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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第七章
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第七章7-3最北の砦

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


やっと北の砦に行けますわぁ~。

実家には今後ちょくちょく帰らなければだけどやっぱりティアナのいるところが一番ですわ!(エルハイミ)


 7-3最北の砦



 「エルハイミ、気をつけてな」


 「ご心配には及びませんわ、お父様。それでは行ってまいりますわ」



 あたしたちはハミルトン家を後に王都に向かう。

 ティアナが待つ北の砦に行くためだ。


 いろいろあって実家のユーベルトに戻ったのだけど不幸中の幸いと言うか爺様の最後に間に合った。

 人が寿命で亡くなるのは仕方ない事なのだが、こっちの世界に来て初めて親しい人に逝かれるという経験は知識で分かってはいても感情が付いて来ていなかった。

 あたしは正直かなり落ち込んだが周りのみんながあたしを立ち直らせてくれた。

 おかげで実家でやるべきことは全て出来たのでお土産のチョコレートを携えティアナの待つ北の砦に向えるのだった。


 「そう言えばシコちゃんやシェルはずいぶんと私の両親と話し込んでいましたけど何を話していたのですの?」


 『ああ、あたしはホーネスとはガーベルの事やあんたの事をね。だいぶ気にしていたけどティアナ以外に男っ気は無いかとか、本気なのかとかいろいろ聞かれたわ。まあ、夜のことは濁したけど相思相愛なのは本当だと言っておいたからちゃんと伝わったのじゃないかしら?』


 「あたしはエルハイミとの関係をいろいろと聞かれたわね~。二号さんなのかとか、エルフの秘宝で子作りできないかとかね。あたしも誤解無いように伝えたから大丈夫なんじゃない?」


 二人のその言葉に心底不安になるあたし。

 本当に大丈夫か?

 この二人の発言には誤解を招くようなところが多々あるからなぁ。


 「しかし、エルハイミに弟がいたとは知らなかったな。しかも双子だなんて」


 「あら、言ってませんでしたっけ? それに魂の連結で私の事は大概知っていたのでは無いのですかしら?」


 シェルには大体の事は説明不要と思ってたけどこれは意外。


 「全部の記憶があたしにはないもの仕方ないわ。それにあなた五歳過ぎからほとんど実家になんていないじゃないの?」


 そう言われてみればそうだった。

 幼少期の頃は前世の記憶のおかげで基本はいろいろ知っていたから通常の子よりは成長がかなり速かった。

 だから小さいながらもあの家での五年間は結構充実した記憶になっていた。

 

 むう、学園生活の方が今の人生は長かったんだ。

 

 あたしは思い起こすが、学園生活になってからの方がいろいろ有り過ぎたのも事実。

 今思えは貴重な体験ばかりでもあった。

 今までいろいろ有り過ぎて大変だったけど今度はティアナとゆっくりと北の砦で出来るんだ。

 思わずニマニマしてしまう。


 「気持ち悪いわね、どうせティアナとのいやらしい事考えてるんでしょう、このエロハイミ!」


 「なっ! 人を色欲の権化みたいに言わないでくださいまし! 私はティアナと一緒に居られると考えてただけでいやらしい事は考えてませんわ!!」


 『それでもしちゃうんでしょ? 最近のバカップルぶりにはシェルも手を焼いていたって聞いたわよ? あたしが眠っている間にだいぶ進んだ関係にもなっているとか聞いたし、あなたのお父さんもすごく心配してたわよ?』


 なんかシコちゃんまで。

 あたしたちはそんな乱れた関係ではないわよ?


 「それよりシコちゃん、ライム様まで出てきましたけどアガシタ様って何をお考えですの?」


 あたしはこれからの事を考えてシコちゃんに聞く。

 ライム様はともかくレイム様までよこすなんて普通じゃない。

 レイム様はああ言っていてけどあたしの魂確認だけでわざわざ来るかしら?


 『それなんだけど、あたしも分からないのよ。もともとアガシタ様ってわがままな性格で面白い事には自分から首突っ込んでくるくせに面倒ごとはみんな人任せ、実質現役の女神様でこの世界の主権はアガシタ様が握っている様な物なのに今でもどこをふらついているのやら』


 「ちょっと待てですわ、ふらついてるって人間界をですの!?」


 『たぶんね。あの女神たまにふらっと人間界に現れて好き勝手やってるから、ライムの時みたいにあなたも偶然遭遇することが有るかもしれないわね』


 いや、そうじゃなくて女神様ってものすごく偉大でその身長も少なくとも五十七メートル級、体重も五百五十トン行くと聞いてるのだけど、それがふらりと人間界に来てるって?


 「まさかと思いますけど、女神様のお姿そのままでおいでになられてるのですの?」


 『前にそれで失敗してるから、今は人間に合わせたサイズで来てるはずよ? あたしが最後に見たのはあなた位の年齢で巨乳、短い銀髪の髪型で男の子っぽい服装だったわね?」


 イメージと全然違うんですけどぉ!!!?

 肖像画とか石像を見る限り成人女性のかなりお堅い雰囲気でどの絵や石像も必ず左手に天秤を持っていて厳格な感じでまとめられていたのに?

 あたしはずっと古代ギリシャアテネ神のようなイメージでいたのに?


 現世では随分とチャラいお姿じゃないの??


 『まあ、レイムに女のメイド服着せてる時点であれだったけど、意外と似合ってたわね? ライムも同じようなメイド服姿だったけど』


 流石に人間界出会うのならばその雰囲気でわかると思うけど、なんか面倒そうな女神様だなぁ。

 からまれないように気をつけなきゃなぁ。


 あたしはそんなことを思うのだった。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


 「それではこれはアンナさんにお願いしますわ。と、こちらはロクドナルさんの分ですわ。」


 あたしはそう言って城の稽古場にいるロクドナルさんにササミーのチョコレートを渡した。

 稽古場には死屍累々。

 若手の騎士たちが倒れている。


 「わかりました、お預かりしましょう。しかし、私の分までとはありがとうございます」


 アンナさんは今不在でボヘーミャに飛んでいるらしい。

 二、三日にいっぺんはあちらに行っていろいろ研究を進めているとか。

 先日もアイミを連れて一旦ボヘーミャに行ってたそうな。


 で、ロクドナルさんは新人騎士や見習いに稽古をつけているそうだけど、稽古場には五十人を超える人たちが倒れている。

 師匠との経験上実践に近い稽古は有益だと言う事でロクドナルさん自身が直接手ほどきしているらしいけど、ボヘーミャでの師匠に鍛え上げられたあの時をほうふつとさせられる。

 問題は回復魔法や浄化魔法が使えないので生傷が絶えないとか。


 あたしはため息をついて全員に回復魔法をかけてやって起き上がった頃に呼び集めきれいに浄化魔法をかけてやった。


 「皆さん、お疲れ様ですわ。これできれいにもなりましたわ」


 にっこりと笑ってそう言うと騎士たち、見習いたちから感謝の言葉が来た。

 

 「エルハイミ殿、ありがとうございます。隊長は手加減してくれないのでほんと助かります」


 「そうなんですよ、生傷絶えなくて。隊長は『回復魔法でも覚えればいい』なんて簡単に言いますけど僕ら騎士にそうそう簡単に魔法なんて」


 なんか愚痴り始めた。

 あたしは営業スマイルにフォーカス、ピンク背景にバラ盛で元気づけてやることにする。


 「そんな弱気ではだめですわよ、あなたたちに守っていただきたいご婦人は沢山おられるのですから。皆さんが魔法騎士になられることを陰ながら応援いたしますわ」


 あたしのその言葉にみんな顔を赤らめ、鼻の下を伸ばし「はいっ!」とか元気になっていく。

 ふっふっふっふっ、久しぶりに使ったけどどうよ!?

 

 「エルハイミさんのような女性が彼女だったらどんなに良い事か!」


 「隊長はエルハイミさんにアタックかけなかったんですか?」


 「残念ながら私は速攻で振られたよ」


 はっはっはっはっと爽快に笑うロクドナルさん?


 はぁ?

 何時そんな告白されたのよあたし!?

 

 「ロクドナルさん? そんな話何時しましたっけですわ?」


 「いや、開発チーム片付けの時にエルハイミ殿を嫁に欲しいと言いましたら断られてしまいましたな。結構本気での求婚でしたがな」


 あれ本気だったの!?

 いや、結果はだめでももう少し乙女心に配慮しないと今後も玉砕一択になっちゃうわよ!?

 

 「ロクドナルさん、後で時間のある時にじっくりとお話しましょうですわ」

 

 「おおっ! まだ望みが有りますかな!?」

 

 「そうじゃないっですわっ!! もう少し乙女心を理解していただかないとうまく行くものもうまく行かなくなるって事ですわ! その辺をじっくりと教えてあげますわ!!」


 ロクドナルさんはきょとんとしているけど周りの騎士の中には笑いをこらえている人もいる。

 全く、この人は!!


 あたしはそれを最後にそろそろティアナの待っている北の砦に行きますと言ってその場を後にした。


 * * *


 大臣に挨拶だけしてあたしはゲートへ向かう。

 

 やっとティアナに会える。

 この十日間は何だかんだ言っていろいろ有り過ぎた。

 今晩はティアナとゆっくりと過ごしたい。




 そんなこと思いながらあたしはゲートを起動して再北の砦へ向かうのだった。 


  

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― 新着の感想 ―
[一言] レッツ、コンバイン! ですわ。 投稿にひらがなが無いと拒否されるのを初めて知りました。
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