87話 コールディの街に行き始めたんだが
87話です!
稽古をしたり、魔法の練習をしたり、ポーションを作ったりと特に変わりない日常を過ごし、ついにコールディの街に行く日になった。朝食を食べ、昨日のうちに用意しておいた荷物を持って家の前に行くと馬車が数台止まっており、馬車の前に父親がいた。
「父上、荷物まとめ終わったよ」
「そうか。ならそろそろ出発するから荷物はメイドに渡してもう乗っていなさい」
「はーい」
近くのメイドさんに荷物を渡して馬車の中に入る。中には既に兄さんたちがいた。
「あ、カイも来たね。じゃあそろそろかな?」
「そうじゃねえか? でもいきなりだよな。いつもならもっと前にこういう事って教えてくれるのにさ」
「確かにそうだよね。でもお父さんは悪くないよ。もっと早く招待状を送らなかった方が悪いよ……まあこんなことを言えるのはここだけなんだけどさ」
確かに招待状って大分前から送る物だよな? 何でこんなにも遅いのだろうか?
「もっと早く送れよなー」
「確かにそれはそうだがそういうことは絶対に言うなよ?」
父親が馬車の中に入ってきてマインズ兄さんに注意をする。入ってきたのならもう出発かな?
「皆忘れ物はないよな? ……では出発しようか」
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馬車に揺られて半日……緑が地平線の彼方まで続いている草原の中で日が沈み、辺りが暗くなってきたところで父親が馬車を止めた。……ドナンドの街は行かないのかと思い父親に聞いてみたらどうもドナンドの街に行くと遠回りになってしまうらしいので行かずに別の道を通るそうだ。まあ早くコールディの街に着いた方が良いと思うので問題ないな。
「今日はここで野営をしようか。俺は周りに魔物がいるかどうか見てくるからその間に夕食と寝床の用意を頼む」
「「「かしこまりました」」」
「マインズたちは……いつも通り寝床の用意の手伝いをしてなさい。カイは初めてになるだろうから兄として教えてあげろよ? その後は寝床の周りで素振りなどをして、体力の衰えが無いようにしなさい」
「「「はーい」」」
父親が返事を聞くと剣を持って走っていった。……父親が走っていった反対側は一応探知やった方が良いのかな? やっておくか。……今は大丈夫そうだな。
「そんじゃあやっていこうぜ!」
そして兄さんたち、イネア、イリスと共に一緒に少し戸惑ったりもしたが寝床を数箇所作った。ちなみに寝床はテントだ。イネアとイリスに関しては他の馬車の方に乗っていたらしい。イリスはともかくイネアは専属だから来ない方がおかしいか。
寝床が終わったら……素振りだったな。素振りをする前に魔物が近くにいるといけないからもう一度探知を……うん、大丈夫だな。
「回数はどうするの?」
「そうだなあ、ご飯が出来るまでやろうぜ」
「了解!」
食事の用意がどのくらいで終わるか分からないが1000回は超えないと思うから問題ないな。
「今日は……フレッツが回数を言うか?」
「兄さんが言いたくないだけじゃないよね?」
「勿論言いたくないだけだぞ」
「隠しもしないんだね……まあ、いいけどさ」
偶に回数を言っていく人は変わるけど今日はフレッツ兄さんか。言いながら素振りをするといつも以上に疲れるから出来れば言う人に当たりたくないな……。
「マインズ兄さんもカイも木刀持ったよね? じゃあいくよ! 1、2、3……」
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「そろそろ食事が出来るぞ。これで汗を拭いてから来なさい」
「880、881……あ、うん分かったよ。じゃあここまでだね」
「そうだな……あー、疲れたあ」
いつの間にか戻ってきていた父親が呼びに来て、フレッツ兄さんにタオルを渡してくれたので素振りは終わりだな。数ヵ月とはいえ毎日素振りをしているからあまり疲れていないな。汗の方は大分掻いているが。
「マインズ兄さん、座るとズボンが土で汚れるよ……はい、タオル。カイもね」
「ありがとな」
フレッツ兄さんから貰ったタオルで体中を拭いて父親の元に向かう。机や椅子はないので草の上に敷物を置いて、その上で食事を取るようだ。
「ほら、早く座りなさい」
父親は腹が減っているのか珍しく催促してくる。……いや、初めてか?
「よし、皆座ったな。それでは食べようか、この食にありつけることに感謝を!」
「「「この食にありつけることに感謝を!」」」
出てきたのはスープ、パン、の他に鳥の丸焼きがあった。もしかして父親が狩ってきたのかな? なら遠慮なく食べてしまおうか。味付けは塩だけだが、とても美味しい。
食事を食べ終えるとすぐに皆寝床に入っていく。……いや、メイドさん2人は外にいるままだな。なぜ外にいるのか聞いてみると魔物が来ないか見張っているらしい。数回に分けて見張るらしいので安心して寝れるな。……俺も寝ないとな。




