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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第三章
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第三章3-29夏休み

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


夏休み~夏休み~♪

学園長のシゴキも夏休み~♪(エルハイミ談)


3-29夏休み


 学園長に鍛えられること既に二カ月、俺たちは待ちに待った夏季休暇へと入っていく。



 やっと休める!

 俺の頭にはそれしかなかった。



 毎日毎日実戦さながらの学園長の授業のおかげでみんなメキメキとたくましくなっていく。

 特に後発組のロクドナルさんなんかどんどん魔術を覚え、すでに中級魔術もそこそこ使えるようになり始めている。


 それとあの日感じた魔力の最小限の使い方もアンナさんと話しているうちにイメージがまとまった。


 特に攻撃魔法などはその魔法に対になるものを使えば相殺できるというのは常識だったけど、相殺するのに百パーセントの魔力を使わなくても効果を激減させて害がない程度にすればいいので、魔力消費が少なく出来ると言う事もわかった。


 あと、魔術展開だが、例えば防御魔法の【絶対防壁】をずっと展開していればその分魔力を消費するが、攻撃などが当たる瞬間だけ展開すればその消費量は本当にわずかなもので済んでしまうと言う事もわかった。


 この二つが分かっただけで、そうとう魔力消費は抑えられる。


 

 なんかすごいと言えばすごいんだが、普通の魔術師に出来んのこれ??



 それと無詠唱魔法はやはり難しいが、何度も同じ魔法を使っていると体が覚えてくれていて詠唱短縮なんてのも出来るようになった。

 おかげでアンナさんなんか魔法の発動時間がものすごく短くなった。


 

 そして俺とティアナなんだけど、さんざん学園長に鍛えられたおかげで慣れた魔法は無意識で発動するものも出始めた。


 例えば手足についている重りなんて最近は無意識の上で念動か重力操作の魔法が発動している。

 ほとんどつけているのを忘れるレベルになってきた。


 学園長に言わせるとそれが魔術操作の極意に近いらしく、そのうち防御魔法も「危ない」と思った瞬間に出来るようになるだろうとのこと。



 それってすごくないか?


 

 もっとも、普通の魔術師にはそうそうできるもんじゃないだろうけど。

 どうも学園長も自分基準で物事を考える所があるらしく、かなり無茶なことも自分に出来るんだから同じような環境に放り込めば俺たちならできるだろうと考えているみたいだ。



 いや、英雄の一人と同じに考えられても困るんだけど‥‥‥



 おかげで学園内で一般生活しているときは要注意だ。


 「戒めの腕輪」の秘密はまだ他の人は知らない。

 何かの拍子に勝手に魔法が発動してしまう危険がある。


 もっとも最近は何かやっちゃいそうになる前にアイミが先にいろいろと動いてくれるので便利この上ない。

 相変わらずぴこぴこ表現だがこの二か月で結構色々覚えたみたいだ。


 

 そんなわけで夏休み!



 場所柄季節の代わり映えしない所だけど、この時期は卒業式や新入生の選考、各国との支援金予算会議などなど学園側は大忙しとなる。


 学園長も溜息を吐きながら「仕方ないですね」と言いながら基礎訓練は毎日欠かさずやることを宿題とされている。




 

 既に宿舎の前では帰省ラッシュや帰国ラッシュで朝から馬車が列をなしている。


 「うわー、あれじゃ荷物載せるだけでも半日は並ばなきゃじゃない?」

 

 そんな様子をテラスから眺めているティアナはマカロンをほおばる。

 

 「仕方ありませんよ、ひと月以上もお休みでは。私たちのように居残り組とは違って皆さんも予定があるでしょう」


 アンナさんはサージ君に入れてもらったお茶を飲みながら魔術書に何か書き込んでいる。

 ロクドナルさんはどこで買ってきたのか「ボヘーミャ名物たこ焼き」を山盛りにお皿にのせてみんなで食べようと楊枝を配っている。

 

 ああ、なんて穏やかな休日なんだ。

 今回の夏休みは帰国を見送った。

 いちいちあの距離を馬車で行って帰ってでひと月くらいかかるのであるならばこちらでゆっくりとした方が良いと言う事になり、俺たちは居残り組となった。



 ほっこりとしているとアイミがちょいちょいとつついてくる。

 なんだろうと思ってそっちを見ると耳をぴこぴこさせながら何か持ってきている。

 それを受け取り、見てみると何かの広告のようだ。

 

 「生徒会主催夏季合宿の案内」


 なんだそれ?

 既に夏休みに突入しているのでいまさらそんな合宿なんてどうでもいいやなんて思っていたらティアナが興味を示した。


 「アイミ、何持ってきたの?」


 アイミから先ほどの広告を受け取る。

 そしてかぶりつくように見入っている。



 あれ?

 なんか肩をプルプルさせているな?



 「これ参加しましょう!!」


 広告を見ていたティアナは唐突に顔を上げながらそう言う。

  

 「でもティアナ、すでに今日から夏休みですわよ? もう参加申し込み期限切れているのじゃないでしょうかしら?」


 「大丈夫よ! 夏休み中は直接に生徒会に連絡してくれれば締め切り前なら参加可能だって書いてあるわ!」


 なんだそれ?

 そう思ってもう一度広告を見せてもらう。

 すると、生徒会がごひいきにしている商会の保有する島へ一週間ほどの合宿を執り行うというものであった。

 特に居残り組に配慮したイベントのようで、合宿と称したバカンスそのものである。

 申込期間の締め切りもまだ一週間くらい後で、申し込みと同時に前払いで代金を払えばあとは商会がすべて準備するというものらしい。

 特にイベントの島最大の迷宮探検というのが売りらしく、すでに安全が確保された迷宮を回れるそうだ。



 うーん、面白そうではあるけどどうなんだろう?

 俺はアンナさんを見る。



 アンナさんは受け取った広告を見るが、ある一点を指さす。

 

 「この商会って アインシュ商会ですね。だとすれば安全面は問題無いでしょう」


 「アインシュ商会?」


 はて、どっかで聞いたような名前だな。

 首をかしげているとアンナさんは広告の生徒会という文字を指さす。


 「ロザリナ=アインシュの実家ですね」



 ぶっ!!


 いや、ほんと生徒会よ、何やってんだよ!!


 

 

 その後一応大使館のフィメールさんには予定を伝えておいてから生徒会に参加申し込みに行ったのである。

 まあ、バカンスも悪くないか。



 その時はそんな気軽な気持ちでいたのであった。  

 

 

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