第八章8-1ホリゾン軍
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
うう~、ジル大丈夫かなぁ?(シェル談)
8-1ホリゾン軍
あたしたちはホリゾン側の砦にアイミたちやシェル、ショーゴさんを連れてきていた。
「どう? 何か動きはあった?」
ティアナは参謀のボナパルドさんに聞く。
「はっ、主よ今の所は何もありません。ゾナー様が偵察部隊とともに村まで向かっております。もうしばしお待ちくだされ」
そう言って伝令に来ていた衛兵たちに次々と指示を出していく。
今はとにかく守りを固め、万が一に備えるしかない。
「エルハイミ、攻めてくると思う?」
「いくら聖戦とは言え宣戦布告をしないで襲って来る事は無いと思いますわ。もしそこまで分別つかない軍隊ですと逆に厄介ですわ」
あたしのその言葉にティアナは「うん」とだけ言って再び衛兵たちの配備や備えの様子を見る。
衛兵たちはゾナーの訓練のおかげでガレント側の衛兵まで動きが良くなっていた。
ほどなくホリゾン側の砦には準備が整った形で配置も終わる。
「ゾナー様が戻るまで現状の維持。各部隊は訓練通りに動くこと! ギルドへの連絡はどうだ? それと町への伝令は終わったか?」
ボナパルドさんは手際よく確認事項をこなしていく。
この辺は流石に元ホリゾン帝国軍の出身者だ。
ガレントより手際が良い。
「主よ、準備が整いました。これより昼夜警戒を行います」
「ええ、お願い。それと大丈夫だとは思うけど一応ガレント側の方の偵察も怠らないでね」
「はっ!」
ボナパルドさんはそう言ってむこうへ行ってしまった。
「それであたしたちは何をすればいいの?」
シェルは砦のバルコニーからホリゾン側の森林を見ている。
ここから北の山岳部までずっと森林が続くけど多分あの真ん中あたりがジルの村だろう。
特にホリゾン側には街道も無く無造作に森林が連なっている。
ここを軍隊が抜けるとなると一苦労だろう。
「当面はゾナーの帰還を待つしかないわね。それまでは見張りよ。シェルは目が良いから何か動きがあればすぐに教えてちょうだい」
「わかったわ」
「エルハイミ、ホリゾン側の地図ってあるの?」
あたしは既に準備していた地図を広げる。
事前にボナパルドさんが要点をメモしておいてくれた地図は非常にわかりやすかった。
「西はすぐに山岳地帯、東は川が流れているか。そうすると大人数で移動するにはやはり森を抜けるしかないのかな?」
「唯一問題はボナパルドさんも書き込んである川の方ですわね。いかだなどを使われるとそこそこの人数を運べますものね?」
あたしは指さすその川は東に向かってそのまま海にまでたどり着く。
先ほど王都には風のメッセンジャーで一報入れている。
コルニャの街やノルウェン王国にも連絡は入れているからあちらも警戒はしてくれるだろう。
それなので要注意は北側の森林と東の川が対象となる。
「まだホリゾン軍の規模が分からないから何とも言えませんが、来るならこの二つのルートですわ」
ティアナもそれを見ながら頷く。
「ホリゾンにしてみれば最南端、補給線も考えると大規模ではないでしょうね、ジルの村を襲ったのも補給が必要だったからかしら?」
「ええ、多分そうですわ。ガレント側との交易は無いですからこちらからの補給ルートは無いはずですわ」
通常ホリゾンとガレントの間の交易はほぼ無いのだが、唯一衛星都市ユエナの方に海上のルートがある。
しかしそれさえも滅多に使われる事無くよほどのことが無い限りホリゾンがこちらのガレントに来る事は無い。
勿論ガレント側も同じでよほどのことが無い限りホリゾンに行く事は無い。
あるとすれば貿易ギルドが細々とつながっているくらいだろう。
後は冒険者とかが行き来するのが関の山だ。
実際十数年前の北陸戦争は一気に南下してきたホリゾン軍がティナの町よりずっと南の所に陣取り戦争を繰り広げていたらしい。
その為ガレント側は終戦後に自国領ぎりぎりのここに最北の砦を築いた。
今思えば無理はしたもののここにティナの町が出来たのは僥倖だったのではないだろうか?
あたしたちがあれやこれや話しているとシェルが叫んだ!
「来たっ! ゾナーたちよ!! 追われてるみたい!!」
あたしたちはすぐにバルコニーへ向かった!
そして森林のすこし開けた所を馬を巧みに操ってゾナーたちが逃げてくる!
馬には村人らしきものも数名乗せているようだ!?
「門をひらけぇっ!! ゾナー様たちが入ったらすぐに閉めるんだ! 弓兵準備せよ!!」
ボナパルドさんが大声で門を開かせる!
ゾナーを筆頭に十数頭の馬やトナカイにまたがった偵察部隊が戻ってくる!
その後ろ、ホリゾンの鎧を着た兵士が数名やはり馬に跨って追ってくる!?
開かれた門にゾナーたちがたどり着く。
そして追手のホリゾン兵はそれを見ると馬を止めこちらを見やる。
既に弓を引いた兵士が壁上に沢山いる。
追手の数は十と少し、流石に分が悪いと判断したようで彼らは踵を返してまた森林の中に消えていく。
「間違いなくホリゾン軍ね。エルハイミ、シェル、ショーゴ一緒に来て。ゾナーからいろいろ聞きたいわ」
ティアナはそう言ってゾナーのもとへと向かう。
あたしたちはティアナについて一緒にゾナーの所へ行くのであった。
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