってしまう。竹刀を持つ教師は信用に足らない。


『二人目は?』

「えーっとちょっと待って。……こいつだ」


 カチカチと点滅させて合図を送る。


『――二人目は戸内 海咲(とのうち みさき)。特に印象の無い、良い先生らしい』


 二人目は謎の存在。事件の鍵になるとは思えないが、それでもこういう存在も拾わないと。


「三人目……は、いないか」

『いや、三人目を見かけたよ。京君』

「日尾野警部補。何かあったんですか?」

『こちら側だと、良く見える』


 そう言って視線を上げると、向かい側のビルで同じように学校をチェックしている日尾野の姿。


『三人目の名前は……嘘だろ』

「どうした兎川? 三人、見つけたんだろ?」


 名前を見て焦り出す兎川、一体何が書かれていたのか。


『……稲宮 芽衣(いなみや めい)。旧姓だった村門早苗の妹で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「は? データベースは確認したのか!?」

『もちろん確認したし、名乗っている名前には差異がある。だけど骨格や顔を調べると、この名前が出てきた。死亡届で死んでいるからデータの更新は無いが、AIが予期した成長後と完全に一致している。本人じゃないという否定は出来ない』


 既に死んでいる人間が教師で、姉の再婚相手を殺した相手を口撃……。何というか、学校は掘れば掘るだけ闇が出てくる。――後で脳内苦手リストへ学校を加えておこう……。

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