七夕飾り~幼馴染編~
『七夕飾り(https://ncode.syosetu.com/n4480ce/)』の幼馴染視点になります。
なぜだか急に彼が出張ってきた……
6年越しの彼の言い分(?)をどうぞ(^▽^)/
今年もあいつの家の前には立派な笹が立っている。
幼い頃からの恒例行事で今日は七夕の飾りつけを手伝っている。
高い場所は俺の担当。
笹を横に置けばいいのにと思うのだが、あいつなりの拘りがあるらしい。
そういえば昔じーさんに言われたな『身の丈にあった願い事』をするようにと。
それが関係しているのかもしれないな。
中学に入ってからはやらないだろうと思っていたがあいつのじーさんとばーさんの大切な思い出だとかで二人が亡くなってからも続いている。
「…で、お前の願い事が『成績が上がりますように』だけなのはなぜだ?」
あいつの可愛らしい字は中学に入ってからずっと同じ願い。
小学生の頃は欲しい物や可愛らしい願い事(おねだり)だらけだった。
まあ、俺も似たようなものだったが……
高校に入ってからも短冊に書かれているのは黒い短冊に白い文字で『成績が上がりますように』これ一択。
もう少しプライベート……恋愛的なことが書かれているかと思ったが……
たとえば、じーさんとばーさんの馴れ初めになったようなこととか……
まあ、ご近所さんに知られるのは恥ずかしいから無難といえば無難なんだが……
「なぜって、今の私には切実な願いだよ?もうすぐ期末だよ?成績落したくないじゃん」
「学年トップ10に入っているやつが言う台詞か?」
こいつ、何気に頭いいんだよな。
俺は……うん、こいつより下だということだけ言っておく。
そういえば、短冊の側に必ず提灯の飾りをつけている。
「なあ、なんで短冊の側にいつも提灯の飾りをつけているんだ?」
素朴な俺の疑問にあいつは
「明るく照らして願い事が良く見える様にしているんだよ」
と小さく笑った。
その笑顔に俺の心拍数が上がることをこいつはきっと知らないんだろうな。
そういえば、七夕飾りの意味って俺知らないんだよな。
そのことをあいつに言えば
「まあ、知っている人の方が少ないんじゃない?」
って笑いながらも教えてくれた。
紙衣は裁縫の腕が上がりますように
巾着はお金が貯まりますように
投網は豊漁に恵まれますように
吹流しは織姫のように機織が上手になりますように
折り鶴は家族が長生きしますように
短冊は願い事がかないますように
菱飾りは星が連なる天の川をイメージ
提灯は明るく照らしてくれますように
織姫と彦星はふたりのように永遠の愛が続きますように
笹の葉は邪気から守ってくれますように
星飾りは星に願が届きますように
くずかごは整理整頓ができ、ものを粗末にしない子になりますように
「私も意味を知ったのは中学に入ってからだけどね」
くすくすと笑いながら次々と飾りを手渡してくるあいつ。
最後に飾るのが織姫と彦星。
彦星をよく見ると何となく俺に似ているような……
そして織姫はあいつに似ている気がする……
「なあ、この彦星……俺に似ているのは気のせいか?…織姫もお前に似ているような……」
この問いにあいつはかわいい笑顔を浮かべるだけだった。
己惚れてもいいのだろうか。
毎年、青い短冊にこっそりと書いた俺の願い事は少しでも叶えて貰ったと思ってもいいのだろうか……
翌日
俺の願い事はちゃんと叶えられた。
涙目のあいつが片付けの時に気づいた俺の短冊を手に問い質してきたことが切っ掛けで……
『好きな子に振り向いてもらえますように』
奇しくも切っ掛けの願い事がじーさんと同じ内容だったことを俺が知るのはちょっと先の未来でのこと。
基本的には前作の反対側といった感じで書き上げれたかと……
ただ、今回は短冊の色を追加。
五色の短冊には下記のような意味があるそうです。
赤:目上への礼を大切にすること。相手に尽くすこと
白:ルールを守ること。義務を果たすこと。
青(緑):他者を思いやること。人を愛すること。
黄:約束を守ること。正直であること。
黒(紫9:優れた知識・知恵を持つこと。正しい判断を行うこと。
なので、今回彼女の願い事 成績に関する願い事は黒
彼の願い事 恋愛に関する願い事は青
という感じで描いてみました(分かりづらいかもしれないけど)