第七章7-21首都炎上? *
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
殿下いいなぁ・・・
私ももっとエルハミちゃんと触れ合いたいなぁ・・・(アンナ談)
7-21首都炎上?
あの後特に問題も無くあたしたちはガルザイルに着いた。
「どうもありがとうございました。お陰様で予定に間に合いそうです。それでは皆様に神の加護が有りますように」
そう言ってヨハネス神父様は貿易ギルドに着く前にあたしたちのキャラバンと別れて行った。
偽装キャラバンのあたしたちはとりあえず予定していた貿易ギルドに行ってアイミたちを下ろしてから王城からの迎えの馬車を待つ。
「そう言えば最後まで聞くの忘れてたけどヨハネス神父様ってどの女神様あがめてるんだろうね?」
ティアナのそのふとした疑問にあたしも「おやっ?」と思ってしまった。
話し上手でついついいろいろな事を話していたのでそっちの方はまったく気にしていなかった。
「どの女神様でもいいじゃない? ヒュームにもあんな優しい人がいるんだもん。ティアナとは大違いよ!」
「なんですってぇ!? ちゃんとあんたにだって優しくしてあげてるじゃない!!」
「どこがっ!?」
がるるるるっ!
ふしゃーふしゃーっ!!
相変わらずじゃれてる二人。
ぴこっ?
アイミが止めるか聞いて来るけどこれもコミュニケーションの一つ、ほっといていいでしょう。
「大丈夫ですわ、アイミ。二人ともあれは仲がいい証拠ですわ」
「「ちがうっ!!」」
ティアナとシェルから同時に突っ込みが入る。
なんか息も合ってきてるんじゃないかな?
お姫様とエルフの漫才?
シュールだわね。
そんなこと考えているとロクドナルさんがメモ紙の紙切れを持ちながら入ってきた。
「殿下、アコード様から連絡が有りました。ジュメルの奴等どうやらこのガルザイルの街で騒動を起こすつもりだったようですな」
「どういう事? まさかこのガルザイルに乗り込んでくるつもりだったの?」
ロクドナルさんからティアナは紙を受け取りその内容を読み始める。
「あの神殿に残っていた資料から判明したらしいですが、焼け焦げていて正確な内容は分からないものの近日中にこのガルザイルで各国の親善大使館を襲う手はずの様でした」
あたしは思わずロクドナルさんを見てしまった。
親善大使館を襲撃とはジュメルたちもまた強引な手段に出てきた。
しかし未然に防げて助かった。
もし各大使館で騒動が起こればガレントの不手際と言われるかもしれない。
それは不協和音につながり師匠が呼びかけをする連合に影響が出る。
「危なかったわね、もし融合怪人やマシンドールブラックみたいのが襲撃してきたら衛兵だけじゃ防ぎきれなかったわよ? どうやら最悪だけは回避できたみたいね」
「しかし取り逃がした者がいます。十分に注意が必要でしょうな」
確かにまだ完全に防ぎ切ったわけじゃない。
もしかしたら残党が決行してくるかもしれない。
「各大使館の警備状況は?」
「先ほどこの知らせを持ってきた者は私にすぐに本陣に戻り指示に従うようにと。それと各大使館の警備強化は既に始まっているそうです」
そうだよね、剣聖のロクドナルさんはすぐにでも欲しい戦力だもんね。
「わかった、先にロクドナルは戻って。あたしたちは後から城に行くから」
ロクドナルさんは無言で一礼して急ぎ王城へと戻って行った。
あたしたちは迎えが来るまで一休みしながら話をする。
「ガルザイルに入るには検問を潜り抜けなければならないわ、もし空を飛んで入ろうにも城壁には見張りが有るからすぐに見つかるだろうし、地下水路や河川敷も水門や鉄格子の定期点検はしているから異常が有ればすぐにわかる。あいつらどうやって潜り込むつもりだったのかな?」
「魔道にもそこそこ長けていたようですから魔術を使ってでしょうかしら?」
「一人二人なら何とかなるかもしれないけど、あいつら五十人以上で潜り込むつもりだったんでしょう? だったらそんなに簡単に魔法じゃ行かないわよ? 精霊魔法だってそんなのきいた事無いしね」
うーん、あたしたち三人は唸る。
『一番手っ取り早いのが偽装でしょうね、キャラバンのように』
「でも大規模キャラバンは国の許可か貿易ギルドの親書でもない限り簡単には入れないわよ?」
シコちゃんの言う一番可能性が有る偽装キャラバンだって流石に王都じゃ簡単にはいかない。
時間をかけ少しずつ入ってくるしかないもんなぁ。
どちらにしろまずは警備強化するしかないだろう。
そんな話をしていたら迎えの馬車が来た。
あたしたちはそれに乗り込み王城へと戻って行くのだった。
◇ ◇ ◇
あれから三日、警備強化や街の巡回を増やしここ首都ガルザイルはざわめいていた。
特に親善大使館の警備が強化され巡回に剣聖ロクドナルさんが同行することにより物々しさが伝わってくる。
「アコード様たちが持ち帰った資料より秘密結社ジュメルのガルザイル襲撃計画とその他拠点についてガレント内の情報がだいぶ集まりました。今は隠密が中心になって各アジトの殲滅を始めています。殲滅にはアコード様が率いる第一軍の特殊部隊とマシンドール二個小隊が同行。既に成果を上げ始めています」
アンナさんが報告書を読んでくれている。
あたしとティアナはため息をつく。
実は王都に戻りアテンザ様の働きで更にあの後一人の裏切り者の貴族が見つかった。
既にそちらにも手をまわし対処しているとのことだ。
「全く、ジュメルってほんと何者よ? 国の中枢にこれだけ食い込んでいたなんて!?」
「ホリゾン帝国が皇帝まで取り込まれたのがわかりますわ。やはり長くじっくりと準備していたようですわね?」
捕まった貴族だって古い家柄だったらしい。
ユエナ出身の大臣も表面上はよく公務をこなしていて人あたりもよかったらしい。
意外と人気のある人物だったらしく孤児院にも支援をするなど下々の人々からも人気はあったようだ。
ただ、アンナさんのその後の報告を聞いたときはあたしでさえ怒り心頭した。
ユエナの孤児院とガレントの孤児院で魔法適性のある子供や優秀な子供は大臣が引き取ると言ってその後行方不明になっていたそうだ。
おおよそ考えられるのはルド王国あたりに引き渡されて人体実験に使われたか、洗脳してジェリーンのように幹部にでも仕立てているのかもしれない。
「しかし国内はこれである程度は抑えられました。今は師匠が開催しようとする連合の結成が重要となりますね。予定では各国が協議合意すれば国をまたいで動ける選出された討伐隊がジュメルに関しては協力して行動出来ますからね」
アンナさんに聞いた連合だが基本的には和平協議の一環で、前世の国連みたいなものになるようだ。各国から討伐隊が連合軍として要請のあるジュメル討伐に参加する。
そうすることで魔怪人やその他普通の衛兵では対応できない脅威にも対抗が出来る。
後は各国が師匠からの指南をもとに自国内の潜んだ協力者をつぶしていけば根本からのジュメル撲滅が可能になりそうだ。
ガイドラインは出来てきたので後は協議に参加してくれる国々が協定に著名してくれれば良い訳だ。
この世界始まって以来の連合が出来、さらなる安定と平和をもたらしてくれることを切に願う。
そうすれば師匠も安心して元の世界に帰れると言うものだ。
「そう言えばアンナさん、師匠を異界に返す方の研究はどうですの?」
「それがなかなか師匠のいた世界が特定できなくてまだまだかかりそうです」
申し訳なさそうに言うアンナさん。
しかしこればかりは地道に探していくしかない。
「まあ仕方ないわね、とりあえずこちらもひと段落着いたし、予定通り明日はティナの町に戻りましょ」
ティアナはそう言ってお茶を一口飲みマカロンをほおばる。
あたしもお茶を口にしながら外を見る。
このままうまく行ってくれればいいのだけど‥‥‥
* * * * *
「ティアナぁ」
「んふっ、エルハイミ、ちゅっ!」
ティアナの口づけにぴくんと反応してしまう。
もう、ティアナったらキスが上手なんだからぁ。
でもお楽しみはこれから!
今度はあたしがティアナにする番だよっ!!
どんどんっ!!
がちゃっ!
「お休みの所失礼します殿下!! 街に、街に火が放たれました!!!!」
「うひゃっ!」
「うっっきゃぁ!!」
いきなりアンナさんが入ってきたのであたしたちは思わず驚いてしまう!
「あっ! //// す、すみませんお楽しみ中でしたか‥‥‥ ぼっ!!」
ティアナはそのままベッドから降りるけどあたしはシーツを手繰り寄せる。
「いっい、いいから、それより街に火が放たれたって本当!?」
「////‥‥‥ は、はいっ、どうやら神殿に火が放たれたらしいです!!」
神殿に?
親善大使館ではなく
「どこの神殿なの?」
服を着始めながらティアナは聞く。
「どの神殿かまではわかりませんが、すでに衛兵や街の自治会が消火に当たっています!」
あたしたちは服を着て急ぎバルコニーへ出る。
そして街の向こう側、ちょっと距離のあるところが夜空を赤く焦がしている。
『エルハイミ、雨降らすわよ! 魔力ちょうだい!!』
「出来ますの!? わかりましたわ、シコちゃんいきますわよ!!」
あたしはすぐにシコちゃんを拾い上げ魔力を注入する!
「来たぁっ! エルハイミの熱くて濃いのがたっぷり入ってくるぅ!! 行くわよ【高層雲暴雨】!!』
相変わらず気になる事を言いながらシコちゃんの魔法が完成する!
すると火事と思しき所に急激に入道雲のような渦巻が出来上がりスコールのような大雨が降り始める!!
「うわっ! 水煙が見える!! すごい!!」
ティアナが驚いている。
「【高層雲暴雨】!? 水系の高等魔術じゃないですか!! すごい! 魔力がその威力に比例するとは言うけど流石エルハイミちゃん、これならすぐに鎮火できそうですね!?」
見ると確かに炎が収まってきているようだ。
そしてしばらくして火は消えたようだけど‥‥‥
「ねえ、エルハイミそろそろ止めてもいいんじゃない?」
「そうですね、もう充分でしょう」
ええとぉ‥‥‥
「し、シコちゃんそろそろ止めてほしいですわ」
『ごめん、あれ雨雲が消えるまで止まらないの‥‥‥』
「「ええっ!!!?」」
あたしとティアナが驚く!
いや、あの豪雨だよ!?
台風並みだよ!?
スコールだよ!!!?
それが消えるまで止まらないって‥‥‥
「どうしたのですか殿下、エルハイミちゃん??」
状況を知らないアンナさんは怪訝そうにこちらを見ている。
「実はですわね‥‥‥」
あたしの説明を聞いたアンナさんは慌てて衛兵たちに連絡しに行くのであった。
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連投でしたがここからまたいつものように戻ります。
見に来てくれた皆様ありがとうございました!
また今後もよろしくお願いします!!