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気になる

双海視点

 私がクイーンの元に弟子入りして2ヶ月が経過した。


「あぁ〜疲れた! クイーン、スパルタだぁ!!」

「お疲れ様、刀も蛇流棍も平均点以上の成績になったわね、アクアニちゃん」

「ふっふっふ、この武器捌きを死神にお披露目する日が待ち遠しい」

「調子に乗らない」


 クイーンに軽く頭を叩かれ『ごめんなさい』と舌をペロっと出しながら謝る。


「ゆっこちゃんは……正直凄いわね、私よりよっぽど戦闘センスあるわよ。私の目に狂いはなかったと言ってもいいかしらね」

「そんな、まだまだ勉強中ですよ」


 ユキが丁寧にクイーンに頭を下げるその姿は、この場にいる誰よりも誠実で美麗、他者の模範になっている。


「ユキ、クイーンの指導で一気に伸びたね、今ならこの瞳子ちゃんの次くらいに強い」

「じゃあ、私はビリってことですか、先輩」

「なにを〜!!」


 ユキと口撃戦になると、私は再びクイーンに頭を叩かれる。今度は先程より強め。私とユキは毎日のように口撃戦をしているので、これも恒例事項になっている。


「バカやってないで帰り支度始めなさい、今日で強化合宿も終わりなんだから」

「は~い」


 約二ヶ月の合宿で戦闘の熟練度はかなり高くなったはずだ。

 合宿ではクイーンの得意な刀、そしてスピードを最大限に活かす戦法などをメインに指導をしてもらった。


 強化合宿に参加したのは10人。

 そこにクイーンとレールさんが加わって、遠征に参加しないユキを除くと11人。

 後日、更にそこから傭兵を6人雇って17人PTを組んで樹海へ行く事になっている。


「今日でユキともお別れか」


 ユキは樹海の遠征に参加するためじゃなく、クイーンに誘われて特別に指導してもらっていた。

 実際クイーンの見る目は確かなようで、この合宿でユキはメキメキと成長していき、初心者だったのにも関わらず、実力では樹海遠征組をごぼう抜きしてしまった。


「残念ですけど、先輩とお別れするのはまだ先です」

「ん? でも遠征には参加しないって」

「しますよ」

「するんかい!」


 この2ヶ月間、そんな話一度も聞いてなかったし、てっきり参加しないものだと思っていたが、どんな心境の変化だろうか。


「だって私がいないと、先輩死にそうですし」

「なにを〜!!」


 確かに私がユキに戦闘のイロハを教えていた頃とは比べ物にならないくらい強くなってるし、もしユキがいてくれたら心強いけど、とんでもない自信だ。


「……先輩ってさ」

「なんだね」

「……いや、やっぱいいです」

「え、なに、気になるからそういうのやめてほしいんだけど!?」


 今の一連の流れで私に不満があったのか!?

 気になる、気になりすぎる。『しっかり口にしないと伝わらないぞ!』と言いかけてやめた。それは自分にも刺さる言葉だからだ。


「ううむ……ユキになんか悪い事したかな」

「別に……まぁ、とにかく参加しますから、よろしくお願いします、先輩」

「ふむ、頼りにしてるよ」

「ビリの力で良ければ、いくらでも」

「ま〜だ言ってる!」

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