第三章3-10大魔導士杯第一戦目その二
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
見てる方は面白いんですがねぇ~。
3-10大魔導士杯第一戦目その二
見事にひっかけ問題で生徒会長ロザリナさんは参加チームを翻弄する。
陰険と言うより、言葉一つ一つにも注意しなきゃならないわけであって、実は魔術師としてはこう言ったことも重要になるわけで‥‥‥
しかし、ひっかけられた方は気分がよろしくない。
そんな参加者の様子を楽しんでいる節がある生徒会長ロザリナさん、結構サドってますよ。
「第三問目行きます。点火魔法では魔力を炎に変えて点火するわけですが、水中でこの魔術を行った場合点火出来るでしょうか、出来ないでしょうか?」
えーと、魔法の点火だけど、水中でと考えるとすぐ消えるから点火出来ないで良いのかな?
今までひっかけ問題ばかりなのでついつい言葉の裏まで考えてしまう。
「これって、ひっかけ問題かしら? 水の中で点火したってすぐに消えちゃうでしょ? そうすると点火出来ないで良いのかしら?」
ウーウー唸りながらティアナも俺と同じように考える。
「そうですね、答えは『出来る』で良いと思います」
アンナさんが俺たちと違う答えを導く。
「質題は『出来る、出来ない』と聞いているわけですから、たとえ一瞬点火できても出来たと捉えるべきでしょね」
確かに魔法の点火ならばたとえ水中とは言え一瞬でも確実に点火は出来る。
もちろん点火した瞬間にすぐに周りの水に消されるけど、魔力を炎に変える瞬間は確実火がおこせる。
出来る出来ないの質題となると「出来る」でいいのかな?
ここはアンナさんの言う通りにするべきか?
「うーん、アンナの言う通りにしましょう。下手に考えても仕方ない」
ティアナの最終判断でボードに『出来る』と書いて一斉開示に開く。
意外と答えは割れていて、出来る出来ないの回答が半々。
既にみんな疑心暗鬼になっているのか?
「それでは、回答です。答えは『出来る』でした! たとえ一瞬でも魔術の場合は点火の炎は存在できます。これは魔力を純粋に炎に等価交換した結果ですので通常の引火とは別物だからです」
回答に間違えたチームからブーイングが上がる。
確かに問題自体は「出来る、出来ない」だから継続では無いわけだ。
しかし、何と言うか、本当に奥歯にものが挟まったようないら立ちが付きまとう。
ちなみにイザンカチームは正解。
もし俺たちが後の二問を間違えるとイザンカチームと同点で延長戦に入る。
と、ここで生徒会長がとんでもないことを言い出す。
「それでは第四問の前に、ボーナスタイム突入です!これより二問は正解するとポイント三倍となる大逆転チャーンス! 参加チームの皆さん、まだまだあきらめてはだめですよ~、逆転チャンスです!」
おい、生徒会長、今までは何だったんだよ!!!?
「流石ボヘーミャ、心理的な揺さぶりが激しいですね」
あ、アンナさん笑ってる。
ちょっと、笑い方が怖いってばっ!
「もしここで私たちが残り二問中一問でも間違えてしまい、イザンカチームが残り二問正解すればこちらの負けになってしまう。多分次の問題は全チーム正解となる問題となるでしょう」
一見有利に進んでいた俺たちでも結局は最終問題で白黒つけさせられるように運ばれている。
まさしく運営の横暴だが観客には面白い見世物となる。
「それでは行きますよ、第四問目! 風を司る女神はメリル様、それでは土を司る女神様は誰?」
あー、本気で最後の一問で勝敗をつけさせられるのかよ!
ボーナス問題も良い所、こんなの一般市民だって知っている。
答えはフェリス様!
誰も特に何も言わずティアナはフェリス様の名をボードに書いてオープン。
流石に全チーム正解。
ここにて勝敗が決まったチームもいるけど、うちのチームを含め六区画が最後の問題で逆転がありうるという状況。
現在うちのチームが合計点で六ポイント、対するイザンカチームは合計で四ポイント。
次の五問目で両方とも正解なら何とか逃げ切り、もしうちが不正解でイザンカチームが正解だと一ポイント差で逆転負けになってしまう。
会場は一般客含め妙に盛り上がっている。
そりゃあ、有利だったのが一気に逆転されたら面白い見世物だ。
ティアナなんかさっきからずっと額に「おこ」の血管が浮き上がっている。
「今まで何だったのよ! アンナ、次絶対に正解しなさいよね!!」
かなりおこである。
アンナさんもなんか笑い方がおかしくなっている。
「うふふふふ、殿下お任せください、どんなひっかけでも次の問題はしっかり正解して見せますわ!」
あー、アンナさんも結構おこですね~
わかるんだけど、まさかそれが狙いか?
生徒会長を見るとにやにやしている。
またなんか意地悪なひっかけ来るか?
どんどん疑心暗鬼になっていく。
「それではお待たせしました、最後の問題行きます! 第五問目、魔法には各女神様の恩恵があります。では、我々人類にとって恩恵が最も大きい女神様は誰でしょう?」
さて、来ましたいろいろと迷わせる問題。
普通に考えれば実生活や使用頻度が大きな魔術、つまりそれに属する女神さまが一番恩恵がありそうなんだけど‥‥‥
俺たちはアンナさんを見やる。
アンナさんはいろいろと考えているようで、ぶつぶつと独り言を言っている。
この問題は女神信仰者にとって非常に問題となる。
自分の信じて崇拝する女神にどうしても心傾くが「人類にとって恩恵が最も大きい女神様」となるとそうはいかない。
「アンナ‥‥‥」
「アンナ殿」
「‥‥‥」
全員の視線がアンナさんに集まる。
するとアンナさんは重々しく口を開くが。
「心情的には知識の女神オクマスト様を上げたいところですが、人類にとってとなるとやはり使用頻度の一番高い魔術の女神様‥‥‥」
アンナさんは自分の考えをまとめ始める。
しかしどの女神かはいまだに迷っている様子である。
いろいろ役に立つ女神様ばかりで‥‥‥
ん?
と、俺はふとあることに気付く。
「アンナさん、魔法の属性恩恵は確かに各女神様ですが、人類に恩恵をもたらしたのって‥‥‥」
そこまで言ってアンナさんは、はっとなる。
ティアナからボードを受け取り、その女神の名を書き込む。
ちょうど開示時間となり、ぎりぎりでボードを開示する。
そしてそこに記された女神の名は‥‥‥
「天秤の女神アガシタ様」
他のチームも一斉に回答をするが、天秤の女神の名を描いたのはうちのチームだけ。
それを見たイザンカチームは「何、あんななーんもしない気まぐれ女神の名前書いてるんだよ!?」という顔をしている。
万が一イザンカチームが正解だとここでうちのチームは逆転負けしてしまう。
「それでは、最後の問題の回答です! 皆さんいろいろと思うところはあるでしょうが、もう一度伝説を思い出してください。女神さまの御業の秘密を広めたのは魔法王ガーベルですが、その御業を教えるようにした女神様は~、そう、『天秤の女神アガシタ様』です!!」
え”え”ええぇぇぇっっーっ!!!?
うち以外の参加チームのほぼ全員が一斉に声を上げる。
小さなお子さんから魔術研究者まで知っている伝説。
人類に魔法の恩恵を広めたのは確かに魔法王ガーベルであるけど、その決断したのは気まぐれ女神、「天秤の女神アガシタ」である。
人類にとっての恩恵、確かに一番影響力あるのはアガシタ様である。
良いのかそんなので??
なんか気持ち的にアガシタ様ってものすごくいい加減な女神に感じるのは俺だけだろうか?
しかし、勝ちは勝ちである。
最後の最後まで生徒会長ロザリナさんの手のひらで遊ばれたような気がする。
が、何とか第一回戦は勝利を得て、次なる二回戦に進出だ!
あー、憂さ晴らしに今日も出店食べ歩きツアーしそう。
評価、ブックマーク、ご意見、ご感想いただけますと励みになります。
誤字、脱字ありましたらご指摘いただけますようお願いいたします。