第十六章16-20混戦
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
本当にこいつら何モンよっ!?
化け物だ!!(ゴエム談)
16-20混戦
「【雷龍逆鱗】! 【流星召喚】! 【竜切断破】! そして【爆裂核魔法】!!」
天に現れた魔法陣から豪雨の様な雷が落ち、真っ赤に燃えた隕石が空から落ちてきて光の大きな刃が魔怪人たちを薙ぎ払い、業火の爆裂が炸裂する!
「うわっ! 何時にも増してなんて魔法よ! エルハイミ飛ばし過ぎ!!」
「なんじゃこりゃ! 規格外もいい所だ!! エルハイミ、てめぇ一体何モンなんだぁ!?」
シェルは爆裂核魔法の熱風にあおられ慌ててあたしのそばまでやって来る。
ゴエムもあたしの大魔法を連続で間近で見て【防壁魔法】を展開しながら文句を言ってくる。
「仕方ありませんわ! こんなに魔怪人たちがいるのでは! それよりゴエム、ちゃんと二人を守っているのですの!?」
「やってるわっ! それよりあのちびの所に魔怪人が集中してるぞ!!」
見ればコクの所に魔怪人たちが集中している。
しかしコクは笑ってやって来る魔怪人たちにドラゴン百裂掌を放つ。
「我を黒龍と知っての狼藉か!? よかろう、その身に我が裁きを食らわせてやる! 受けよドラゴン百裂掌!!」
クロエさんのドラゴン百裂掌よりコクの放つ方が数倍強力のようで一撃一撃が重く魔怪人たちはその攻撃を食らい見事にに引き裂かれていく。
それを見たゴエムはまたまた驚く。
「本当にお前ら何モンなんだ!? あのガキ一人であんなに魔怪人ぶっ倒してるぞ!?」
「コクはもと太古の黒龍ですわ! 女神殺しの!!」
ゴエムは一瞬あっけにとられた顔をするもすぐに苦笑をして更に【防壁魔法】を展開してとび来る魔怪人の攻撃を防いでいる。
「まったく、お前らはやはりホリゾンにとって最悪をもたらす存在だ! しかし今はそれが助かる! とっととこいつらなぎ倒して『狂気の巨人』復活を防いでくれ!!」
「言われなくてもやっていますわ!」
あたしは追加の魔法を発動させる。
上空では飛び上がった初号機が巨人に対して剣戟を振るいその性能を遺憾なく発揮していた。
『喰らえっ! ガレント流剣技一の型、牙突!』
『やっちゃえティアナ!!』
どすっ!
初号機の繰り出す技をモロに食らった巨人は喉を突き切られ鮮血を吐き出しながら倒れる。
「はぁっ! ドラゴン百裂掌っ!!」
どががががががぁっ!
クロエさんのドラゴン百裂掌が巨人に炸裂してその固い鱗を無残にも剥ぎ取りこちらも大ダメージを与えている。
「流石ね、ティアナ将軍、エルハイミさん! しかしこちらもまだまだ終わってはいないわ! 【融合魔法】! 来たれ巨人どもよ!!」
懐からまたまた魔晶石を引き出しイパネマは惜しみなくそれを使っていく。
魔怪人たちがどんどん融合して融合魔怪人になりその能力を俄然引き上げあたしたちに殺到してくる。
魔晶石によりまたまた現れた魔法陣からは巨人も出てくる。
一体どこまで出てくるのよ!
「きりがないっ! エルハイミこっちもお願い!! 大地の精霊王よ手伝って!!」
「お母様、クロたちが孤立してます! こいつら!!」
攻撃に出たショーゴさんやクロさんクロエさん、そしてドラゴンの姿でティアナの初号機と一緒にドラゴンブレスを吐き散らかすセキ。
並の軍隊であればすでに大被害になっているはずなのに融合魔怪人や巨人たちには恐怖心も何も無いから倒れても倒れてもあたしたちに殺到してくる。
「くうっ! 流石に数が多すぎますわ!!」
「言ったでしょエルハイミさん、ジュメルの全戦力を使わせてもらうと! もうすぐよ、もうすぐで『狂気の巨人』が復活するのよ! そうすればこの世界は終わり。やっと復讐が終わるのよ!!」
「復讐ですって!?」
あたしは叫びながらイパネマを睨む。
するとイパネマは心底嬉しそうに笑いながらあたしに言う。
「そうよ! あなたたち貴族どもにないがしろにされた私たちがどれだけ苦しめられたか! どんなに努力しようがどんなに些細な幸せをつかもうが全て奪い去る! 私の妹や弟の命も、私の乙女も、そして私の愛したあの人もすべてお前ら貴族どもが、国が、力あるものが私たち弱きものを搾取してのうのうとしている!! だから復讐してやるのよ! 私の四百年にわたる復讐もこれでやっと成し得る!! さあクク、今がチャンスよ! エルハイミさんの首を取りなさい!!」
既に気が狂ったかのように笑い声をあげながら魔晶石をどんどん引っ張り出しイパネマは融合魔怪人や巨人を更に呼び出す。
そんな中あたしの背筋をぞくりと寒気が襲う。
「させるかぁ! 光の精霊よ来てっ!!」
シェルがあたしにむかって光の精霊をぶつけてくる!?
「なんですのぉっ!?」
あたしが驚いたその瞬間、目の前にダークエルフの少女が姿を現した。
彼女はその手に持つ黒塗りの短剣をあたしに向けていたけどシェルの精霊魔法に阻まれ大きく飛び退く。
「くっ! エルフめっ!! 殺りそびれた!!」
「何をしているのクク! せっかくのチャンスを! エルハイミさんを殺りなさい! 彼女さえいなければこの戦い勝てるわ!!」
ククと呼ばれたダークエルフの少女は闇の精霊魔法を唱えあたしにそれをぶつけて来ようとする。
しかしシェルの精霊魔法がそれを阻止する。
「邪魔だエルフ!」
「あんたこそ! エルハイミは殺らせない!!」
シェルとククの攻防が繰り広げられる最中またあたしの背筋をぞくりとさせる感覚が!?
キンっ!
「全く、すげえ魔法使う割には足元がお留守だな、エルハイミよ?」
あたしのすぐ後ろに現れたその人はニヤリと笑いながら襲ってきたダークエルフの刃からあたしを守ってくれた。
「ドゥーハンさん!?」
そう、英雄の一人ドゥーハン=ボナバルドその人だった!
「馬鹿野郎、ダークエルフっつったら一人じゃ行動しねえんだよ! 【魔法解除】! それ、奴らが姿現したぞ!」
「ええっ!? ご先祖様!?」
周辺に潜んでいたダークエルフたちを【魔法解除】アンチマジックで引きずり出したのは魔法王ガーベル!
あたしたちのご先祖さまだった!!
「何とか間に合いましたね? エルハイミ、気を引き締めなさい!!」
さらに声のした方を見るとなんと師匠までも!
「師匠! それにご先祖様までも!? ご先祖様、逃げたのではなかったのですの!?」
「おまっ、こんな時に何言う! これから生まれてくるメルたちの子供の為にも今俺が手を出さないでどーする? 逃げたんじゃない、ライムがすぐそばまで来たからちょっと野暮用であの場から離れただけだ!」
「それを逃げたと言うのですわ!!」
ご先祖様はそう言いながらも幅広のでかい大剣を振り回しながら融合魔怪人たちを薙ぎ払っている。
「それよりこいつらを先に片付ける事が先決じゃ! どれ、久々にどっちが沢山打ち取れるか勝負じゃよ、よいかデミグラス王よ!?」
「おうさ、受けて立つぞオルスター! 負けた方がおごりでたらふく酒を飲ませるというのでどうじゃ!?」
見ればバトルアックスを振り回しながらミスリルの鎧に身を包んだドワーフ王とその友、オルスターさんが戦斧を縦横無尽に振り回しながら突っ込んで行く。
「何なんだこいつらっ!? ものすごく強いぞ!? って、学園長まで!?」
馬車で守りに徹していたゴエムは現れた英雄や力ある者たちを見ながら驚いている。
あたしも改めて周りを見ると他にも沢山のみんなが!
「シェルっ! 下がれ!!」
ひゅんっ!
どすっ!
ククと対峙して精霊魔法を使っていたシェルが飛び退くと一本の矢がクク目掛け飛んでいき心臓を撃ち抜いたように見えた。
しかし僅差で気付いたククは身をよじり風の魔法の防御までつかってその矢を心臓では無く左肩に逸らせた。
「くっ! 邪魔が入った!!」
「クク下がりなさい! まだあなたに死なれては困るわ!」
「ちぃっ!!」
なおも戦おうとするククにイパネマは叫び引かせる。
「全く、ダークエルフの精霊魔法如きに打ち勝てないとは。まだまだですねシェル?」
「全くだ」
「ひゃぁっ!? ファ、ファイナス長老!? ソルガ兄さん!?」
現れたその人物にシェルは飛び上がるほど驚いている。
そう、エルフのファイナス市長とソルガさんだ!
ここへきて次々と襲い来る融合魔怪人や巨人たちに変化が起こり始めた。
じわじわと包囲網が縮んでいたのが押し戻し始めたのだ。
「よぉしぃっ! このまま押し切るぞ!」
『おうさっ!』
ご先祖様のその声に駆け付けてくれたみんなが一斉に返事をして戦いの渦に飛び込んで行くのだった。
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