第二章2-8王宮
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていく物語です。
王都到着、これから王様にご対面準備です。
2-8王宮
衛星都市ユーベルトから王都ガルザイルへは馬車で二日ほどかかる。
ハミルトン家の領地であるユーベルトは衛星都市の中で一番大きくて、そして王都に一番近い。
「空から落ちた王宮」を取り囲む形で城壁がある。王都ガルザイルは巨大なその上に出来た城である。そして城壁の城を背景に街が広がる形でできている。
それは城壁の高さも相まって雄大な城に見える。
俺は領地から離れるのは初めてなのでちょっとした観光気分で風景を楽しんでいる。
「はぁ~、とうとう帰ってきちゃったわね~」
大きなため息をつきながらティアナは言った。
その表情は非常に不満ですと書いてあるかのようだ。
「どうかいたしまして、ティアナ?」
「う~、知っての通りここに戻ると地を出せないのよね。一応王族らしく振舞わなきゃならないんでいろいろと面倒なのよ」
そう言ってあきらめたかのように軽く両手を挙げた。
あ、やっぱお城では猫被るんだ。
そうだよなぁ~家に来たときは心底楽しんでいる感じだったもんなぁ。
そんな会話をしているとパパンが話しかけてきた。
「エルハイミよ、彼女にも立場と責任というものが有るんだよ。お城に着いたらティアナの事はちゃんとティアナ殿下とお呼びするんだよ」
お友達モードから王族への対応モードにしなさいと教えてくれるが、もともとそのつもりなので問題無い。
「承知しておりましてよ、お父様。ご安心ください、わきまえておりますわ」
一応答えておく。
そしてティアナを見るとちょっと不満な顔をしていたが、再度軽いため息をついてからお姫様の顔へと変わる。
おお?
心なしか姿勢もシャンとした。
これがティアナのお姫様モードか?
そんなことを話していると関所を通り街中の大通りを馬車が行く。
流石王都、きれいに整備された石畳の道、鑑賞用の街路樹まである。
道行く人もいろいろで、どうやら人間以外もいるようだ。
俺は目を輝かせてそれらに見入る。
お、エルフだ!やっぱきれいだな~。
あ、あっちにはドワーフっぽいのがいる!話に聞いている通り髭面でずんぐりむっくりしてる!
お、こっちには冒険者っぽいのがいるぞ!パーティーかな?それっぽい仲間が近くにいるみたいだ!
「エルハイミよ、物珍しいだろうがもうすぐ城に入るぞ」
やや苦笑気味のパパンは年相応にはしゃぐ俺に注意をする。
いや~だって初めて亜人や冒険者なんてのを見たんだよ、テンション上がるじゃん!
でも、これから王様に会わなきゃだから準備もしなきゃな。
「はい、お父様、失礼いたしましたわ」
そう言って俺もティアナ同様おすましさんを始める。
馬車は騎士たちに先導されて王城の門をくぐった。
中は広場になっており、一番奥の建物で出迎えのものたちが待っていた。
馬車はそこまで行き、止まった。
扉を開けられ、ティアナ殿下から下車を始める。
執事の様な男が殿下の手を取り、下車を助ける。
「おかえりなさいませ、ティアナ殿下」
そう言って三十路くらいの出来そうな執事はティアナに挨拶をした。
それと同時に他の出迎えの者も一斉に首を垂れる。
『おかえりなさいませ、ティアナ殿下!』
見事に声がハモる。
やっぱりうちの連中よりすごいね~。
「ご苦労様です。ハミルトン卿とエルハイミ殿です。粗相の無い様ご案内申し上げて」
ティアナ殿下は傍らにいる執事へと用命をしてスタスタと建物の中に入っていった。
おー、雰囲気全然違うね~、流石お姫様。
俺はちょっと感動してからパパンの後について馬車を降りた。
下車時に執事が手を差し出してくれる辺りよく教育されているもんだ。
「ハミルトン卿、こちらになります」
そう言って執事は俺たちを室内へ案内した。
建物の室内に入るとそこには大ホールがあった。
ホールの上には豪華なシャンデリアが掲げられ、幾つもの階段が上の部屋へと続いている。
俺たちはとりあえず一つ上の階の部屋へと通された。
どうやらここは来客の休憩室のようである。
「ただいまティアナ殿下がお召し物のご用意をされております。しばしこちらのお部屋でお休みください」
そう言って執事は退室するとそれに代わってメイドたちが給仕に来る。
温かいお湯やタオル、お茶の用意を始めている。
その動きは非常にスムーズで、流石と言える。
俺たちは軽く身なりを整え、お茶を飲み始めた。
程なくして、先ほどの執事が戻ってきた。
「お待たせいたしました、ティアナ殿下の準備ができましたので謁見の間にお連れいたします」
そう言って執事は俺たちを謁見の間に先導していく。
のだが・・・
なんじゃこりゃ!?
既に八階分は階を上っているよな?
いくら何でも謁見の間ってそんなに高い所じゃないよな!?
だんだん息が切れてきたよ。
そんなことを考えていたらひときわ大きな衛兵が固める扉の前についた。
まさしく謁見の間という感じの扉である。
執事がハミルトン卿がお着きになったことを告げるといきなり衛兵が大きな声で「ハミルトン卿ご到着~!」等と言って槍を数回床に叩く。
それが合図になったかのように重々しく扉が開いた。
さて、いよいよ国王陛下に謁見だ。
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