第十七章17-27蘇り?
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
隠し味にこれとこれ、それとエルハイミにも食べさせるから、『おいしくなぁ~れ、もえもえきゅん!』よしっ、これでばっちりね!(シェル談)
17-27蘇り?
「そうそう、そう言えばドワーフの職人が変な事言っていたな?」
シェルの手料理をみんなでつつきながら食事をしているとジルが突然そう言い始めた。
「一体どんな話なのだジルよ?」
少食のショーゴさんがエルフ豆の煮ものを食べながらジルに聞く。
意外とこの煮豆美味しいのよね。
ちょっとシェルを見直した。
「うん、そのドワーフの職人の話だとドドス共和国で死人が蘇ったってんだよ。ああ、アンデットとかじゃなくて成人女性が亡くなったんだけど葬儀の日にいきなり起き上がり自分はウェージム大陸の人間だって訳の分からない事言い出したらしいよ」
「生き返りと言うのですの?」
「ん~、ちょっと違う様で、死んだはずのその女性の記憶が完全に無くて自分は別人だって話らしいね」
「死体に魂が宿ったとでも言うの?」
シェルはおかわりの煮豆をジルに渡しながら聞く。
「詳しくは俺も分からないよ。そうだ、明日そのドワーフの職人に聞いてみるか?」
「そうですわね、お願いしますわジル」
うーん、それがティアナの転生とは思えないけど確認は必要よね?
あたしは煮豆を食べながらそう思うのだった。
* * * * *
「やぁ、タルタさん、おはよう」
翌朝ジルは村の鍛冶工房にあたしたちを引き連れて来ていた。
「ん? ジルか。おはようさん、おや? こっちは‥‥‥ エルハイミさんじゃないか!?」
タルタさんと呼ばれたそのドワーフはあたしの顔を見て驚いている。
どうやらあたしを知っている様だ。
「あれ? タルタさんエルハイミねーちゃん知ってるの?」
「知っているも何も、ユグリアでは『巨人』が攻めて来てケガしてるの治してもらったからなぁ。ティナの町にいるって聞いて来てみればホリゾン帝国に行っちまった後だったんでな。お礼の一つも言えなんだ」
そう言って大笑いする。
あたしは何となくオルスターさんを思い出していた。
ドワーフは気難しい所もあるけどいい人ばかりだった。
「そうでしたの。でもどうやら怪我も治ってもう大丈夫のようですわね?」
「ああ、ありがとよ、エルハイミさん。ところでこんな山奥の村まで何しに?」
ひとしきり笑ってタルタさんはあたしに聞いてくる。
あたしは簡単にいきさつを説明してタルタさんが言っていた話について聞いてみた。
「そうか、しかし俺もドドスにいる仲間内から聞いた話でな。最初はリッチが復活したんじゃないかって大騒ぎになった様だがどうやらそうではないらしい。魔法なんて使えなかったのにいきなりかなりの魔法が使える様だからって最初はみんな警戒したって話だ。それと、髪の色が変わったとかも言っていたなぁ」
「髪の色がですのっ!? な、何色にですの!?」
「悪い、そこまでは聞いてない。風のメッセンジャーでもありゃぁもう少し詳しくわかるんだがな、ドドスの仲間からの話もエルフの渡りからの情報らしいからな」
渡りのエルフから?
あたしはすぐにシェルを見る。
しかしシェルは首を振る。
「あたしが聞いたのは生まれ変わりだから生き返りの話は誰も言わないわよ?」
そう言われればそうだ。
転生者を探しているとなれば通常は産まれた赤子などを探す。
しかし何かの間違いでティアナの魂が死んだばかりの人間に宿ったのであれば‥‥‥
「シェル、すぐにでもファイナス市長経由で情報をですわ! 私は『異空間渡り』をどこまで飛べるか試してみますわ!!」
あたしはそう言ってすぐに準備に取り掛かる。
もしティアナだったら!
あたしはとにかく確かめずにはいられなかったのだった。
評価、ブックマーク、ご意見、ご感想いただけますと励みになります。
誤字、脱字ありましたらご指摘いただけますようお願いいたします。




