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朝日

「せーの!」の声をあげてから数秒間、私はしばらく目を閉じたまま、じっとしている。

 周りにいるはずの6人の声は一切聞こえない。

 自分の心臓の音が聞こえる、両脇にいる沙耶とハナビちゃんと繋いだ手の感触は、そのままある。

 なんで誰も喋らないのだろう。目を開けてもいいのかな。


 私は覚悟を決めて、恐る恐る目を開けた。

 右を見る。そして左を、正面を。


 そこには私と同じように、『何が起きているんだろう?』といった表情で周りを見る6人の姿があった。


 そう、別に特別な事件は起きていない。

 私達は無事に魂と記憶の転送に成功し、そこにいた。

 ただ、誰も喋らず、動かずにいたから、無駄に緊張感が増して歓喜するタイミングを逃したらしい。


「だ、誰か喋れよ! 喜べよ! びっくりしたじゃんか! ていうか、こういうのアクアニの役割だろ」

「ええ、ヒビキさん酷いぃ! そんな役割を承った覚えはないですよ!」


 私の正面でヒビキと双海さんが言い争い、二人の間に入って手を繋いでいたハヅキさんが「まぁまぁ」となだめる。


「成功、したんだ」

「なんか実感ないけど、とりあえず一安心かな?」

「うん。そうだね、沙耶」


 私は沙耶に向かって微笑んだ後、ハナビちゃんに抱きついた。


「ハナビちゃん、これからはずっと一緒だね」

「はい、嬉しいです。マリお母様がリアルで変な事してないか心配だったので」

「ええ、そんな心配されてたの……」


 変な事って、なんだ。


「今日はみんなの前で変な事しようとしてきたもんね〜マリ」

「うー! それを言うなら沙耶は実際に変な事してきたもん!」


 その私達のやり取りを見ていたハナビちゃんは「やっぱり心配していた通りでしたね」と溜め息をついていた。


「ところで、みなさんの家族は無事ですの? ワタクシの両親はいないので確認の必要はありませんが」


 会長に言われ、私達は自分の家族に確認のメッセを飛ばす。

 数分後、お母さんも雪ちゃんも無事に移転が成功してるとの返信があり、一安心する。

 他の家族も皆移転は成功し、第二の不安は解消された。

 残るはイヴさんの【ワールド・エスケープ】の発動を待つばかりとなった。


「しかし、じっと待つっていうのは落ち着かないなぁ。何かしながら待つとしようよ」

「双海さん、いつもそれだね」

「だって、ねぇ? 動いてないとアレコレ考えて緊張するかもよ」

「う〜ん、確かに双海さんの言うことにも一理ある。でも、何しようか」


 何か提案はないかとみんなに尋ねてみる。みんながうんうん唸っていると、会長が「それでは私からの提案なのですが」と手をあげた。


「クリスマスの準備なんてどうでしょうか?」

「おお、スズ、それ名案。明日はクリスマスイヴだし、明日の夜にみんなでパーティーしようよ」


 いいかもしれない。最近は少し疲れる事件が続いていたので、ゆっくりと羽を伸ばしたい。NW移転成功の御祝いの意味も込めてクリスマスパーティーを開くのは大賛成だ。みんなも首を縦に振って賛成した。


「では、とりあえず0時までは村の中でやれる作業をしましょうか」

「あ〜、でもさ、スズ、ライトアップ用の飾りってまだNWに存在しないんじゃなかったっけ」

「そういえば、そうですわね。スノートリトンのホワイトランスもそれが理由で変な物ばかりが飾り付けされていましたわね」


 すると、「何か良い案はある?」と訴えかけるように、二人の視線は私に向く。


「えっと、それなら私のNos.でなんとかなるかも」

「おお、本当に!? さすが創造神、神崎さん! 創造神崎さんと呼ぼう」

「やめて」


 以前、船の改良をしたとき、私はクラフトスキルに対して、桜花爛漫を使い、現段階では作れないレベルの大型船の設計図を手にした。

 桜花爛漫を使えば現段階では作れないはずのアイテムも作れるようになる。それは武器や家具も同じで、ざっと目を通したところ、イルミネーション用の家具も桜花爛漫の効果で作成可能になっていた。


 私はイルミネーションに使えそうな物をいくつかピックアップし、必要な材料を確認する。


 まずはライトアップのメインになるであろう灯り。

 ノーマルライトに鮮やかな色をつけるには、染料と組み合わせるらしく、染料は基本的に植物を使いクラフトする。


 トリデンテ周辺で入手しやすい植物は、青い紫陽花(アジサイ)、黄色い向日葵、白い山茶花(さざんか)だ。

 これならば、手分けすればすぐに入手できる。

 一番遠くにあるイノシシ山に生息する山茶花担当に、機動力の高いヒビキ&ヴォイスを、森に生息する紫陽花は会長と双海さん、比較的近い場所にある向日葵は沙耶とハヅキさんに担当してもらうことにした。


「あれ、マリお母様。ハナビは採取に行かなくてもいいのでしょうか?」

「ふふ〜、ハナビちゃんには別の物を採取してもらいます」

「別の物、ですか?」

「うん。すぐ近くだから、ついてきてね」


 例え目的の花が見つからなくても、ワールド・エスケープが発動するであろう0時までにはトリデンテに帰ってくるように釘を刺し、各々指定された場所へと採取に出掛ける。

 私は南の方角へ歩き出し、ハナビちゃんは『何を採取するんだろう?』と、期待した面持ちで私の後ろをついてくる。


「はい! ハナビちゃんには、ここで目的の物を採取してもらいます!」


 私がハナビちゃんを連れてきたのはトリデンテの南にある浜辺。

 以前に私達が作った船、ローズマリー号もここに停泊してある。


「浜辺、ですか?」

「そう、浜辺です! ではここでハナビちゃんに問題です! この浜辺で何を採取するでしょう〜」


 私が問題を出すと、ハナビちゃんは浜辺を見て「う〜ん、う〜ん」と悩みだす。


「わかりました! 貝殻です。綺麗な貝殻を飾るんです」

「ぶっぶ〜、違います! でも、ライトアップに関係あるものだよ」

「う〜ん、う〜ん……あ、わかりました! ヒトデさんです!」

「ヒトデ?」

「そうです。クリスマスツリーのてっぺんには星を飾ると聞きます。星の代わりにヒトデさんを飾るんです」

「お…ぉぉ、その発想はなかったけど、有りかもしれない」

「やっぱり! ヒトデさんを飾るんですね!?」

「あ、ううん、面白そうだけど違う違う。干からびちゃうし!」

「違うのですか? うぅん、降参です。答えを教えてください、マリお母様」

「正解は……砂で〜す!」

「え……砂、ですか」


 砂と聞いて、あからさまにがっかりした表情をするハナビちゃん。

 まぁ、確かに砂を集めるなんて言われて嬉しがる女の子はいないかもしれない。


「ごめんごめん、そんなにがっかりしないで」

「何故、砂を?」

「カラーライトを作るのにガラスが必要なの。そのガラスの材料が砂」

「え、砂からガラスが作られているんですか?」

「砂の中に混じってるキラキラした物があるでしょ? これが珪砂って言って、ガラスの元になるの」

「知らなかったです。不思議ですね」

「地球では色々な工程があるけど、このNWでは砂を炉に入れてしばらく待てばガラスができるよ」

「そしてガラスからライトができる……なんだか面白いですね。ものづくりって」

「うんうん。最初にこんな事を思い付いたのが誰なのか、とか色々考えちゃう」


 私の説明を聞いたハナビちゃんは、徐々に砂にも興味を持ち始め、積極的に砂集めを開始する。

 小さめのシャベルを装備して、袋に一定量の砂を入れると【砂袋】に変化して素材として使用可能になる。

 しばらく砂集めをして、十分な数が確保できたところで、私は寄せては返す海を見て、自分がまだ小学生低学年だった頃を思い返す。


(昔はお母さんに連れられて、雪ちゃんと一緒に近所の海で砂遊びしたなぁ……)


「マリお母様、十分な量は取れましたし、そろそろ戻りますか?」

「ハナビちゃん、ちょっと遊んでいかない?」

「え、遊ぶのですか、砂で?」


 時計を見ると、時刻は23時20分。

 まだまだ時間に余裕はありそうだ。


「砂で山を作ったり、色々な物を造形して遊ぶの。例えばウサギさん作ったり、お団子作ったり」

「またハナビを子供扱いしてますね、マリお母様」

「まぁまぁ、単純に私がやりたくなったっていうのもあるけど」

「はあ、わかりました。お付き合いします」

「やった! じゃあ、まずは定番の砂山を」


 既に23時を回っていることもあり、辺りは暗いので、たいまつを数本周りに置いて明かりを灯し、夜の砂浜をライトアップする。


「マリお母様、どのくらい積み上げるんですか?」

「う〜ん、私の子供の頃は小さい砂山しか作らなかったから、大きいのにチャレンジしてみたいかな」

「大きい……マイホームくらいですか?」

「いや、さすがにそれは大きすぎるけど! そうだなぁ、私の腰くらいの高さかな」

「なるほど、それでも結構な高さになりますね」


 私とハナビちゃんは波が届くか届かないかの場所の砂を掘り返し、シャベルにすくった砂を積み上げていく。


「そしたらトンネル掘ったり、周囲に川作ったりして遊ぶの」

「川ですか。それならば、山頂から流したいです」

「山頂からかぁ、湧き水がないから流れが止まっちゃうなぁ……あ、でも、そうだ。確かにクラフトに一定時間、湧き水を発生させる魔法アイテムがあっような……」


 クラフトの製作可能アイテム一覧を見ると、飾り家具の欄に【ミニ噴水】がある。どうやらアクアリウ厶のオブジェクト用のアイテムだが、この砂山の山頂に取り付けたら良い感じに流れる川を再現できるかもしれない。


 必要な素材は手元にあるので、私はミニ噴水をクラフトして、水の通り道を作った砂山の上に乗せてみる。すると、ミニ噴水は問題なく動き出し、水を噴出し始めて川の流れのように下り、砂山の周りをぐるりと周り、私達の掘ったトンネルをくぐり抜けてから、海の方へ流れていく。


「す、すごいです! こんな芸術が、ハナビにも作れるんですね」

「極めた人は、砂でお城とか大仏作るよ」

「お城ですか!? 是非やってみたいです!」

「あはは、じゃあ、今日は時間ないし、また今度やろうね」

「はい、あ! あそこに……」

「うん? どうしたの」


 水の流れを追っていたハナビちゃんは何かを見つけたらしく、寄せては返す波のほうへ歩いていく。


「これ、ヒトデさんです」

「本当だ、流されてきたのかな」

「是非、クリスマスを彩るお星様になってほしかったのですが、干からびてしまうなら飾れませんね。残念です」


 そう言ってハナビちゃんはヒトデを海に返そうとする。


「あ、ハナビちゃん、ちょっと待って」

「はい? なんでしょう、マリお母様」

「そのヒトデ、明日の夜まで水槽で待機してもらおう」

「水槽、ですか。飼うのですか?」

「ちょっといいことを思いついたの」


「わかりました」と頷いたハナビちゃんは、私がクラフトした水槽に海の砂を敷きつめ、ヒトデを投入する。


「これがアクアリウム……」

「うん、でもヒトデを入れるのは珍しいかもね」

「マリお母様は何を入れたいですか?」

「そうだな〜、大きくて綺麗な目立つ魚を入れるより、小さい可愛い魚をたくさん入れたいかな」

「何故ですか?」

「なんか賑やかで楽しそう! だから私は群れで暮らしてる魚とか動物が好き」

「なるほど、ヌーとかですか」

「いや、あれは過酷なイメージの方が強い! 大移動で川を渡るイメージが!」


 アクアリウムや動物談義に花を咲かせていると、採取から戻ってきた沙耶が私達を呼ぶ声が聞こえてきた。


「マリ、ハナビ、こんな所でサボってた」

「あ、沙耶。サボってたわけじゃないよ! ほら、砂袋」

「お、たくさん入れたね。で、その砂山は何よ」

「ちょっとサボ……遊んでたの」

「言い直しても同じような意味じゃない」

「えへへ」

「でも、ハナビと砂遊びかぁ。私も一緒にやりたかったな」


 沙耶は少し羨ましそうにハナビちゃんを見る。


「大丈夫です、サーヤお母様。また次回もあります! 次回はなんとお城を作るんです」

「え、お城?」

「それから大仏とか動物もですよ」

「いきなりハードル高い砂遊びになったわね……」


 沙耶は「ハヅキ先輩が待ってるから戻ろう」と、村の中心地のほうへ歩き出し、私は砂袋を、ハナビちゃんはヒトデの入ったアクアリウムを手に沙耶の後を追った。


 中央エリアに戻ると、ハヅキさんに加えて会長と双海さんも帰還していて、上空からは丁度ヒビキがヴォイスを抱きかかえながら降りてくるのが見えた。


 ガラスや染料は高レベルのクラフトスキルを要求されるため、クラフト用の作業台アイテムが必要になってくる。例えば先程採取した砂袋からガラスを作るのならば【炉】が、染料を作るのならば【染料ダル】が。

 私は先程採取した砂袋を炉に焼べ、みんなが集めた染料の素材は染料ダルに浸ける。


「よし、両方とも23時50分くらいに完了しそう」

「マリ、机はウッド素材のやつでいい?」

「うん、木の机のほうが雰囲気が出るから。あ、でもちょっと待って。ウッドデッキも作りたい」

「ウッドデッキか、いいわね」


 すると、沙耶と私の会話を聞いていた双海さんが「ウッドデッキって何?」と訪ねてくる。


「家と連結した、外にあるリビングルームみたいな感じのフロア」

「おぉん?」

「縁側を拡大した感じの庭って言ったほうがわかりやすいかな、机や椅子を置いてアウトドアな空間を楽しめるよ」

「裕福な家庭によくあるアレか」


 裕福かどうかはともかく、ここでは特に制限もないのでトリデンテ住人が余裕を持って過ごせるレベルの広さを確保してウッドデッキを私のマイホームの縁側に設置していく。

 そこに木で出来た机と椅子を設置して、アウトドアリビングが完成した。


 そして、先ほど炉に焚べた砂袋と、染料ダルに浸けた植物は無事に作業が完了し、【ガラス】と各種【染料】ができあがった。

 更にガラスと染料、そこにあらかじめ用意してあったインゴットを組み合わせる事で、カラーライトが出来上がる。


 そのカラーライトをウッドデッキの周辺やクリスマスツリーに飾り付けライトアップし、少し華やかな空間ができあがった。更にクリスマスリースなどを取り付けようとしていると、運営からのアナウンスが流れてきた。


【ただいまから、現実世界とNWを切り離す作業を開始します。ワールド・エスケープの際は強い揺れや、軽微な不具合等が発生する場合がございます】


 おそらく全世界に配信しているものと思われる。

 今現在ここにいる者は既にNWの住人になっている。なので、先ほど記憶と魂の転送をおこなった際の緊張感や気負いのような物は、誰も持っていないように思える。


 横を見ると、双海さんがヒビキに手を差し出しているので、ヒビキは「うん?」と、ちょっと不思議そうに首を傾げている。


「あれ、やらないんです? カウントダウン」

「いや、一時間前にやったのに、またカウントダウンするのってなんだかな、と思ってさ。それにどうせ一週間後に年越しのカウントダウンとかもするだろ? カウントダウンにまみれた一週間になるぞ」

「えぇ! でもNW独立記念ですよ! やらない手はないですよ! ね、みんな!?」


 双海さんは私達のほうへ視線を移して訴えかけてくる。たぶんさっきのカウントダウンで喜びを爆発させ損ねたのが悔しいからリベンジしたいのだ。


「じゃあ、やろうか。その代わり、今度はタイミングを逃さないようにね」

「さっすが神崎さん、話がわかる!」


 やれやれ、といった感じでヒビキも双海さんの手を取り、再び輪になってカウントダウンに備え、双海さんが音頭を取る。


「よ〜し、それじゃみんないっくぞ〜! 5,4 ――――って、うわぁあ!」


 カウントダウンの途中、0時になる数秒前に怒号のような音と共に地面が揺れ動き、先ほどライトアップしたカラーライトがチカチカと点滅し、手を繋いでいた私達は大きくバランスを崩して、その場に突っ伏してしまう。


「び、びっくりした。マリ、ハナビ、大丈夫?」

「う、うん。ちょっとバランス崩しただけ」


 私は沙耶の手を取って立ち上がり、隣にいたハナビちゃんに手を差し伸べる。


「ありがとうございます。マリお母様」

「すごい揺れだったね」

「はい、おそらくワールド・エスケープが発動したのでしょう」

「アナウンスにも書いてあったもんね、つまり私達のカウントダウンがズレてたわけだ」


 それを聞いた双海さんは「なぬ!?」と頭を抱える。


「結局また歓喜の瞬間を逃したぁ!?」

「今のは仕方ないよ。とりあえず各自、マイホームの様子とか確認しよう」


 今の揺れでマイホームにダメージがあったり、内装が崩れたりしているかもしれない。


 私のマイホームは会長の家と連結しており、一階の大きなリビングルームを真っ直ぐに進むとハナビちゃんの部屋、左に進むと会長の部屋、そして二階には私と沙耶の部屋が隣り合わせで配置されている。


 私は自分の部屋に入って被害状況を確認するが、小物が床に散らばったくらいで特に大きな被害はない。壁や床がダメージを受けた痕跡もないので、床に散らばったいくつかの小物を元に戻して部屋の外に出る。


「あ、マリ。どうだった?」

「うん、大丈夫。沙耶は?」

「観葉植物が倒れてたくらいかな。まぁ本当に危険な揺れなら家が倒壊してるだろうし、他も大丈夫そうね」

「うん。それに地球で暮らしていた頃と違って、作り直そうと思えばすぐに作り直せるもんね」


 私はそう言って、次は下の階に下りてハナビちゃんの様子を見にいこうとしたのだが、沙耶が自分の部屋の扉を見つめたまま動かない。


「沙耶?」

「壁、壊しちゃおうか」

「ええ!? どうしたの沙耶! さっきの地震でいきなり破壊衝動に目覚めちゃったの!?」

「違うってば。私とマリの部屋の間にある壁を壊して部屋を繋げようかってこと」

「え、じゃあ一緒に寝るの?」

「……マリってやっぱり結構えっちだよね」

「は!? なんで!!」

「いや、だって『一緒の部屋で暮らすの?』って聞いてくると思ったら『一緒に寝るの?』って聞いてくるし、真っ先にそういう考えが出てくるんだなぁって」

「いやいやいやいや! だって一緒の部屋ってことは一緒に寝るってことだし!」

「でも、ベッドが別々ならそうはならないよ」

「…………………………」

「……………………ね?」

「……………………ぐすん」

「じょ、冗談だってば! ちょっとからかっただけだから泣かないでよ」

「ふーんだ」

「ほら、機嫌直して。その代わりに今夜は私に何してもいいから」

「それを言うなら『代わりになんでもするから』でしょ。なんでそんなアクティブな言い方に変えるの」


 壁を取り除く作業と言っても、現実と比べたらNWでは簡単な作業なので数分で終わる。私と沙耶の部屋は隣合ってるので、文字通り壁を取り除くだけで部屋は繋がるのだ。


 沙耶は私達の部屋に間にある木の壁を取り外して、広さが2倍になった部屋を見て頷く。


「広くなった反動で家具の少なさが目立つなぁ」

「確かに、そだね。沙耶も私もまだNWで暮らしていたわけじゃないから、観葉植物とか、ちょっとした小物くらいしか置いてないもんね」

「これからしばらくマイホームやトリデンテの設備充実に重点を置くのもいいかも」


「もちろんセーラさんの魂を探すのも忘れずに」と付け加えて沙耶が提案する。

 現在トリデンテにある建造物は私と沙耶とハナビちゃんに加えて会長の家が一つまとまった大きめの住宅。ヒビキ、ハヅキさん、双海さんの家。

 そして野菜を育てる畑の横にヴォイスとジャガミの小屋が。

 と、まぁ、正直あまり設備が充実していないのが現在のトリデンテなのである。


「じゃあ、そろそろ下に戻ろ、沙耶」

「あ〜、ちょっとやることあるから先行ってて」

「うん? わかった」


 ハナビちゃんの様子も気になるので、私は沙耶を残して一人で階段を下りてハナビ一階のリビングルームに向かった。


 リビングルームは吹き抜けになっていて、開放的な雰囲気を作り上げている。ソファーには既にハナビちゃんと会長が座って雑談していた。


「会長、ハナビちゃん、待たせてごめん」

「おかえりなさいませ、マリお母様」

「おかえりなさい、随分と時間が掛かっていらしたけど、部屋は大丈夫でしたの?」

「はい、大丈夫でした。散らばった小物を片付けるついでに、ちょっとリフォームを」

「リフォーム?」

「私の沙耶の部屋を繋げようかって話になって、壁を取り除いてました」

「ああ、そういえばまだ別々の部屋でしたわね。いつも一緒にいるイメージが強いから既に同棲しているものだとばかり」

「えへへ、まぁ、これから諸々」

「姫宮さんの話になると本当幸せそうな顔しますわね、マリさん」


 沙耶の事になるとだらしない顔をする私を見て呆れ気味の会長にハナビちゃんまでも「うんうん」と頷いて同意する。


「ハナビちゃんは大丈夫だった? 部屋」

「はい、クマさんのぬいぐるみが落下していたので焦りましたが」

「私がプレゼントしたやつだ」

「名前を募集中です」

「結構経つけど、まだ名前はないんだね」

「はい、なので、ここでリン様に相談していました」

「え"」


「なんですの、マリさん。その反応は」

「どんな名前を?」

「色々と提案しましたが私の中ではヒグマグママが一番ですわね! 他にもクマーマレードレッシングルやベアベアベッカムとかですわね」


 なんかアルティメットキャベツ太郎の頃に比べるとセンスに微妙な変化があるような気がする! ――――でも


「どれもイマイチですね」

「なっ!」


 私じゃない! 口に出したのはハナビちゃんだ。

 くノ一に憧れる我が娘は、目の前にいる相手を言葉の刃でバッサリと斬った。


「こら、リン。変なネーミングセンスでハナビに悪影響を与えないでよね」

 階段を下りながら沙耶が追い打ちをかける。


「失礼ですわね。船の命名式ではワタクシのネーミングセンスを認めていたじゃないですの」

「あー、あれは確かに。なんであの時だけまともだったのよ」

「いつもまともですわ!」


「相変わらず騒がしいな、この家は」

 玄関を見ると、ヒビキがハヅキさんと一緒に立っている。

 リビングの窓からは遠目に双海さんがダッシュで駆け寄ってくるのが見える。


「ウチらの家も特に異常はなし、どうする? 明日の準備進めるか、今日はもう寝るか?」

「NWで過ごす初めての夜だよね、なんだか緊張するね」

 少し不安があるのか、ハヅキさんは一人になるのが怖いといった様子。


「ならば!!」

 ドッと勢いよく玄関に押し寄せた双海さんにハヅキさんは「きゃああ!」と声をあげる。

 いつもなら急な登場に私も驚くのだが、私からは双海さんが走ってくる姿が窓から見えていたので、冷静に双海さんの「ならば」の次の言葉を聞き返す。


「ならば?」

「お泊り会しよう。パジャマパーティー」

「おお、イイネ! 双海さん、それ良い!」


 初日ということもあり、みんな不安や緊張を抱えているであろう状況でパジャマパーティをしながら一夜を過ごせば、明日はクリスマス・イヴ。

 連日みんなで過ごせば不安や緊張も吹き飛ぶかもしれない。

 人間は3日もあれば環境に適応するって聞いたこともあるし。


 異議を唱える者もなく、みんなパジャマパーティー用の装備に着替えていく。

 私はパステルピンクのシャツパジャマ。サイズの大きめな物を着用しているのでシャツがそのままスカートの役割も担ってくれるから下のショートパンツは履かずに上だけ着用している。

 そして沙耶はスカイブルーのキャミソールを着ている。


「沙耶、セクシーすぎる。パジャマパーティーにしては露出が」

「いや、でもほら、あれ見て」


 沙耶は「私なんかより」と、ハヅキさんのほうに視線を向けた。

 そこには純白のシースルーを身に纏うハヅキの姿があった。

 上はもちろん、下も完全に透けている。


「おい、ハヅキ。おまえはこれから初夜でも迎えるのか! なんだその格好は」

 ヒビキはシンプルなシャツにスパッツを履いたラフな格好をしている。


 そんなハヅキさんを見て「鼻血でそう」とつぶやいた双海さんと、「あなたはあまり直視しないように」と注意した会長はモフモフなパジャマを着ている。

 パジャマパーティーといえばこの二人の格好が一番「らしい」かもしれない。


「ハナビも着替え終えました」

「お、どれどれ? ハナビのパジャマも、この瞳子ちゃんがチェックしてあげよう――――――って、ハナビがサメに丸呑みにされてる!!」

「サメさんパジャマです」


 ハナビちゃんが着ているのはディフォルメされた可愛いサメのパジャマ。大きく開けたサメの口の部分からハナビちゃんの顔が出ているのでサメに食べられたかのような格好になっている。


「そんなパジャマあるの!? むぅ、いいな。私もサメパジャマほしい!」

「マリお母様に作ってもらいました」

「ほう、神崎さんが……チラッ」


 サメパジャマの素材はバブルハンマーの素材である。

 水中に潜るためのアイテムであるバブルドロップの素材を入手するために狩ったバブルハンマーは大量の群れで出現し、合計100匹分もの素材を入手したために、必要な武器や防具を作っても素材が有り余ってる状況。そこで私はハナビちゃんに完全趣味用の装備であるサメパジャマを作ってあげたのだ。意外と気に入っているらしい。


「チラッチラッ」

「素材いっぱい余ってるから、双海さんにも今度作るよ」

「やったぁぁ! お礼に私が前に入手したレアアイテムをあげよう」

「レアアイテム? なぁに?」

「日傘」

「日傘……」

「一応武器」

「武器なの!?」

「片手剣だけど、使い道なくて」

「私も使わないけど……あ、でも外の机に刺したらパラソル代わりになっていいかも」

「おお、さっそく有効活用の方法を。さすが創造神」

「日傘ひとつで神にしないで」


 とりあえず私達はジュースで乾杯をして、パジャマパーティーを始める。


「このドリンクはなんですの? なんか黒い物体が入っているのですけど」

 会長はグラスを手に取って、中の物体を訝しげに見つめる。



「それはタピオカミルクティーだよ。今流行りの飲み物」

 双海さんもタピオカミルクティーを手に取ってぐいぐいと喉に流し込んでいく。


「ふぅ、美味しかった」

「いや、タピオカ全部底に残ってますけれど」

「これ上手く吸えないんだよ。だから実質普通のミルクティー」


 それを聞いたヒビキが「んなわけないだろ!」とストローを少し浮かして上手くタピオカを吸い込んで手本を見せる。


「ヒビキ飲み慣れてるね。これ現実世界の流行り物なのに」

「ハヅキから聞いて飲みたくなったから、売ってる店探して飲んでみたんだよ。隣の県まで飛んでようやく見つけた」


 そこで買いだめして、今日この場にタピオカミルクティーを提供した、という流れらしい。


「しかし、NWで暮らしてたウチのほうが現実の流行に詳しいって、おまえらの女子力は大丈夫なのか?」

「ワ、ワタクシはNW移住で頭がいっぱいになっていただけで流行に疎いわけではありませんわ! ほら、巷で大流行の異世界大辞典もスキャンしてNWに取り込みましたのよ!」

「そんなもんは流行ってねぇ!!」


 流行ってはないが、スキャンしてまでNWに持ち込むのは凄まじい拘りだなと思った。写真などの画像データはNWに取り込めるので、やろうと思えば確かに可能ではある。

 私がNWに持ち込んだデータは家族や学校での写真が殆どで、雑誌や漫画は取り込んではいない。

 でもオススメの漫画をハナビちゃんに読ませてあげる為に取り込んでも良かったかなぁと、ちょっとだけ後悔した。


「私も持ってきた! オススメの漫画」

 双海さんが手にしてるのは二人のくノ一が戦乱を生き抜く様子が描かれるバトル物の漫画『殺陣』だ。


 それを見たハナビちゃんは勢いよく食い付いた。

「それ、ハナビも是非読みたいです!」

「お、気になる? よいぞよいぞ、好きなだけ読むが良い」


 すると、双海さんから渡された殺陣に釘付けになって、食い入るように読み始めるハナビちゃん。


「でも、それまだ未完なんだよねぇ」

「未完、ですか」

「うん、つまり作者がNWに移住してないと完結しない。というか移住してても書く気がなくなってる可能性もある」

「それは困ります。今すぐ探しにいきましょう」

「さすがの瞳子ちゃんも今からは無理だ! とりあえず既刊分を読みなさい」


 再び本に目を落としたハナビちゃんはそこからしばらく自分の世界に入っていた。




「沙耶、チョコとミルクどっちかける?」


 私達の目の前にあるのはイチゴとマシュマロが交互に串に刺され、お好みでチョコとミルクを選んでかけて食べるスイーツ。


「ミルクかな」


 私は沙耶に言われるとミルクをかけて、それを沙耶の顔の前に「はい、あ〜ん」と差し出した。


「うわ、美味しい!」

「スノートリトンの特産品【スノーミルク】を使ってるんだって。極上ミルク!」

「それもあるけど、マリが食べさせてくれたからいつもより美味しく感じるのかな」

「えへへ、も〜沙耶ってば、じゃあ私はチョコね」

「はいはい、あ〜ん」


 今度は沙耶が私の前にチョコをかけたイチゴを差し出す。


「いやいやいやまてまてまて!!」

 沙耶に食べさせてもらう寸前、ヒビキが私達にストップをかけた。


「ここは女子会の場であって、おまえらバカップルのバカ惚気を見せつけるデート場じゃないだろ!」

「やだなぁ、ヒビキ先輩。いつもやってることですから惚気の内に入りませんって」

「そういう問題じゃねぇ!」

「じゃあ、ほらヒビキ先輩も、あ〜ん……あ、でも私よりハヅキ先輩にやってもらったほうがいいですよね」

「はぁ!?」


「ハヅキ先輩どうぞ」と、沙耶は手に持っていたイチゴを渡す。


「え、私?」

「おい、やめろハヅキ。ていうか服着ろ! いつまでそのランジェリー姿のままでいる気だ」

「朝起きるまでだよ。寝間着なんたから」

「風邪ひくぞ! 12月だぞ! 冬だぞ!」

「NWは12月でも涼しいだけだよ。ヒビキも着たら? 肌触りとか良くて戻れなくるよ」

「着るとしてもパジャマパーティーには着てこないけどな」


 沙耶の策略(?)により、ランジェリー談義に花を咲かせているヒビキ。それを尻目に私と沙耶は再びイチゴの食べさせ合いに戻るのだった。



 ◇



「もう深夜の2時か」


 双海さんが時計を見ながらボソッと呟いた。


「眠くなった? 双海さん」

「をいをい、私を誰だと思ってるの。眠らない街と言われた双海瞳子ことアクアニちゃんだよ」

「街なの……」

「深夜2時ってさ、一番出やすい時間帯なんだって」

「え、まさか……」

「そう、そのまさかだよ。レアモンスターが一番出やすい時間帯なのだよ」

「オバケじゃないの……」

「んー!? オバケのレアモンスターがご所望なら、富士の樹海にヤバいゴーストモンスターがいるって聞いたよ。近場ならイノシシ山の祠付近とかも」

「レアモンスターの情報よく知ってるね、双海さん」

「トラベルスタイルで足を使って情報を集めた賜物なのだよ。今度トリデンテで狩りにいこうよ。3人PTの時は戦力足りなくて狩れなかったレアモンスターとかいっぱいいるし」

「そうだね。この世界で生きていくなら装備が必要になるし、争奪戦が激化する前に狩っておくのもいいかも」

「でも焦ってレアモンスターに挑んで全滅したら本末転倒だよねぇ。残機を減らして死に近付くわけだし」

「あんまりアクティブに動くのも危険ってことかぁ」

「うむ。特に富士の樹海にいるレアモンスターは討伐成功したPTはまだ存在しないらしいよ」

「そんなに強いの?」

「発見されたレアモンスターの中では一番強いらしい。クイーンが結成した討伐軍も負けたって」

「あのクイーンが……」

「死にたくないだろうし、NWの住人になってからは誰も手を出さなくなるかも。私達だってNos.が4人いるとはいえ、そんな凶悪なモンスターに挑みたくないよねぇ」

「うん、なるべく残機は減らしたくない」


 富士の樹海はかなり広いはずだし、たぶんレアモンスターを探すだけでもひと苦労なはずだ。それに樹海に迷い込むと帰り道がわからずに、真宵迷って結局戦闘不能になるらしい。

 ならばテレポで帰れば、と思うのだが、どうやら樹海には結界があり、テレポなどの一部魔法をかき消す仕様になっているとか。

 移住前なら面白半分に観光しにいくのもありだったかもしれないが、残機システムが実装された後に好んでそんな場所に行く人は少ないだろう。

 私もまったく行く気なし! と心に決めて、机にある食べ物をつまもうとした。


「あ、もう食べ物がない」

「随分長いこと駄弁ってたからね、そろそろ寝る?」


 沙耶が時計を見て言った。


「そうだね。リビングで寝るのもなんだし、会長の部屋の上の階にある空き部屋使って寝ようか」


 2階には使っていない大きな空き部屋がある。

 当初は会長が一戸建てをクラフトしていたのだが、完成直前で私達の家と連結させたので、リビングにするつもりだった一階のスペースが会長の部屋になり、2階のスペースはそのまま空き部屋として残って使われていなかった。

 私達はみんなでリビングルームを片付けて、2階の空き部屋に向かう。


「お、広いじゃん!」

「これならみんなで寝れますわよ」


 会長があらかじめ用意してくれた人数分の布団に双海さんがダイブする。

 ヴォイスとジャガミにも小さいフカフカの寝床を用意しており、2匹とも寝床につくと早々に寝息をたててスヤスヤと眠りについた。


「ジャガミも一緒に騒いでたので疲れていたのですね。かわいい寝顔ですわ」

「そいつもハナビと同じだ。リン、これからはおまえと一緒にいられるから嬉しかったんだろ」


 会長とヒビキもそれぞれ布団に入って、私達もその後に続く。


「じゃあ、灯り消すね」

「灯りを消したらいよいよ……」

「いよいよ、何? 双海さん」

「恋バナの時間だね」


 恋バナ、それは女子会では絶対と言っても過言ではないとされる必須科目。


「いやいやいやまてまてまて!」

「なんですか、ヒビキさん。ガールズトークしましょうよ、ガールズトーク」

「ああ、まぁ、ガールズトークするのはいいが、恋バナはダメだろ、絶対ダメだ」

「恋なき人生を送って来たんですね」

「ちげぇ! 恋バナなんてしたら、このバカップルのバカ惚気を延々聞かされるハメになるぞ!」


 このバカップルとは誰のことか、右を見ても左を見ても、みんなの視線は私と沙耶に注がれている。


「え?」

「え? じゃねぇよ。なんでおまえら一緒の布団に入ってんだよ! 人数分用意してあるだろ」


「この二人の恋バナは確かにやばいな」と頷く双海さん。


「しかし私の恋バナはアレだからみんなのテンション下がるだけだし、スズとハナビは恋とは無縁だろうし、ヒビキさんとハヅキさん、お願いします」

「ウチにあると思うか、そんな物が」

「ないんですか」

「ねぇよ! ウチはオペラ一筋だったしな」

「やっぱり恋なき人生! じゃあ、ハヅキさんは?」


 名前を呼ばれたハヅキさんは「私?」と、まんざらでもない様子で語り始める。


「あるんですか、恋バナ!」

「恋じゃないけど、ヒビキとの馴れ初めでも話そうか」

「おお、聞きたいです!」


 他のみんなも興味津々で「聞きたい」と口を揃えて言った。

 NW初日であるこの日、結局朝5時まで眠らずにみんなで語り合った。


 外は明るく、いつもと違う朝。

 新しい世界へ旅立った私達には、これ先、何が待っているのかわからない。

 けれど、ここにいるトリデンテの7人と2匹がいつでも傍にいて、支え合って生きていけると思う。

 私はみんなを守るし、みんなも私を守る。誰一人欠けることなく生きていくことが今の私の願いなのだから。

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