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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第七章
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第七章7-13ジュメル暗躍

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


あー、またなんか理由付けてティアナたちの所行きたいなぁ~。

なんで人間界のお酒ってあんなにおいしいのだろう?(ライム談)


 7-13ジュメル暗躍



 国王陛下の私室は書斎のような感じであった。



 「皆よく来てくれた。アコードやアテンザより概略は聞いているが更にアンナ殿が情報を持ってきてくれたと聞いた。まずはそれを聞かせてくれぬか?」


 国王陛下の言葉にアンナさんはかしこまってから話を始める。


 「それではお話させていただきます。まず秘密結社ジュメルですが我が恩師、英雄ユカ・コバヤシの助力もあり世界中で起こり始めたジュメルの活動目的が推定されました。彼らの目的は古代魔法王国が作り上げた『女神の杖』と呼ばれる秘宝を手に入れる事と思われます」


 「『女神の杖』だと?」


 誰となくそう言う。


 「はい、『女神の杖』と言うマジックアイテムは全部で十本、冥界の女神セミリア様、天秤の女神アガシタ様を除く十神に由来するものです。既に『暗黒の杖』暗黒の女神ディメルモ様の杖は我々が手にしており魔法学園ボヘーミャでマース教授が中心になり研究中です」


 「してその杖を集め何をしようとしておるのだ?」


 「残念ながらそれを何に使うかまではわかっておりません。しかしマース教授の研究と古代遺跡から見つかった『魔結晶石』に連なる書物によるとそれら杖には各女神の体の一部が取り込まれているとのことです。実際『暗黒の杖』には女神ディメルモ様の一部が封じられていました」


 国王陛下はそれを聞き唸っている。

 神話の女神たちが実在したのは事実だが遠い過去の話、その体の一部でも残っているというのは生きた化石を突き付けられたも同然の驚きが有る。


 「そうなるとあと九本の杖が有ると言う事だな?どこにあるかはわかるのか?」


 「それにつきましては残念ながら調査中です。世界各国で活動を始めた秘密結社ジュメルは古代遺跡を中心に襲撃をかけているとの話、ですので古代遺跡に杖が有ると思われます」


 世界中にある古代遺跡全部を調べるなんて土台無理な話だ。

 そもそもそんな杖を集めて何をする気なんだろう?


 「シコちゃんは何か知っている?」


 みんながあたし、シコちゃんを見る。

 あたしはシコちゃんを腰から取り出しテーブルの上にハンカチを置いてからそっと置く。


 『そうねぇ、確かにそんな研究してたって聞いたような気がするけど当時あたしはガーベルと【狂気の巨人】を封印することで手いっぱいだったからね、そんな杖を作っていたなんて知らなかったのよ。ただ、ガーベルは【狂気の巨人】の力を抑えるのに女神の力が必要だって言ってたからそれに関与するのかもしれないわね? あたしは巨人の封印が終わった後に眠りについちゃったみたいだけど』



 女神様の力が必要か。

 伝説では山より大きな巨人だったらしい。

 しかも何か月も戦っても倒せなかったって言う。

 撃退したのは「伝説の少女」の犠牲のおかげだって‥‥‥



 ん?

 「伝説の少女」??



 「あ”あ”っーーーーっ!!」


 あたしの突然の声にみんなびっくりする。

 あたしはライム様を指さしプルプルとする。



 「ラ、ライム様って『伝説の少女』ですよね!? 当時のこと知らないんですか!!!?」



 「当時の事って言われてもねぇ~。『狂気の巨人』は女神ジュリ様が作り上げたもので人の憎しみや怒りを糧にその力を強大にしていった化け物だったからね。私が犠牲になって『裁きの剣』にでもならなきゃ止められなかったでしょう? もっとも、その後私は死んじゃったからガーベルたちが何やってたか知らないんだけどね」



 神話と伝説の真実が今ここに!?

 そんなやばいもんが旧世界にはいたの!?


 

 「で、では伝説は本当だったのですね?」


 アコード様はつばを飲みながら聞く。

 

 「まあね、当時ガレントにいた魔法騎士団十二万五千は全滅、ガーベルも満身創痍でほんとやばかったのよ、実際にあの巨人はでかくなりすぎて本当に北の山岳にある山くらいの大きさになっていたもんね。女神様よりでかくなってるんだもの私だって驚いたわよ。だから人間が扱える魔法じゃらちがいかなくてね、【流星召喚】メテオストライクだろうが【雷龍逆鱗】だろうが一向に効かなくてねもう大変だったのよ」


 腕を組んでライム様はうんうんとうなずいている。

 

 「話をもとに戻すけど、死んでた間に『狂気の巨人』を封印したらしいから私はその辺の事詳しくないのよ」


 「では、なぜわざわざ魔結晶石の杖を作り各女神様の肉体の一部を封じ込めた杖を作ったのでしょう?」


 アンナさんがライム様に質問する。


 「そうね、多分女神の分身たる『狂気の巨人』を封じるには同等の力が必要だからたとえ体の一部でも各女神の一部を取り込んだその杖を使って『狂気の巨人』の力を抑えたのでしょう。厳密に言えば私だってアガシタ様の一部だからね。ただ、アガシタ様の気が変わらない限りこの人格と体は完全に別行動できる代物なんだけどね。もし私を取り押さえるならその杖を使えばできるかもしれないわよ?」


 「マザー、お戯れを。しかしそうするとジュメル共は何かを封じたいのでしょうか?」


 アコード様はそう言ってライム様を見る。

 ライム様はその視線を受け止め、ゆっくりとこう言う。



 「私に分かるわけないじゃん!!」



 うぅぉぉおおぃぃぃぃいいいいっっ!!!!

 ライム様、そこ違う!!

 せめて分からなくても、もう少し意味深な言葉でオブラートに包む様に言わなきゃ威厳も何もなくなっちゃいますよ!!



 『相変わらずねライムは。でも他の女神の力を使うって事はもしかしてアガシタ様が狙われているんじゃない? レイムが裏で働いている【異界召喚】にかかわる物はアガシタ様が回収しているって聞いたわよ? 天秤の女神は面倒ごとを嫌うけど、天秤が揺れなければ満足なんでしょ? でもジュメルは天秤を揺らしたがっている‥‥‥』


 シコちゃんのその言葉にこの場にいる一同はつばを飲む。

 できるのかそんな事?

 相手は女神様だぞ?


 「うーん、面倒な話ね? これは一度アガシタ様に報告に行かなきゃダメかしら? もしその話が本当なら大問題だわね」


 ライム様の口調ではその可能性があると?



 「マザーライム様、そう致しますと我がガレントはいかがすれば良いのでしょうか?」


 国王陛下がライム様に助言を求める。

 事がでかすぎて一国でどうこう出来る話ではなくなってきている。


 「そうねエドワード、あなたはまずこの国を守りなさい。聞いた話ではホリゾン帝国はジュメルの手中に落ちたのでしょう? ならば同じことが起きないようにこの国が中心に各国に協力を要請することね。もしかしたら既に他の国も乗っ取られているところはあるかもしれないけど、その数が増えれば大戦がはじまるわ。『女神の杖』を探すために侵略戦争がね。それもガレントとホリゾンだけではなく全世界を巻き込む大戦にね」



 ライム様のその言葉にみんな動揺する。



 「ライム様、ジュメルとはいったい何なのですか?」


 師匠がここで初めて口を開く。

 

 「少なくとも魔人戦争の時にはその暗躍があったと思います。その歴史は古くその組織力も秘密結社と言うだけに用意周到、確実にこの世界に根を張っています」


 師匠のその神妙な口ぶりにライム様は目を細める。

 そもそもジュメルとは何か?

 それは誰もが知りたいところだ。



 「そうね、ジュメルについては‥‥‥ 私もわかんなーいっ!」



 うがぁあぁっぁぁっ!!

 ライム様、それだめ!

 師匠も落ち着いて、刀に手をかけないでぇっ!!!!




 「と言いたいところだけど、多分女神ジュリ様を崇拝する輩がねじ曲がった解釈して組織したものじゃないかしら? アガシタ様が知る限りどうもそいつらって魔法王国が崩壊した後に結成したみたいでその当時からちらほらと悪さをしていたみたい。アガシタ様にしてみれば小さなことは人間に任せてどうしようもなくなる事には私たちのような者を出して天秤を落ち着かせるという考えだったからまさかここまで組織が大きくなっているとは思ってもいなかったみたい」



 古代魔法王国崩壊後って、そうするとこの組織二千年以上も続いているって事?

 あたしは改めてその規模に驚愕する。


 

 「とりあえず私はもう一度アガシタ様の所に戻って報告してきます。今後あなたたちに何が起こるかはわかりませんがティアナの成人誕生会でアガシタ様の祝福が有ったことは公になりました。この国はアガシタ様の加護がある国と知れ渡るでしょう。この国に歯向かうものはすなわちアガシタ様に立てつく輩、そういう事が起こらないよう祈ります」


 最後に真面目な雰囲気でライム様はそう言って、「それでは私はこれでアガシタ様の所へ戻ります。みんな元気でね」と言って虚空に消えた。



 あたしたちはただそれを見送るだけだった。



 「そうするとこれより各国に使いを出し連合を取り組む必要があるな。ティアナの名とアガシタ様の名を借りる事となるがな。英雄ユカ・コバヤシ殿、その調停の場を学園都市にてお願いできないだろうか? あの学園は中立にして絶対不可侵の場、我が国の発案だけでは聞き入れてくれぬ国も有ろう」


 国王陛下は師匠に向かてそう言う。


 「わかりました、ガレント王。私としましてもこの世界が平穏になる事は渇望する事、協力いたしましょう」


 そう言って師匠は頭を縦に振る。


 

 「時にユエナと内通者の大臣に関しては?」


 アテンザ様が鋭く言う。


 「既に手は打ってある。アマデウス伯爵は白だった。問題はユエナ出身の大臣とその身の回りの者だった。ヨハン達隠密が動いている。いましばらく時間はかかるがもうじきジュメルの地下アジトも見つかるだろう」



 国王陛下はそう言ってアコード様を呼ぶ。


 「殲滅は任せた」


 「はっ、必ずや彼奴等を殲滅してご覧に入れましょう。して大臣は?」



 国王陛下は一度深く瞳を閉じ大きなため息をつく。



 「表面的にはよく働いてくれたものだ、せめて静かに事を済ませてやってくれ」


 「‥‥‥御意」


 そう言ってアコード様は部屋を出ようとすると国王陛下が引き留めた。


 「アコード、ユエナの街にはティアナを同行させよ。ティアナ、マシンドールを引き連れアコードを助けてやってくれ。成人したばかりのお前を引き合いに出すのは忍びないのだが世を乱すジュメル殲滅にアガシタ様の祝福を受けたティアナが参戦したというふれ込みは今後大いに役に立つ。エルハイミ殿も、ロクドナル卿も同行を頼む。『剣聖』と『雷龍の魔女』の名がティアナを助けるとなれば更に大きな宣伝になるのでな」


 そう言って国王陛下はあたしたちを見る。

 あたしたちはその場で陛下に頭を下げ「御意」と声をそろえ言う。



 これで大義名分はそろった。

 もともとテロリストに容赦する必要は無いと思うけど今後世界連合を結束するにあたりあたしたちの存在が知れ渡るのは有利に事を運ぶ。



 失敗は出来ない。

 あたしたちは気を引き締めて部屋を後にするのであった。



 

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