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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第二章
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第二章2-11うわさ話

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていく物語です。


ティアナ殿下チャーンスっ!

2-11-うわさ話-



 魔術鑑定により大騒ぎとなった王都は二人の少女を偉大なる魔術師にする為王宮会議でもめにもめた。


 なんだかんだ言って方針がしっかり決まらないうちは帰ることもできず既に二日が経った。



 宴の後、俺たちは重要人物扱いにされているのであまり自由が利かない。

 VIP待遇でいるのは良いけど、暇である。

 ここにはジーナさんもいないし、勝手に動き回れないのでストレスがたまる。



 「エルハイミ様、ティアナ殿下がお呼びです」


 出来る男、執事のヨハンさんは暇そうにしている俺に声をかけてきた。

 王城と言う事もあり、猫かぶりのティアナ殿下はここでは非常に淑女である。


 「わかりましたわ、すぐに参りますわ」


 そう言って暇つぶしで読んでいた魔術書を閉じる。

 俺はヨハンさんの後ろについて部屋を出る。



 ちなみにパパンは宮廷会議に参加して忙しい。




 

 俺はヨハンさんにくっついていく。

 だいぶ慣れはしたが、このお城やたらと階数が多い。巨大な城壁の上に城を建てたため、必然と階数が増えてしまうわけだが。


 

 これって何もしなくても体鍛えられるんじゃないか?

 ティアナも猫は被っているが基礎体力は結構あった。

 やはり毎日の階段上り下りが効いてるのじゃないだろうか?



 そんなことを思いながら俺はティアナの部屋に案内される。


 ゲストルームより上の階は王族の者専用エリアなので警備も厳重である。

 いくらハミルトン卿の娘でも勝手には入れない。


 衛兵はヨハンさんの顔を見ると槍を床にたたきつけ直立に立ちなおす。

 これが簡易的な衛兵の挨拶らしい。


 俺はにこやかに営業スマイルを張り付けて軽く膝を曲げる挨拶をして通り過ぎた。


 そしてティアナの部屋に到着する。


 「ティアナ殿下、エルハイミ様をお連れしました」


 ヨハンさんは扉の前で軽くノックをしながら声をかける。


 「お入りください」


 中からティアナの声が響く。

 ヨハンさんは俺を引き連れて部屋の中に入っていく。



 流石にお姫様の部屋、きれいに掃除されていて床にも染み一つない。

 奥には大きな天蓋付のベッドがおいてあり、数々の調度品は見ただけでも高価そうなものばかりだ。

 ティアナはお茶を飲むテーブルで俺を待っていた。


 「ご苦労様、ヨハン、下がってよろしいわ」


 ヨハンさんは一礼して音もなく退出していった。

 

 むう、あの身のこなし、只者ではないな!?

 勝手にそう決めつけティアナを見て挨拶をする。


 「ごきげんようティアナ殿下、お呼びがありましたのではせ参じましたわ」


 そう言ってスカートの裾を上げ、正式な挨拶をする。

 

 「いらっしゃいませ、エルハイミ殿。良いお茶が手に入りましたので是非ご一緒したいと思いまして」


 「あら、光栄ですわ殿下」


 あー、疲れるわ、これ。

 もう何度かこの城にいる間にティアナとは面会しているが、毎回この調子で相手するのはめんどくさい。

 しかし、二人っきりでない以上仕方ない事だ。

 ティアナの気持ちが少しわかったよ。


 「どうぞこちらに。エルハイミ殿にお茶を」


 そう言ってメイドたちにお茶を注がせる。

 とてもいい香りの紅茶が目の前に出される。

 これは確かに良いものだ。


 「いただきますわ、殿下」


 そう言って紅茶を一口。


 おっ?

 これは確かにすごい!

 紅茶の味はもちろんだが、花か何かの香りが溶け込んでいる。

 飲み込んだ後も口から鼻腔にいい香りが吹き抜ける。


 「これは、すごいお茶ですわね!?」


 「ふふっ、でしょう? 私めの一番のお気に入りでしてよ」


 嬉しそうに微笑むティアナは、自分も紅茶をすする。

 そしてメイドたちを一瞥して軽くため息をつく。


 「二人でお話がしたいわ、席を外してちょうだいな」


 メイドたちはお辞儀をして、何かありましたらお呼びくださいと告げ退出していく。

 メイドたちが完全に退出したのを確認してからティアナは体の力を抜いた。


 「ふう、行ったわね。さてエルハイミ、さっき聞きつけた話なのだけど、どうやらあたしたちボヘーミャに留学できるみたいよ!」


 再び紅茶を楽しんでいた俺は飲むのをやめ、ぽか~んとティアナを見る。


 「留学ですの?」


 「そう、留学! やった! 城から出れるわよ!」


 上機嫌のティアナはマカロンを指でつまみ一気に口に放り込んだ。

 あー、ジーナさん居なくて良かった。


 「私も一緒に留学するのですの?」


 「そうよ! 無詠唱魔法使える二人にもっと沢山の魔術を勉強してもらって大魔術師になってもらうにはやっぱり『魔術学園都市ボヘーミャ』で学ばせるのが一番いいだろうってお爺様が提案してくれたの!」


 いや、それ提案というより決定じゃね?

 そうか、長々と王宮会議とかやってるけど結果が出ないのでそうきたか。

 まあ、確かに家庭教師や宮廷魔術師では限界があるだろう。




 ――魔術学園都市ボヘーミャ――


 既に二千年以上の歴史を持つ魔術師の学び舎。

 偉大な魔術師はほとんどここから排出されている。

 現代は魔法だけではなく、剣も重要視される世界だが、やはり魔術の恩恵は大きく魔術師は大変重宝される。


 学園都市には確か幼少から大人、さらに研究をしているあまたの人々が集い生活をしている。


 街と学園を管理しているのは学園長で、その学園長に現在は英雄アノードとともに魔人戦争を切り抜けた魔法戦士がついているはずだ。

 確かに行ってみたいところではあったが、こんな風に行けるチャンスが来るとは。




 「そうしますとティアナ、何時頃になるのでしょうか?」


 「そうね、王族が留学するのは珍しい事じゃないけど、今回はいろいろと準備が掛かるから半年くらいは待たなきゃかな?」



 半年かぁ~。

 あ、そう言えばその頃ってママンが出産じゃね?

 うあー、せめて兄弟の顔は見たいな。

 まあ、いいんじゃない、留学。

 ちょっと楽しみだな。




 俺はもう一度紅茶をすすり始めた。



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