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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第七章
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第七章7-25雪上訓練

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


雪上移動はこれで大丈夫ね!!(ティアナ談)


 7-25雪上訓練



 「どう見るエルハイミ?」



 ティナに言われてあたしは雪原を見る。

 そこにはガレントの衛兵たちが倒れている。


 「あー、初日ですからまだまだですわね‥‥‥」




 ゾナーに言われてうちの国の衛兵さんたちも雪原行動の訓練を受け初め二時間。

 既にみんな体力を使い切って倒れている。

 対してホリゾンの衛兵たちはまだまだ元気だ。


 「まだまだ慣れていないとは言えこれは鍛え直しが必要だな? これでは使い物にならんぞ?」


 いくら雪原訓練に慣れていないとは言えみんなへばるのが早すぎ。


 しかしそれも仕方ない。

 装備の違いが有り過ぎる。


 ホリゾンの衛兵はみんなかんじきを履いている。

 しかしガレント側はそのままブーツで行進をしている。

 これでは身動きが取れなくなってすぐに体力が尽きる。


 

 「ゾナー、ホリゾンの衛兵が履いているのは何? ずいぶんと動きがいいのだけど」


 「ああ、あれは雪の上を埋まらず動くための道具で『かんじき』と言う。雪の深い地域では常識なのだがな。ガレントでは使っていないのか?」


 そう、ガレント側はこの北の砦では雪が降った時の戦闘は籠城戦しか考えていないので移動手段が考案されていない。

 そもそも雪の上を歩いてどうにかする考え自体が無かった。


 なので訓練を始めた時はゾナーはガレント側の装備を見てそうとう体力が有るか他にいい方法があるのではないかと考えていたようだ。


 「体力も無い、道具も無いでは一からやり直しだな。それと、マシンドールのテストだが‥‥‥」


 見ると膝くらいまで埋まっている。

 ゾナーは先にマシンドールにだけはかんじきを履かせていたがやはり重量が違い過ぎる。

 歩くごとに膝くらいまで沈んでしまう。

 ちなみにかんじきをつけないと腰近くまで埋まってしまうのでさらに深刻な状態になってしまう。


 「かんじきでもその重量が殺しきれないか。しかしこれ以上大きなかんじきにすると歩くのも一苦労だしな。どうしたものか?」


 あたしはふとスキー板を思い出し聞いてみる。


 「ゾナー、ホリゾンではスキーと言うものはあるのでしょうかしら?」


 「スキー? なんだそれは??」


 あたしは雪の上に簡単な絵をかきながら説明する。


 「長細い板を足にくくり付け雪の斜面を滑走する道具ですわ。そう言ったものはホリゾンでは無いのですの?」


 「無いな。板か? ふむ、荷重はそうすると板全体に分散されるのか? しかし滑走とはどういうことだ??」


 どうやらこの世界ではスキーと言うものは無い様だ。

 かんじきはあるのにね。


 あたしは近くの手ごろな幹を探してアイミに伐採してもらう。

 そして錬金魔法で板状のものをポコポコ作ってみる。

 

 ワックスとか無いから滑りは悪いけど、とりあえずはこれを使う。

 備品の革靴を取り出しこれも錬金魔法でイメージした固定用の皮紐とかに変える。


 そして板とこの革ひも、懐から取り出した銅貨数枚を使って再錬金。

 出来上がったスキー板を自分で履いてみる。


 ちょっと具合を見てからゾナーに言う。


 「ちょっとやってみますわ、ここで見ていてくださいな」


 そう言ってあたしはここから少し下がった場所を目指して滑っていく。

 久しぶりだけど、何とか転ばず滑れた。


 大体三十メートルくらいかな?

 あたしが移動した後にはきれいな二本の筋が出来ていた。


 「おおっ! これは素早く移動できるな!!」


 「なになに? エルハイミそれ面白そうね!?」


 ティアナもゾナーもあたしに近づいて来る。

 

 「これがスキーですわ。基本的には高い所から低い所への滑走や雪原移動が速くできる道具ですの。ただ、のぼりや森の中は苦手ですわよ」


 「そうか、ソリのようなものか!」


 「ソリって何よ?」


 ティアナはあたしの足元のスキー板をつつきながら言う。


 「雪上の荷馬車みたいなものだ。通常はトナカイなどに引かせるがな」


 ゾナーはそう言ってやはりあたしの足元を見ている。

 あたしはスキー板を外し、ティアナに履かせる。

 

 「足をずる様に交互に動いてみてくださいですわ、何もない時よりずっと早く動けますわ、ティアナ。」


 そう言って平らな所でティアナに雪原移動をさせる。


 「こ、こうかな? おおっ!? ほんとだずり足なのに速く動ける!?」


 「うむ、これはいい考えだな。移動などはこれを使って戦闘が始まればかんじきに履き替えれば使えるな!!」


 ゾナーもそれを見ながらうなっている。

 

 「アイミたちもこれなら埋まらずに動けますわ」


 かんじきを履いても膝近く埋まってしまうアイミがこちらに来た。

 あたしは今度はアイミにスキー板を履かせてティアナと同じく平たい所を動いてもらう。

 するとかんじきとは違いうまくずり足移動ができる。


 「おお、これならマシンドールも移動が出来そうだな。いや、全くこれはすごいな! スキーとか言ったな、エルハイミ殿?」


 「ええ、そうですわ。それと、移動速度を上げるには板の裏に蝋などの油を塗るともっと滑りが良くなって滑りやすくなりますわ」


 北国育ちのゾナーも感心しているようだ。

 そうなるとこれを使った訓練や運用方法を構築することが必要になる。


 「かんじきより移動はこれの方が良い、あとはその運用方法だな」


 ゾナーはいろいろと考え込んでいるようだ。

 この辺はお任せした方が良いだろう。


 そう思っているとシェルが向こうから大きな声をかけてくる。


 「みんなぁ~、お昼ご飯だよぉ~っ!!」


 大きく手を振っている。

 そう言えばそろそろお腹がすいてきた。

 あたしたちはシェルのもとに行くのだった。



 * * * * *



 「へえぇ、板で滑るんだ、面白そうね!」


 シェルは先ほどのスキーの話をしたら興味を持ったようだ。

 しきりとスキー板を触っている。


 「シェルも試してみますかしら?」


 「うん、やる!」


 こう言った興味本位な所はエルフならではなのか、すぐにスキー板を履いて雪上に出る。

 やり方を簡単に教えてゆるい丘の上に行きそこから滑ってみる。


 「うわっっと! あ、でもこれ面白いかも!!」


 バランスを一瞬崩したがすぐに体制を戻し滑り方をマスターする。

 こう言ったバランス系はエルフは強い。

 もともと木の上とかを飛び跳ねるからだ。


 「あー、でものぼりはだめね、逆に大変だ。 ‥‥‥そうだ!」


 シェルはおもむろに上着を脱ぎマフラーで袖口や腰回りの部分を結びつける。

 そして風の精霊を呼び出してその衣服に風を吹き込ませる!


 「おお! うまくいったぁ!!」


 パラシュートのように膨れた上着はシェルを引っ張りスキー板ごと見事に登らせた!!


 あたしはちょっと驚いたが、ふとあることを思いつく。


 みんなにちょっと待つよう伝えてから残った木材や皮、金属と布を探してきて錬金魔法を使う。

 そして出来上がったのがウィンドサーフィンのような道具だ。

 板の裏に蝋を塗ってシェルを呼ぶ。



 「シェル、これを試してくださいですわ。先ほどの風の精霊を呼び出して今度はこの帆に風を当ててくださいですわ!」



 シェルは嬉々としてこの雪上ウィンドサーフィンに乗り帆に風を当てる。

 すると今度はそこそこのスピードが出てするするとそれは走り出す。


 「これはっ!」


 「すごい! 雪の上をあんなに早く動けるなんて!!」


 ゾナーもティアナも驚いている。


 「雪原とか限定ですけど、これならある程度の荷物や重量のあるものも移動できますわ。ソリよりも機動力はあるでしょうし、何より風さえあればずっと動けますわ!」


 うまく行けば冬場の狩りにも移動手段として使えそうだしね。

 この辺も冬場でもウサギやキツネ、場合によってはイノシシも出るからね。



 「エルハイミ、あたしもやりたい!」


 「訓練用にいくつか欲しいな、エルハイミ殿頼めるか?」


 忙しいけどこれくらいなら材料さえあれば魔法ですぐに作れる。



 あたしは快諾してしばらくはスキー板と雪上ウィンドサーフィンを作るのであった。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 現代のテクノロジーの代わりに魔法を使って、このような交通手段が他の世界で発明されたとき、私はそれが好きです 敵は彼らに何が来るのか決してわかりません、私は待つことができません
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