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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第二章
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第二章2-3秘密の特訓

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていく物語です。


魔法の秘密特訓中です!


2-3秘密の特訓


 文字を習って本を読み、情報収集するという第一段階の目的は達成した。

 しかし、優秀すぎるジーナさんのおかげで他にも基礎作法やら、基礎魔術やら、基礎常識やらを淡々と詰め込まれた。

 


 今日もそんな感じでジーナさんの講義が終わった。



 毎度毎度思うんだけどこの世界の貴族って本当にこんなにハードなお勉強させられるのか??


 自然とそんな疑問が出てくる。


 だって、基本作法はすでに社交ダンスまで教わっていつでも社交界にデビューできる状態だし、基礎魔術だって基礎以外にも精霊魔法や回復魔法、ちょっと危ない内容のものまでどんどん教えてくれるし、基礎常識のはずなのに世界各国の習慣や世界情勢、地理、政治学まで詰め込めるものはなんでも詰め込めと言わんばかりのペースでいろいろ教えられた。


 「はい、エルハイミ様本日はここまでです」


 メガネのずれを直しながらジーナさんは『回復魔法の原理』という本を閉じた。


 ちなみに回復魔法とは神聖魔法とは少し違い魔力で身体機能を活発化させ傷を治したり体内の異常を解消させたりするものである。


神聖魔法はそれらの状態を外部の魔力で補填して治すので、すごい神聖魔法になると無くなった腕や足まで再生できるらしい。


 「はい、ありがとうございます、ジーナ。大変お勉強になりましたわ。」


 そう言って軽くひざを折る挨拶をして退席しようとしたら呼び止められた。


 「エルハイミ様、明日のお勉強ですがお休みといたします。」


 「はい? 何かご用事がおありかしら?」


 「何をおっしゃっているのです、エルハイミ様、明日は貴女の五歳になるお誕生日ではありませんか!」



 えーと、あれ?

 俺ってもう五歳になるの?


 そんなのすっかり忘れてたわ~、そう言われれば最近腕や足が急に伸びたような気もする。

 だんだんとスカートの丈が短くなっていたもんな。

 


 「そうでした、失念しておりましたわ。わかりました。本日はありがとうございました」


 そう言って今度こそ退室しようとしたら再び呼び止められた。


 「エルハイミ様、お勉強が終りましたらイーガル様の所へ行くよう言伝をたまわっております、どうぞイーガル様の所へ」


 なんだろ?

 爺様なんか用かな?


 「わかりました。では、失礼いたします」


 そう言って俺は今度こそジーナさんの元を離れた。



 * * *



 爺様の書斎に行き、軽くドアをノックして俺が来たことを伝えると「入れ」と声が返ってくる。

 作法通り扉を開け、中に入ると爺様は何やら書類の山に埋もれていた。


 「おじい様、失礼いたします」


 そう言ってご挨拶をして爺様の近くにまで歩み寄る。



 爺様は書類から顔を上げにこやかにこちらを見た。


 「エルハイミよ、よく来た。実はな、明日のお前の誕生日なのだがな、なんと国王陛下が来られるというのじゃよ。お忍びじゃがな」


 「はえっ?」


 思わず変な声を出してしまった。

 


 「うむ、驚くのは当たり前じゃ、陛下がこのような衛星都市にご足労いただくなど通常あり得ぬことじゃからな!」

 

 何がうれしいのか爺様は上機嫌でいた。


 まあ、国王陛下などという雲の上の人が来られるというだけで大変名誉なこととなるのだろうけど、お忍びでしょ?

 なんかあるんじゃないだろうね??


 一応は王家との血のつながりもあるから親戚という形にはなるけど、国王が衛星都市領主の娘の誕生日に来るなんて絶対何かあるはずだ。


 「あの、おじい様、陛下はなぜお忍びでこの様な所までおいでになるのでしょうか?」


 素直に疑問を口にして爺様に問う。

 この部屋ならほかに人もいないし、爺様なら孫娘に本音を語ってくれるやもしれない。


 「うむ、実はな我が孫娘は魔術の才能が高いという話を夜会でしたのが御耳に入ったようで、非常に興味を持たれたと言うのが本当じゃろう。エルハイミよ、おぬしも五つになる。陛下もおぬしの見定めを考えておるやもしれんのぉ」


 えーと、使えそうな人材かどうかを見極めに来るって事?

 まさか、側室になれと!?

 いやいや、流石に五歳の女の子に手を出すような変態じゃないとは思うけど、見定めとなると将来の持ち駒や政治的政略結婚の道具として見に来るって事かな?



 うえぇー、やめてほしい。

 まだこちらとしては色々準備中でどこの馬の骨ともわからない奴と結婚なんて御免だ。


 

 「おじい様、どうしましょう、私まったく自信がございませんわ!」


 「なになに、そんなに心配することは無い、陛下‥‥‥ やつとは幼馴染じゃ。悪いようにはならんから安心おし」


 そう言って爺様はニカッと笑った。

 その笑顔はいたずら好きな子供のようである。


 うーん、そうなるとひとまずは安心か?


 「わかりました、ではハミルトン家の名に恥じないよう精一杯務めさせていただきますわ!」


 「おお、エルハイミや、その意気じゃ! エドワードのやつにワシの孫娘が立派であるところを見せつけてやるのじゃ!」


 ん?

 エドワードのやつ?

 ワシの孫娘が立派であるところ?


 ‥‥‥まさか、この爺様わざわざ夜会辺りまで出向いて幼馴染の国王陛下の耳に入るように自分の孫娘の自慢してきたんじゃないだろうな!?

 しかもその国王陛下とやらも爺様の幼馴染でお忍びで来るほど仲がいいと言う事か?



 つまり孫の自慢で国王陛下と張り合ってるとか?



 「おお、そうじゃ、一つ言い忘れておった。明日は陛下のお孫である殿下も来られると言う事じゃ。確か今年七歳になられる」


 え?

 それって孫どうしの自慢でも張り合い?


 「おじい様、陛下のお孫であられる殿下と申しますと、どのようなお方なのでしょうか?」


 「うむ、あやつの孫も女の子でな、エルハイミ同様魔術を得意とするのじゃがな。なに、エルハイミの方がずっと上じゃ! 見とれよエドワード! わしの孫の方がずっと上じゃと言う事を教えてやる!」



 あー、ダメだこりゃ。

 完全にスイッチ入ってる。

 そう言うことか、俺が魔法使うありさま見て陛下のお孫さんと張り合うようになってったってことか‥‥‥

 どうするかな?

 あまり派手にやるとあちらのメンツをつぶすし、ほどほどにしておかないとやばいもんなぁ。


 あれ以来秘密の特訓でかなりの魔法が使えるようになってたりする。

 さらに書庫で各種魔法の書を見ていたので、全方面の初級魔法はコンプリートしていたりもする。

 

 「おじい様、ではエルハイミは陛下や殿下に失礼の無い様にいたしますわ」


 「うむ? 大丈夫じゃぞ、かまわんからあやつに盛大な魔法でも見せてやるのじゃ! そして我が孫娘の方がすごい所を見せつけるのじゃ!」


 あー、はいはい、わかりました。

 爺様とうとう本音言っちゃったよ。

 ちゃんとさじ加減して頑張りますよ。

 

 愉快そうにかっかっかっと黄門様笑いをする爺様を残して俺は部屋を退出することにした。

 さて、どう考えても面倒なことにしかならないような予感があるが、まあ上手くこなしていかねば。


 * * *


 俺は裏庭に行った。

 ここはこの時間人がいないのは確認済み。

 ここでなら秘密のちょっと危ない特訓もできる。


 俺は火炎系の魔法と風系の魔法、それと土系の三種類の魔法を媒介である銅のコインをもって発動させた。


 手のひらにあるコインはちょうど四分の一位もげ取れて手の上に赤々とした小さな火の玉となって浮いている。

 俺はそれを反対の手の人差し指の前に浮かせてもう一度周りを確認する。

 

 そして火の玉を頭上にめがけて飛ばす。


 火の玉はひょろひょろひょろ~っと上空に飛んで行き、十メートルくらいの所で俺の意思ではじける。

 一瞬ぱあっっと明るくなり広がる。



 た~ま~ぁ~やぁ~!



 心の中でそう言いながらついに完成した「【花火魔法】」に会心の笑みを浮かべる。

 



 いや~、難しかった。


 まさか三系統の魔術をいっぺんに使えるとは思っていなかったのと、その制御というかイメージを固めるのに苦労したこと。

 たまたま生前テレビで見た花火の仕組みを覚えてたのでこれがこの世界でも再現できないか試していたのだ。


 何せ、この世界には花火というものが無い。


 というか、火薬というものが無いのである。

 着火の魔法があるからか、爆発的な引火が必要なかったせいか、火薬類に関する書物はいまだ見たことが無い。

 もしかするとあるのかもしれないけど、攻撃魔法の上級で爆裂魔法があるから火薬自体の必要性が無いのかもしれない。



 そんな訳でぎりぎり秘密の特訓は成果を得た。


 これで明日のとっておき魔法は決まりだな。

 問題は媒介の銅のコインをもう少し補充したいのだが。

 ママンにお願いして融通しておらうか?

 とりあえずママンの所へ行ってみるか。



 俺はママンの所へと行くのであった。


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