表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/52

Case.14『決着と今後』

「どうして、通報した先に二人がいるんですか……」


 レールガンによる爆撃は周囲の通報となり、兵器から気絶した人を引っ張り出している間に、神白と兎川が現場に到着していた。


「いやぁ……色々ありまして……」

「色々じゃないですよ長通さん! しかもボロボロじゃないですか!」


 そこまでボロボロじゃないと思いたかったが、一度外壁にぶつけられ、少なくとも背中側の肋骨は折れている状態。

 それにミサイルの爆破から逃げてはいるが、完全に被害が無い状態とは言えない場所で食らったから、衝撃波で内臓が少し傷んでいる。……言い返せないな、これ。


「ごめんねぇ、極秘の任務だったから……」


 奥から子供を連れた日尾野はそれとなく嘘をつきながら子供を預け切り、こちら側へやってくる。


「……僕はこれで、明日病院いくよ」

「ちょっと!? 今から病院――」


 耳に入って来る心配の声。でも、僕の傷よりも先に――やるべき事がある。



「……長通君」


 既に全部を終わらせ、一足先に何処かへ行こうとしていた日尾野。


「日尾野警部補、何処に行くつもりです?」


 ……今この人を取り逃がせば、この傷が無駄になる。だから、今終わらせる。


「何処……か。もう、バレてしまった。全部、組織に」


 観念したのか、諦めたのか、日尾野の顔は不思議と晴れやかだ。


「組織……?」

「スモーク、僕の裏にいた存在。……僕はそこを裏切った。ついさっきね?」


 足元には通信機のような機械が壊され、中の基盤がはみ出ている。


「それで、どうするつもりなんです?」

「……僕以外にも裏切り者がいる、って言ったら、君はどうする?」


 もう一人の裏切り者。それは、警察内部の存在だが……ここでそれを言うって事は『セブンヴィランズ』内に、もう一人。


「……その人物は?」

「言えない。と言うか、知らないの方が正しいかな。警察内部にもう一人、スモーク側の人間がいると言うだけで、誰が敵かは分からなかった」


 知らない人物……それが裏で暗躍している。でも、それなら何で今姿を表さない……?。怪我人で正体が分かっている人間と、元裏切り者。消すには好条件過ぎる。


「……それで、正体を探りに一人で突っ込むんだ」

「巻き込める訳無いだろう。君は怪我をしていて、襲われたら一巻の終わりなんだよ?」


 ……やっぱり、僕の事を気に掛けて無茶をしていた。気が利くのは良いが、どうやら人の心までは分からないらしい。


「そんなに僕が弱いと思っています?」

「え?」

「……戦闘して、こうやって手を組んで、僕の実力は分かったはずです。だから、出来ないなんて言わせません」


 今、日尾野がスモークと会えば……多分丞に殺される。あの男は身内にも容赦がない、その鱗片は一緒にいたからこそ分かってしまう。だから裏切る事も出来ず、人質を救ってしまった日尾野を丞は絶対に許さない。


「……君は、ずっとそんな感じかい?」

「そうですよ。本来の僕は、こんな感じです」

「全く、正論の皮肉が多いね。モテないよ?」


 そんな事を言いながらも僕の腕を取り、ボロボロの身体を支えるように抱えだす。


「……ありがとう。人質を、救ってくれて」

「これからでしょう? 警察内部にいるなら、これから――変えるんです」


 高過ぎる身長に脇が軽く吊ってしまう。だけど、嫌な気はしない。


「……変えられるかな」

「変えられるかじゃない。変えるんですよ、日尾野警部補」

「本当、皮肉が多い――」


 こうして一つの事件は終わりを告げ、僕は病院に運ばれて行った――。




「いててててて!!」


 夜中から朝にかけて傷の治療。病院内では無事骨折と言われ、今まさにギプスを巻かれている最中。


「はぁ……痛かった……」


 病院の技術も発達し、全自動で身体を見て原因を特定すると同時に緊急処置程度まで行う、そんな機材が置かれている。

 また、医師がいれば麻酔と遠隔手術の機能も存在。要するに、寝ているだけでいつでも検査出来る場所へと変わって行った。まぁ……少し雑で、痛いのだが。


「長通君。今すごい声が聞こえたけど」

「あの機械、雑なんですよ」


 外へ出ると、車で待っていた日尾野が出迎えていた。その車に乗り込み、警察署へ出勤していく。


「それにしても良かった。酷い怪我じゃ無さそうだし」

「……結局、この怪我を作った兵器も『スモーク』製で、煙のように消えていきましたからね」


 あの後『テンペスターα型』は煙のように消え、警備の人間も口を割らなかった。そしてあの事件はうやむやになり……闇へと葬られた不甲斐ない結末だ。


「警察内部の裏切り者、か」

「日尾野警部補?」

「流石に今更一人で探すなんてしないよ」


 そして、日尾野警部補は事件が事件なだけに、本来謹慎処分なのを不問となった。


「今は優秀な相棒がいるからね、京君?」

「うわっ、今鳥肌が立った。京君呼びが気持ち悪過ぎて」

「それは言い過ぎじゃないか?」


 助けられた子供に関係性は何も無く、乱雑に誘拐されただけの被害者。スモークとの関係も今の所は無く、この方向性での真相解明は無理だった。


「――よし決めた。今から京君呼びしてあげよう」

「えぇ……」

「露骨に嫌な顔するね、君」


 署に到着し、車の扉を閉めながらの小話。


「じゃあ、行こうか――京君?」

「……なんかもう、諦めますよ。日尾野警部補」


 全てを変えると意気込んで必死に足掻いてみたけれど、どうやら――一人の運命は変えられたみたいだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ