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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第四章
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第四章4-5衛星都市ユーベルト

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


ただいま~ですわ!


4-5衛星都市ユーベルト


 襲撃が有ってから既に一週間以上たった。


 あの後再度襲撃は起こらず順調に旅はつづいた。

 そして馬車はすでに衛星都市ユーベルト付近まで来ていた。


 「結局あの後なにも無かったわね」


 「ええ、怖いくらい順調ですわ」


 大魔導士杯の後、俺たちはホリゾンチームの連中が帰国したことは知っていた。

 しかし、その時は理由などは深くは考えていなかった。


 あの怪人の顔は間違いなくビエム。

 考えられることは人間を素体とした怪人の作成、つまりフレッシュゴーレムの素体かキメラの素体。


 魔道の追求で人道的な事に反する話はよく聞くが、この世界では奴隷制度や罪人の処刑もありそれほど人道自体を重視しない。

 となれば、ああいった事にビエムが犠牲になることだって考えられる。

 しかも襲撃の時にテストとか言っていた。

 辻斬り紛いなことをしてその性能評価をしていたと言う事だ。


 サージ君はホリゾンの関係者とか言っていたが、師匠の話も気になる。

 本当に直接ホリゾンなのかどうか。


 知らないというのはこうも不安を掻き立てられるものなのか。

 今までとは違って初めて敵意を真に受け、下手をすれば命のやり取りにもなる場面に遭遇して俺は初めてこの世界も安全ではないことを実感する。


 伯爵家の長女であり、ガレント王国の姫君の学友であり、師匠に熾烈な稽古をつけてもらってはいたがあくまで学ぶ立場であり、神の使徒との遭遇でもあちらに危害を加えるつもりも無しと心のどこかで安心をしきっていた。

 

 「ふう、考えても仕方ありませんわ。ティアナ、もう少しでユーベルトの街に入りますわ。今日は久々に家でゆっくりしてくださいましな」


 ちょっとぎこちなくなってしまったが、ティアナに笑いかける。

 ティアナもそれを見て笑ってくれる。


 「そうね、エルハイミ、あのチョコレートまた食べたいな。あのパティシエにお願いして作ってもらえないかな?」


 「そうですわね、家に着いたらさっそくササミーにお願いしてみますわ」


 久々の我が家、みんな元気だろうか?

 なんだかんだ言ってこの世界にも慣れたもんだ、ハミルトン家がちゃんと自分の家と思えるようになるんだもんな。

 

 「ねぇねぇ、エルハイミのお家ってまだ着かないの? その ちょこれーと ってのあたしも食べてみたい!!」


 元気に俺たちの元に飛んでくるマリア、相変わらず食い意地だけはすごい。


 「もちろん食べさせてあげますけど、良い子にしなきゃダメですわよ!」


 そう言って人差し指を立ててマリアに言いつける。

 そう言えばこの動作ってママンが良くしていたな。

 こう言う所も遺伝なのかな?

 

 ちょっと心が和らいだ。




 それからしばらくして俺たちは懐かしき我が家、ハミルトン家に到着した。

 事前に先行していた騎士の人が早めに知らせてくれたおかげで玄関先には出迎えの準備がされていた。


 「ただいま戻りましたわ! お爺様、お父様、お母様、そしてみんな!」


 わっッと歓迎の声が上がる。

 

 「おかえり、エルハイミ。元気そうで何よりだ」


 「あらあらあら~エルハイミちゃん、大きくなったわねぇ。うん、お母様うれしいわぁ!」


 「エルハイミよ、達者であった様じゃな? 良きかな良きかな」


 パパンやママン、爺様に出迎えられ、ママンに抱きしめられる。

 そんな中、ティアナたちも馬車から降りてくる。


 「ハミルトン卿、お世話になります。」


 「おお、これは失礼申し上げた、ティアナ殿下。お元気そうで何よりです。むさくるしい所ではありますがどうぞご自分の屋敷と思っていただいてお使いください」


 パパンはそう言ってティアナの手の甲に口づけをする。


 「ご無沙汰しております。お世話になります、ハミルトン卿」


 「お世話になりますぞ。ハミルトン卿」


 アンナさんやロクドナルさんもパパンたちに挨拶をしている。

 そんな中、みんながざわめく。

 馬車からマシンドールのアイミが下車してきたからだ。


 「あれがうわさの機械人形か。エドワードの奴が興味を持つはずじゃ」

 

 爺様は厳しい顔をしてアイミを見ている。


 「エルハイミ~、ここがエルハイミのお家!? おっきぃ~!!」


 「な、フェアリーだと!?」


 アイミに続いてマリアが飛び出してきてパパンが驚く。

 

 「あらあら~フェアリーなんて珍しい~ お母様久しぶりに見たわぁ~」


 ママンもちょっと驚いているが、フェアリーを以前にも見ているっぽいな、他の人たちは初めて見るッぽいけど。

 一応マリアやアイミも紹介しておく。

 すると、ここでママンの近くでうごめく物体が。


 「あらあらあら~、そうだったわねぇ~お母様すっかり忘れてたわぁ~ さあ、おいでバティック、カルロス~。あなたたちのお姉さまよぉ~」


 呼ばれ、おずおずと出てくる二人。

 そう、赤子の時以来会っていない双子の弟、バティックとカルロスの二人だ。


 「ただいま、バティック、カルロス。お久しぶりですわね! といっても、あの時はまだ赤ちゃんだから私の事は覚えてないでしょうが」


 するとバティックはもじもじしながらもしっかりと返事をしてくる。


 「お、お姉さま、おかえりなさい。ほ、ほら、カルロスっ!」


 「う、うん、お、おかえりお姉さま」

 

 かわいいなぁ、まだ三歳前だっけ?

 双子なので見た目は全く同じ。

 父親譲りの茶色い髪の毛で、目元とかは母親似かな?

 

 「可愛らしい弟さんですね、エルハイミ殿、私にも紹介していただけないかしら?」


 おおっと、お姫様モードのティアナに紹介しなきゃな。


 「もちろんですわ、殿下。これが私の自慢の弟たちですわ!」

 

 俺は最高の笑顔でティアナたちに弟たちを紹介するのであった。


 * * * * *


 その後、食事を済ませ、久しぶりにササミーにチョコレートの作成をお願いしてひと段落した頃であった。

 俺はティアナと共にパパンと爺様に声をかけられて共に書斎に来ていた。



 「まずはティアナ殿下、この様な所にお呼びしてしまい申し訳ございません」


 パパンがティアナに頭を下げる。


 「かまいません、ハミルトン卿。で、どのようなご用件で?」


 「はい、殿下たちがお戻りになられる道中、賊に襲われたとのお話ですが、普通の賊ではなかったと聞いております。それは事実でしょうか?」


 既にサージ君辺りから聞いていたのか?

 一応パパンも伯爵としていろいろやらなければならない事もあるしな。


 「して、ティアナ殿下、殿下はその折にあの機械人形をお使いになられたと聞いておりますが、間違いないのですかな?」


 爺様もティアナに質問する。

 

 「ええ、間違いありませんわ。」

 

 「ふむ、して殿下が機械人形を操り始めると賊は逃げ出したと言う事ですな?」


 「ええ、それも間違いありませんわ」


 爺様とパパンは同時に唸った。


 「やはりそう言うことかもしれませんな。やはりあいつらですな」


 「間違いないじゃろう、しかし既にそこまであやつらが動いておるとはな」



 なんだ?

 なんの話をしているんだ?


 俺たちが不思議そうな顔をしていると爺様は話し始めた。


 「実は最近ホリゾン帝国に動きが有ったのですがな、いや、ホリゾンとは決めつけられんが、北の国境辺りで散発的な小競り合いが起こっておる。相手はホリゾンの兵ではなく、身元不明な化け物らしいのじゃ」


 「身元不明?」


 「うむ、詳しく話しましょうぞ」



 そう言って爺様は事の始まりから近況を話し始めた。


 まず、最初に北の国境付近で散発的に詰所砦に攻撃があり、ホリゾン帝国の攻撃かと身構えるとそうではないらしく、化け物を中心とした黒ずくめの男たちによる奇襲攻撃が多発したらしい。


 それは徐々に広がっていき、最近ではこのユーベルト付近でも起こっているようだ。

 襲撃は詰所に限らず、旅人を襲ったり、村を襲ったりと被害が徐々に拡大している。


 北のホリゾン帝国ではこの問題が発生していないのでガレント王国側はホリゾンの関係ではないかと疑っているものの決定的な証拠が無い。

 そして一番の特徴がそいつらは化け物と表現するのがふさわしい者をを必ず引き連れていると言う事だ。

 その化け物だが、色々いるらしくガレント王国の見解ではゴーレムかキメラの類ではないかと思っているそうだ。


 ここで問題となるのがそいつらの規模だ。


 散発的に問題を起こし、なおかつ報告ではその化け物は一体ではないらしい。

 どう考えてもかなりの大きな規模でなければここまでの事は出来ない。

 ただ、そいつらはこちらの反撃が強くなるとすぐさま引き上げるという特徴がある。

 まるで捕らえられるのを恐れるかのように。



 「そのような事がガレント起こっていたとは‥‥‥」


 正直驚きを隠せないティアナ。

 

 「そこで、陛下は殿下たちが保有するマシンドールに興味を持たれたのですよ」


 どういうことかと言えば、相手は正直ものすごく強いわけではないらしい。

 手間はかかるものその怪物さえ抑えられれば対処は出来ると言う事らしい。


 手練れの騎士は数が少ない。

 万が一の場合その力が分散されるわけにもいかず、かと言って並の冒険者を雇っても対応しきれない。

 そこでかねてより開発が進んでいるゴーレム兵を増産し、各詰め所や村の駐屯地に配備し戦力の強化を図りたいのが本音らしい。

 

 「殿下のマシンドール、勿論あれと同じものを作るのは難しいと報告を受けておりますが、その劣化版でも増産できれば話が違ってきます。この件は我が娘エルハイミの協力も必要となるだろうとの報告も受けており、陛下も殿下たちの帰還を心待ちにしております」


 「今次殿下のお誕生日を祝いたいというのはも勿論の事、しかし現状の問題も野放しに出来ず是非とも協力を願いたいのじゃ。エルハイミよ、おぬしにもな」


 爺様はそう言い俺を見る。


 「我が国に起こる災いに私が協力しない理由はありません、エルハイミ殿も同じでしょう」


 ティアナはそう言って俺を見る。

 俺は無言でうなずく。


 「確かにアイミと同じものを作るのは難しいかもしれない、しかしゴーレム兵を作るのは可能かもしれません。わかりました、王都に戻り次第、この話は進めさせていただきます」


 そう言うティアナの言葉にパパンたちは安堵の息をつく。

 そうか、あいつらうちの国で暴れまわっていたのか。



 正直ビエムには同情するが、家の国で勝手なことをしてくれるのは許せない。

 王都についてティアナの誕生日を祝ったらしばらくゴーレム開発の協力だな!


    

 

 

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