第四章4-6ハミルトン家
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
エ、エルハイミ様がお帰りになられて、チョコレートのご要望が!!
はぁはぁ、ますますおおかわいく可愛くなられて・・・
も、もうったまりませんわぁああぁぁぁっっ!!(ササミー談)
4-6ハミルトン家
昨晩は爺様たちに衝撃の事実を伝えられ、寝つきが悪かった。
「ふあぁ~、もう朝ですのぉ?」
いつもの習慣で同じくらいの時間で目が覚めてしまう。
眠い目をこすりベットから起き上がる。
隣を見るとママンが寝ている。
昨日は珍しくママンと一緒に寝た。
いろいろとお話を聞きたいと言われたので魔法学園都市ボヘーミャに行くまでの話、むこうでの生活や授業の話、大魔導士杯での出来事やその後学園長で英雄の一人ユカ・コバヤシに鍛えられている話などよくよく考えると結構いろいろとあった。
そんな話を聞いていたママンはずっと楽しそうに俺の話を聞いていた。
「うん? あらあらあら~ おはようエルハイミ、早起きさんなのね~」
ママンも目を覚まし、起き上がる。
うーんと伸びをしてから俺をやさしく抱きしめる。
「お母様?」
「あらあらあら~、やっぱり大きくなったわねぇ~。髪の毛もだいぶ伸びたし、お母様が久しぶりに髪の毛を梳かしてあげますからねぇ~」
そう言って着替えをしてから鏡の前で髪の毛を梳いてもらった。
* * *
朝食をみんなでとり、積もる話をしながらみんなにお土産を渡す。
南方の珍しいものは好評を得てみんなに喜んでもらえた。
特にササミーなんかは、たまにはおしゃれした方が良いと思って南国風の帽子を送ったら「家宝にします!」とか言って大喜びだった。
そう言えば今朝もすでにチョコレートは出来上がっているので必要になったらいつでもお声がけくださいとか張り切っていたなぁ。
ヨバスティンも庭師の爺さんも元気そうだった。
さて、そんな中ロクドナルさんが将棋の話を出し始め、うちの爺様が興味を持った。
「エルハイミよ、その将棋と言うものを儂にもやらせてもらえんかの?」
「ええ、勿論いいですわよ、お爺様」
そう言って俺は一番最初に作った力作を引っ張り出す。
なんかパパンもよってきたな。
説明をしながらロクドナルさん相手に一局やってみる。
「むむ、流石エルハイミ殿ですな、参りました」
しばし打っていたのだが、ロクドナルさんの投降で俺の勝利。
見ていた周りはおーっとか声を上げている。
「ふむ、これはなかなか面白いものじゃな。どれ、儂にも一手やらせてもらえんだろうか?」
そう言って今度は爺様が対戦相手になる。
俺は説明のボードを横に置きながら爺様に打ち方を教える。
「なるほど、これは面白い、エルハイミよ、もう一回やってみぬか?」
「父上、それならば私がお相手しましょうぞ」
なんかパパンものってきた。
これって‥‥‥
しばらくしてデジャブーが俺を襲う。
もう一局! の声が鳴りやまないのは言うまでもない。
いつの間にかロクドナルさん以外の騎士団の人も混じっていたりする辺りがなんとも。
俺は苦笑して、ティアナとアンナさんを引き連れて中庭の東屋に向かう。
と、今回はママンもついてきた。
メイドにお茶の準備をしてもらって東屋でくつろぐ。
「あらあらあら~、ササミーったら待ちきれずにチョコレート持ってきてくれたのね?」
「はい、奥様。折角エルハイミ様がおかえりなので腕によりをかけ新作のチョコレートを作ってみました。エルハイミ様、どうぞお試しください!」
なんか鼻息荒いな、ササミー。
よほどの自信作なんだろう。
とりあえず一つつまんで食べてみる。
おおっ!?
なんと真ん中にジャムが入っている!!
「ササミー、これって中にジャムが入っていますの?」
「はい、エルハイミ様! その通りです! エルハイミ様に更においしいチョコレートを食べていただきたく試行錯誤しました!」
「ほんとだ、これ美味しい!」
「すごいですね、前にもチョコレートはいただきましたが、これはまたなんとも斬新な」
「ほんとだ! ちょこれーと ってすごくおいしい!!」
ティアナもアンナさんも喜んでいる。
マリアなんか口の周りべたべたにしてチョコレートと格闘している。
俺はササミーの手を取って感謝の言葉を述べると、大喜びでササミーは厨房に戻っていった。
「あらあらあら~、ササミーったらあんなにはしゃいじゃって。所でエルハイミ、昨日お話に有った学園長だけど、相変わらずお元気なのかしら~?」
「ええ、それは元気も元気、毎日あちらでは地獄のような特訓を受けておりますわ」
「あらあらあら~、やはりそうなのね~。私の時もそうだったもの。でもそうすると今度はエルハイミたちなのかしらね~?」
「叔母様、それは一体どういうことですか?」
「あらあらあら~、ティアナちゃん、学園長が自ら鍛えると言う事は、英雄候補かよほど重要な何かを控えているときなのよ~。私も学園長に鍛えられたときはまさか自分がそうなるとは思ってもみなかったのだけどねぇ~」
さらりととんでもないこと言うよ、ママン!
昔あの学園長に鍛えられたって!?
てことは、ママンも学園の出身者だったの!!!?
「確かに師匠、学園長は私たちを鍛えるにあたり抑制力になることを期待していると言っていました。英雄と呼ばれる自分一人では人手不足だからと」
「あらあらあら~ あの学園長にしては弱気ねぇ~。でもそれほどまでに今回の件は厄介って事かしら~」
「師匠は英雄に連なる力の研究をルド王国が行っていると言ってましたわ。今はまだ解明しきれていないけど、それに近い研究成果が出れば脅威になると言ってましたわ」
ママンはお茶を一口飲んでから、珍しくため息をついた。
「あらあらあら~、そうなるとやっぱり次はあなたたちに期待しているって事ねぇ~。エルハイミ、あんまり危ない事しちゃだめですからね~」
珍しく困り顔だが、本音なんだろうな。
俺はうなずき答える。
「ええ、勿論ですわ。師匠からも今は生き延びることを最優先にしなさいって言われておりますもの」
「あらあらあら~、随分と慎重で良かったわぁ~。でもルド王国となるとかなり厄介ねぇ~。英雄の力については多分解明しきれないでしょうから、それの対抗策でも模索しているんじゃないかしらぁ~。その怪物って言うのも多分合成キメラなのでしょうねぇ~。エルハイミの言っていた見知った顔の人が怪人にいたって事は、制御自体に人間が必要だからかしらねぇ~。でもそうすると今後ますますその怪人って言うのは強くなるかもしれないわねぇ~。人間がベースとなればもしかして魔晶石でも埋め込めば魔法も使えるかもしれないから~」
って、ママン、何その解析能力!!
随分と的確な推測を打ち出してくる。
「流石、稀代の魔女ユリシアと呼ばれる方です。ユリシア様、そうしますとユリシア様の見解では今後ますますその怪人は強力になると言われるのですね?」
アンナさんがママンに質問をする。
「あらあらあら~、お恥ずかしいですわぁ~。私みたいな一線を退いた者の戯言よ~。でも、私なら確実そうすると思ったから今後魔法を使う怪人も出るかもねぇ~」
うーん、ゴーレムじゃなくてキメラか。
確かにその方が魔力の保有もできるしママンの言う通り魔晶石に魔術を封じておけば呪文も最小限で発動できる。
そう考えるとかなりの強敵になるな。
と、考え込んでいるとバティックとカルロスがやってきた。
二人は遠巻きに俺たちの様子を見ている。
「バティック、カルロス、どうしたのですか? そんなところにいないでこちらにおいでなさいですわ」
もじもじしているので呼んでやる。
「あ、ね、姉さま、いいの?」
「姉さま、遊んでくれるの?」
ぱあっと明るい笑顔になる。
うーん、かわいい。
二人はそれでもちょっともじもじしながら俺たちの所へ来る。
「あらあらあら~、バティックもカルロスもエルハイミお姉ちゃんに遊んでもらいたいのねぇ~。エルハイミ、良いかしら? 明日にはあなたも王都へ出発しちゃうから少し遊んでやってもらえないかしらぁ~?」
「ええ、勿論ですわ! おいで、バティック、カルロス! 面白いゲームもありますわよ!」
そう言って俺はオセロゲームを取り出す。
三歳児でもこれくらいは遊べるだろう。
俺たちは二人を混ぜてしばし楽しい時間を過ごすのだった。
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