第十三章13-19ユグリア燃える
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
エルハイミ!
あたしも行く!!(マリア談)
13-19ユグリア燃える
シェルから知らせを聞いたあたしたちは慌ててティナの町のゲートをくぐりガルザイルからボヘーミャまで飛んだ。
「ティアナ、エルハイミ! やはり来ましたか、私も行きます!」
ゲートをくぐって精霊都市ユグリア行きのゲートに行こうとした時に声がかけられた。
「「師匠!」」
「ファイナス市長から緊急連絡が来ました。貴女たちならきっとゲートでここを通ると思いました。私も行きます」
そう言って師匠もユグリア行きのゲートに入る。
「師匠、良いのですね?」
「大丈夫です、それより急がないと」
「行きますわよ、ゲート起動しますわ!」
ティアナが師匠に聞くがファイナス市長が師匠にも救援援助を求める程だ、急がなければならない。
学園の事は大丈夫と師匠も言うのだ、あたしは迷わずゲートを起動させ精霊都市ユグリアに飛ぶ。
* * *
「あ、貴女たちは! お願いです、ユグリアを助けてください!!」
声のした方を見ればゲートの守りをしていたエルフの男性がいた。
ソルガさんはいない?
「戦士長は既にユグリアに行きました! 巨人が、巨人が攻めて来たのです!!」
あたしは「巨人」と聞いてすぐにあの巨人を思い出した。
まさかユグリアの近くにあんな物を送り込んでいただなんて!
「わかりました、行きます!」
師匠はそれだけ言うとユグリアに向かって走り出した。
ティアナやあたしもそれに倣って走り出す。
「ティアナ、アイミは使ってはダメですわよ! 私たちが巨人を何とかしますわ! ティアナは守りをお願いしますわ!」
走りながらあたしはティアナに言う。
「しかし!」
「大丈夫よ、あたしたちは強いんだから! クロエがパパっと巨人なんか倒してくれるわ!」
ティアナの異論をシェルが人任せな発言で遮る。
「こら、ボケエルフ。なんで私が出やがりますか!? ま、体を動かすのは嫌いじゃいやがりませんが」
「クロエ、頼みますよ?」
しかしクロエさんはコクに言われると心底嬉しそうに言う。
「黒龍様! お任せください!!」
「現金な奴だなクロエは。むっ、見え来た!」
クロさんにそう言われ前を見ると「緑樹の塔」の向こう側にあの巨人がいた!
精霊魔法や冒険者だろう、魔法で遠距離攻撃を行っている。
たまに精霊の大魔法が発動している所を見ると上級精霊の召喚も行っている様だ。
「私が先行で行きやがります!!」
「ティアナは街の守りと負傷者を! マリア、何かあったら知らせてですわ!」
「わかった! エルハイミ気を付けて!」
マリアはそう言ってティアナの肩に留まってもみあげの髪をつかむ。
「エルハイミ!」
「大丈夫ですわ、私にはコクやみんながいますわ! 無理はしません、私を信じてですわ。だからティアナはあの力は使わないでですわ‥‥‥」
あたしはそう言ってティアナに軽いキスをしてその場を離れた。
* * *
「はあぁぁぁぁっ! ドラゴン百裂掌ぉっ!!」
最前線に飛び出したクロエさんは大きく飛び上がり更に角と翼、尻尾を出して巨人の胸の所まで飛び上がりドラゴン百裂掌を打ち込む。
ドガがガガガががぁぁぁっっ!!
防御の魔法がかかっていなかったのか、クロエさんの直撃を食らった巨人は大きくよろめいた。
「ユカっ!」
「ファイナス市長! 助太刀に来ました!!」
最前線の指揮をとっていたのはファイナス市長だった。
その横で矢を放っているソルガさんもいる。
「エルハイミたちか! 助かった! デカすぎて普通の魔法も弓も効かない、足元には魔怪人たちもいる!」
そう言ってソルガさんは魔怪人に矢を当てる。
しかし普通の矢ではさしたるダメージにならない。
「ソルガ兄さん退いて! このぉっ!」
シェルが三本同時に放ったやは魔怪人たちに当たって内部から破裂させ殲滅した!
「シェル、お前!?」
「いいから兄さんは精霊魔法で足止めをして! 魔怪人はあたしたちに任せて!!」
「【流星召喚】メテオストライク!」
師匠が師匠最大魔法【流星召喚】をしながら衝撃波で魔怪人たちを薙ぎ払う。
「【雷龍逆鱗】! 【地槍】!!」
あたしも急いで前線の魔怪人たちに広範囲魔法や足止めの【地槍】を放つ。
「うわぁっ! 【炎の矢】!」
イオマが漏れ出てくる魔怪人に頑張って【炎の矢】を数十本出して当てる。
流石にこれだけの数を食らうと魔怪人でも足止めになってしまう。
「ストライクモード! はぁっ!」
ざしゅっ!
ショーゴさんがイオマが足止めした魔怪人を一刀両断にする。
そしてそのまま魔怪人たちの中に飛び込んで行って次々に魔怪人たちを切り伏せる。
「黒龍様、あの哀れな同胞に引導を渡してきます。どうぞ主様の元を離れないように」
「心配ありません、クロよ行ってきなさい。あの者に安らかな眠りを」
「はっ!」
コクに命令されクロさんも動き出す。
「ベルトバッツよ! 我とお母様を守れ! お母様ブレスを吐きます! 前を開けてください!!」
「御意」
そう言ってコクは大きく息を吸う。
コクの周りにベルトバッツさんたちが現れる。
コクが今にもドラゴンブレスを吐き出す!
察知してあたしたちは直ぐにその場を離れる。
そこへ可愛らしいコクの口からは考えられないドラゴンの業火が吐き出される!
ずぼぼぼぼぼっぼぉっっっ!!
この世で一番熱いとされている黒龍のドラゴンブレス。
幼竜とは言えその炎はそこら辺の成竜の比ではない。
とたんに魔怪人たちを炎に包みその姿を溶かし燃やし尽くす。
「グロロロォォォオオオオォぉぉっ!!」
ざくっ!
ドォオオンッ!
巨人を見ると左腕をクロさんに切り落とされたところだった。
完全にこちらの戦力がこの攻撃を抑え込み始めていた。
既に街の端は魔怪人たちに破壊され瓦礫になっていたがその最前線をあたしたちが押し返す。
「しかし、どう言う事ですわ? 魔怪人が多すぎる! これほどの魔晶石核を作っていたなんてですわ!」
黒ずくめでは無い、ここにいるのはみんな魔怪人たちばかりだ。
それが雑兵のようにどんどんと湧いて出てくる。
あたしがそんな疑問を持った時だった。
「やぁあぁと出ていてくれましたかぁ、エルハイミさん! おや、見ない顔もいますねぇ」
「この声は!? ボーンズ神父!」
魔怪人たちが道を開き、そこからあのボーンズ神父が着ぐるみで無く神官服姿で出てきた。
「全くなかなか出てこないから本部にお願いして戦力を分けてもらいましたよ。おかげでユグリアを攻略して来いとか言われましたが、まあ仕方ない。私はあなたたちが欲しいのですからね、それとエルハイミさんが「女神の杖」を持っているのも聞きました。それもお譲り願いましょうか?」
「冗談ではありませんわ! 誰があなたになど! それに私は新婚ほやほやで忙しいのですわ!」
あたしがそう言うとボーンズ神父は大いに驚いた。
「な、何ですってぇっ!? エルハイミさんそれは本当ですか!? そ、そんな、教祖が誰かと一緒になるなど信者の希望が失われてしまう! 一体誰と一緒になったと言うのですか!?」
「エルハイミ!」
ボーンズ神父がそう訳の分からない事を叫び頭を掻きむしっている間にティアナがやって来た。
「エルハイミ、あちらはもう大丈夫です。むっ? あれはジュメルの神官服! まさか十二使徒!?」
「誰かと思えば連合の将軍、ティアナ姫では無いですか‥‥‥ 全く、忙しいと言うのに‥‥‥」
「ティアナ! あなたっ! 来てはだめですわ!!」
あたしはティアナがこちらに来たことに内心焦っていた。
ボーンズ神父にティアナは会ってしまった事もそうだが、あのボーンズ神父の事だ何をしてくるか分からない。
「あなた? エルハイミさん、今ティアナ姫を『あなた』と呼んだ? まさかあなたたちは‥‥‥」
「そうですわ! ティアナは私の素敵な旦那様! 誰があなたの所へなど行くもんですかですわ!!」
あたしはボーンズ神父を睨む。
しかしボーンズ神父は大きく笑い始めた。
「ふはっ、ふはっははははははっ! あーっはっはっはっはっはっ! 素晴らしい、これは驚かされた! エルハイミさん、貴女同性愛者だったのですか!? これは正しくエンターテイメント! つくづくあなたには驚かされる! 気に入った、ならばティアナ姫共々私のモノにしてあげましょう! お前たち、行きなさい!!」
狂ったボーンズ神父の号令の下、更に大量の魔怪人たちがあたしたちに襲いかかるのであった。
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