第十章10-12百獣の王
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
白ぃ~マットのおぉ~
ジャァ~ングルでぇ~
あ、違った‥‥‥(ライオン頭の悪魔談)
10-12百獣の王
ショーゴさんはライオン頭と対峙している。
『ふっ、俺はたとえ女だろうと誰だろうと容赦せん。ましてや男のお前など瞬殺だ、覚悟しろ!』
そう言ってまたふっと消える。
しかしショーゴさんは目をつぶってその場を動かない?
そして斜め後ろにストライクモードのなぎなたソードを一閃させる。
ガキィンッ!!
甲高い金属と金属がぶつかり合う音が鳴り響く。
そしてその場にあのライオン頭が姿を現した。
『なっ!? 俺の爪を受け止めただと!?』
「どんなに動きが早くても気配が駄々洩れだぞ?」
そう言ってショーゴさんは肘から小刀を引き抜きライオン頭に切りつける。
『うおっ! あぶねぇっ!!』
ライオン頭はまた姿を消して元いた場所へ戻る。
しかし戻ったライオン頭は胸に浅い切り傷をつけていた。
ライオン頭はその傷に手を当て垂れ始めた血を確認する。
『俺の体に傷をつけたやつは久しぶりだ。お前の名前は?』
「ショーゴ・ゴンザレスだ」
「俺はブエル、ショーゴ・ゴンザレスお前を戦士と認めて本気で相手してやる! ゆくぞ!!」
そう言って力むと体の筋肉がぼこぼこと盛り上がり一回り大きくなった!?
ええっ!?
ウサギを倒すのにも全力とか言ってたのに!?
あたしは盛大に心の中で突っ込みを入れていた。
しかし、ショーゴさんはそれを見て仁王立ちで叫ぶ。
「よかろう、こちらも本気で行く。むんっ、転身、とおっ!」
最近なぎなたソードのおかげで変身していなかったショーゴさんは急いで服を脱いで飛び上がりながら異形の兜の戦士に変身する。
そしてそのままライオン頭に魔力のこもった蹴りを入れるがライオン頭はそれを片手で受け止める!
『本気で来い! ショーゴ・ゴンザレスよ!!』
そう言ってショーゴさんの足をつかみ壁に放り投げる!
ショーゴさんは空中で体制を直し壁を蹴り上げてそのままなぎなたソードを構えライオン頭に飛び込む。
なぎなたソードが一閃するが残像を残してライオン頭は既にその場を離れている。
空を切ったなぎなたソードだがショーゴさんはつかさず腰から短刀を引き抜く。
そして自分の脇腹をガードする。
どがっ!
『本気で来いと言った!』
ショーゴさんは今度こそ壁に叩きつけられる。
しかし短刀でガードしたお陰でダメージは少ない。
すぐに起き上がりなぎなたソードと短刀を構える。
「まだまだだっ!」
そう言ってショーゴさんはライオン頭に切り込んでいくがやはり残像を残しライオン頭は移動をする。
だが今度はショーゴさんも気配を頼りに半歩動いて見えない角度から撃ち込まれるライオン頭の一撃を紙一重で避け、そこに短刀を突き刺す!
『ぐおっ!』
短刀を突き刺されたライオン頭はその場でショーゴさんに蹴りを入れるがショーゴさんは短刀を手放し肩の短刀を引き抜きその蹴りを防御する。
いったんライオン頭は距離を取り腕に刺さった短刀を引き抜く。
『ふふっ、楽しませてくれる。今度はこちらから行くぞ! 【閃光獅子牙】!!』
そう叫ぶとライオン頭の両腕が光って無数の光の線がショーゴさんを襲う。
ショーゴさんはその閃光を目にも止まらないほどの動きでなぎなたソードと短刀で弾くがストライクモードのプロテクターが火花を散らしながら次々と傷ついて行く!?
ええっ!?
特製ミスリル製のあのプロテクターを削ってるの!?
硬さで言えば鋼よりずっと堅いミスリル。
しかも魔力付与されていて防御力もずっと上のはず。
それを削るとは!
ばきんっ!
どがっ!!
激しい攻撃にミスリル製の短刀が欠けた!?
そしてショーゴさんは攻撃を受け再び壁まで飛ばされ激突する!
壁に叩きつけられたショーゴさんは蜘蛛の巣のようなひびを壁に這わせてそのまま壁にのめり込んだ。
「ぐはっ!」
ショーゴさんは呻き声をあげ動かなくなってしまう。
それを見たクロさんが前に出た。
「仕方ない、人間にしてはよくやった方だ。次は私が相手してやろう」
「ま、待てクロ様。まだ終わっていない」
そう言ってショーゴさんは壁から這い出てきて地面に着地する。
肩で息をしているがその足並みはしっかりとしている。
クロさんはそれを見てから黙って下がった。
「感謝する、クロ様」
ショーゴさんはそれだけ言って左手をあげてあたしに叫ぶ。
「主よ!」
左手を掲げる意味をあたしはすぐに理解してコマンド魔法を飛ばす。
「【爆炎拳】起動!!」
『何を始める気か知らんが行くぞ! 【閃光獅子牙】!』
再びライオン頭の両腕が光り閃光が走る。
ショーゴさんはあたしのコマンド魔法を受けたのにまだ義手を展開させない?
なぎなたソードと腰から抜いた短刀でまたまた無数の閃光を弾いている。
しかしやはり捌き切れないのかプロテクターが火花をあげながら削られていく。
そしてとうとうミスリル製のプロテクターが破壊され崩れ落ちた!
手刀の爪を伸ばした突きがショーゴさんの喉を襲う!!
が、しかし間一髪でなぎなたソードを手放しその手刀を右手で受け止める!
どすっ!
鈍い音がして手刀の爪が腕を貫く。
しかしショーゴさんは右手に力を入れてその爪が抜けないようにした!?
「捕まえたぞ!」
ショーゴさんの左の義手が輝き、その力を開放する。
双備型魔晶石核から一気に大量の魔力が追加して送り込まれ、ショーゴさんの手のひらに真っ赤な魔晶石が現れそして輝き始める。
左の拳の爪が伸び、下腕の排気ダクトが開きブーストされた圧縮魔力が炎となって吹き出す。
『な、なんだとぉっ!?』
至近距離で動きを封じられたライオン頭は慌てて開いている手でショーゴさんを叩き潰そうとするがこちらの方が一歩早い!
「うぉぉぉおおおおっ!! 【爆炎拳】!!」
ドガッ!
びきっ!
ばぁああぁぁんっ!!!
至近距離から放たれ当たった瞬間に中国拳法の発勁のようにそこから力がはじけ爆発するかのようにライオン頭の胸をえぐる。
『ぐおおおぉぉぉっっ!?』
そして傷口から一気に炎を立ち昇らせ瞬く間に全身を炎で包む。
『み、見事だ、ショーゴ・ゴンザレス。俺の負けだ‥‥‥ お、俺が死んだら残りの酒を俺にかけてくれ、あ、あれは良いものなんだぁ‥‥‥』
なんか最後に庶民じみたセリフを言ってライオン頭はその場に倒れて燃え尽きていった。
ぶしゅうぅぅぅぅ・・・・
ショーゴさんの腕から冷却の排気が出る。
それと同時にショーゴさんはその場に跪く。
やはりダメージが大きかったようだ。
「うはぁ~、強かったねぇ、ライオン。ショーゴがここまでやられるの初めて見たよ」
「ショーゴさん、大丈夫ですか?」
シェルやイオマがショーゴさんに駆け寄る。
ショーゴさんは変身を解き、元の姿に戻る。
「きゃっ! ショーゴさんいきなり変身を解かないでくださいよぉ!」
顔を赤くしてイオマは抗議する。
しかしあたしはショーゴさんの近くまで行って【解除魔法】を使ってから【回復魔法】をかける。
変身が解けるほどだ、だいぶ消耗しているみたい。
「やはり悪魔の攻撃はたとえ傷でなくても浸食しますかですわ? クロエさんもこちらに、呪いを解いておかないといつまでも傷が治りませんわ」
「くっ、気付いていやがりましたか主様」
そう言ってクロエさんは素直にあたしの所まで来て解除魔法を受ける。
「すまない主よ、せっかくいただいた鎧を破壊された」
「鎧はまた作ればいいですわ。それより問題はその右手ですわ。動かせそうですの?」
あたしは回復魔法で傷口は閉じたけど魔法機構のショーゴさんの体が心配になってきた。
これだけ激しい戦闘の後だ、もしかしたらメンテナンスが必要かもしれない。
あたしは同調して感知魔法でショーゴさんを確認する。
するとやはりあちらこちらがダメージを受けている。
「これは時間がかかりますわ、私はショーゴさんの治療をしますわ」
「ならば主様の為に我々だけでも先行しましょう、黒龍様は主様とご一緒に。クロエ先に行って黒龍様と主様に道を開けるぞ」
「わかりました。では黒龍様、主様先に行きやがります。主様、私がいないからと言って黒龍様に手を出すんじゃないでいやがりますよ!!」
そう言って二人は先行した。
あたしはショーゴさんに向き直って床に寝そべるよう言う。
そして感知魔法で問題のある部分を一つ一つ治療しながら最後に一番ダメージの大きい右腕を見る。
そしてやはりここのダメージが深刻なのに気付く。
「参りましたわね、この傷はかなり深いですわ。治療するには素材が足りなくなってしまいますわ」
「そうだ、そう言えばエルハイミ、これって使えるかな?」
そう言いながらシェルはポーチから双子が身に着けていた金色のプロテクターを引っ張り出す。
それを手渡させられながらあたしはそれを感知魔法で見てみると‥‥‥
「お、オリハルコンですのぉ!?」
「え? オリハルコン??」
「お姉さまそれ本当ですか!?」
「主様、オリハルコンとは珍しいですね」
どうもシェルは分かってないみたいだけど、イオマやコクは分かっているようだ。
ミスリルと違い女神様たちが使ったと言われる金属。
通常はお目にかかる事すら出来ない超貴重な金属!
そうすると今まで倒してきた悪魔たちが身にまとっていたあのプロテクターってもしかしたら全部オリハルコン!?
「シェ、シェル、もうこの金色のプロテクターって無いのですの!?」
「ああ、なんか金ぴかで奇麗だったから全部回収してあるわよ? 悪魔が持っていたアイテムですもの、きっと何かの役に立つかもしれないってね」
こいつ呪いのアイテムと言う事は考えていないのだろうか?
どこまで前向きなんだか。
しかしこれはすごい、何せ神話級のアイテムだ。
ん?
そう言えばショーゴさんのプロテクター作り直さなきゃだった。
でも目の前に素晴らしい素材があるし‥‥‥
あたしは壊されたミスリルの鎧を使ってショーゴさんの腕を直し、ミスリルに埋め込まれていた融合魔晶石を回収する。
そしてシェルから渡されたオリハルコンの鎧を再錬成する。
すると‥‥‥
「お、お姉さま! 何ですかこれはっ!!!?」
「主様、すごい! この力!」
そう、出来あがったオリハルコンのプロテクターはものすごいマナと魔力を帯びていた。
あたしはそれをショーゴさんに手渡す。
「主よ、俺にか?」
「ええ、これが新しい鎧ですわ。オリハルコンの鎧、女神様たちが身に着けたという金属の鎧ですわ」
鎧を装着したショーゴさんは驚く。
「主よ、魔力循環がものすごいぞ! こ、これはっ!」
ショーゴさんの左腕がコマンド魔法無くして展開している?
左腕を見ながらショーゴさんはあたしに振り向いた。
「魔力循環が活発になって私のコマンド魔力が必要としなく成ったのですわ。これで今後はショーゴさんの意志だけで【爆炎拳】が起動できますわ!」
あたしとしてもうれしい誤算だった。
ただ防御力が上がるなーってくらいにオリハルコンを使ってみたけど女神様たちが身に着けていた金属と言うのは伊達じゃない。
あふれるその力でコマンド魔法が必要にならなくなるとは。
本当にうれしい誤算だ。
「さあ、クロさんとクロエさんの後を追いますわ!」
「あ、ちょっと待って、エルハイミ。ライオンの鎧も回収しておくから」
「む、そう言えば‥‥‥」
ショーゴさんは部屋の片隅からあのお酒を持ってきてシェルが金ぴかの鎧を引っ張り出した後の遺体に酒をかける。
「約束だ、これを飲んで成仏するがいい」
あたしはシェルが引っ張り出した金ぴかの鎧を見ながらあのライオン頭が親指立ててサムズアップしながら『俺の鎧、大事に使ってくれよな (歯がきらーん)』的な幻覚を見てしまった。
「えーと、何か一瞬見えてみたいだけど、これしまっておくわね、エルハイミ?」
「はっ!? え、ええ、お願いしますわ、シェル」
「あたしも何か見えたような気が‥‥‥」
「だから悪魔は嫌いなんです、しつこいから」
シェルもあたしもイオマもコクまでもが幻覚を見た?
当分ライオン頭が頭から離れそうにない予感を感じながらあたしたちはクロさんとクロエさんを追うのだった。
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