第七章7-32新たな力
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
うふふっ!
エルハイミちゃん、覚悟はよろしいですか?(アンナ談)
7-32新たな力
あたしたちはアンナさんについて研究室へ行く。
アンナさんはボヘーミャで四連型魔晶石核を使った異世界への師匠を送還する研究を行っている。
これがなかなか難儀で師匠のいた世界の特定がまだ出来ていない。
それなのでさらなる研究を続け師匠のいた世界を特定しようとしている。
しかしながらその過程で魔晶石核を使ったいろいろな副産物を生み出しているらしい。
その一つがこれから試作機を見せてくれるという魔装具だ。
あたしも初めて聞くそれにすごく興味が湧く。
一体どんなものなのだろうね?
アンナさんの研究室に着いたあたしたちは布に隠れているそれを見る。
「これが試作機です。今回作成したのは鎧で、この他にも作成中の物は剣となります。まずはご覧ください!」
アンナさんはそう言って布を取る。
するとそこにはハーフプレートメールと言えばいいのだろうか?
プレートメイルよりは隙間が多く、部分鎧よりはパーツが多い。
特徴的なのは胸の部分に魔晶石核がはめ込まれている事だろうか?
「それで具体的にはこの鎧がどうだというの、アンナ?」
ティアナは見ただけでは分からないので素直に質問をする。
「はい、殿下。それでは説明させていただきます。まずこの鎧は装着した者の防御力と運動能力を瞬発的に大幅に上げる事が出来ます。防御力に関しては【絶対防壁魔法】レベル。運動能力は【筋力強化魔法】がかかった状態なので一定時間約三倍の運動能力を発揮できます」
三倍!?
それはすごい!!
「すごいわね、アンナ! そうするとこれが量産されればかなりの戦力増強になるのじゃないの!?」
「はい、その通りです。この鎧が量産化されれば魔怪人クラスであれば十分に対処できるでしょう。そしてもう一つ、作成中の剣もこの鎧同様に魔晶石核を装備することにより剣自体がその魔晶石核の精霊の属性の魔力を帯びる事が出来ます」
そっちの剣もすごい!
そうすると増産さえできれば魔法騎士並みの即戦力が手に入る事となる!?
これは確かにアコード様が先に見に来るわけだ。
「本当にすごいですわね、アンナさん。しかしこんなアイデア何処から来たのですの?」
「それはグランドアイミの最終融合承認形態を見てふと思ったのです。本体であるアイミは変形することなくその力を倍増している。もしかしたら普通の兵士にもできるのではないかと」
つまりパワードスーツみたいな物か?
ただ話から一定時間しか使用できないっぽい。
「アンナさん素晴らしい発明ですが、先ほどの話だとその効力は時間制限が有るのですの?」
「そうなのです。コストを抑えるためには双備型の搭載は見送りました。しかし魔晶石核単体でも一定時間の魔力増幅が可能なので最大約五分のブーストが出来ます」
制限時間五分でもそれは強力な武器になる。
コストを抑えながら量産性を上げる事で相対的に戦力の増強が出来るわけだ。
「それにこの鎧も剣も普通の鎧や剣より優秀な素材を使っています。ミスリル合金なのです」
「ミスリル合金?」
その名前には以前ここボヘーミャで開催された大魔導士杯決勝戦で支給されたゴーレムも同じ素材だったはず。
ミスリル自体希少金属のはずだけどどういう事かな?
「ミスリル自体はご存じのとうり希少金属ですが、ここボヘーミャでは早くから別の金属とミスリルを混ぜ合わせる事で少量のミスリルで強度や軽さをミスリル金属並みに出来る技術が有ったのです」
それはすごい!
と言うか今まで知らなかった!!
そうと知っていれば在学中からあーんな事やこーんな事も出来たのに!!
ちょっと悔しい。
「そうするともう量産の目途も立っているの?」
「はい、先日アコード様に最終確認と認証をしていただき早急に量産に入ると。生産に関しましてはユーベルトでマシンドール同様に引き続き行うそうです。素材であるミスリル合金はここボヘーミャで生産が可能ですので後は魔晶石核の生産ですね」
そう言ったアンナさんはあたしを見る。
まさか魔晶石核の生産を手伝うの?
「エルハイミちゃん、魔晶石核の生産については今回は精霊都市ユグリアで行うつもりです。実はこの魔装具にはもう一つ利点が有ります。それが魔晶石核の交換による精霊属性の変更と交換できる魔晶石核が有る限り連続ブーストが可能と言う事なのです!」
え?
そんな裏技まで用意してたの!?
あたしは驚き顔でアンナさんを見る。
するとアンナさんはここで初めて心底嬉しそうにほほ笑んだ。
「ふふっ、やっとエルハイミちゃんの驚いた顔が見れましたね? なかなかエルハイミちゃんの本気で驚いた顔は私の発明ではできませんでしたものね。やりました!」
あたしもつられてほほ笑んだ。
そうか、アンナさんも魔道については一研究者。
あたしにはずっと思う所が有ったのか。
あたしは技術ではなく膨大な魔力と前世の知識を使って臨機応変に対応してきた。
決して研究などの成果ではなくどちらかと言うと力技で物事をどうにかしてきた。
だから純粋に発明であたしを驚かせたのがうれしかったのだろう。
参ったな、やっぱりアンナさんはすごいや。
でも‥‥‥
「アンナさんのおかげで私もひらめいたことが有りますわ! シェル、ショーゴさんこれで今後ジュメルの融合怪人にも後れを取ることはありませんわ!!」
「エルハイミ?」
「主殿?」
二人はあたしの顔を見る。
「また何か思いついたのね、エルハイミ!?」
「はいですわ! 早速二人の戦力増強ですわ!!」
あたしはそう言ってさっそく動き始めるのであった。
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