9話 街にいくのだが
9話です! 0歳で早いかな? と思いましたが街です!
会話の流れを書くのが意外と難しいです。
*10/31改正。
俺がこの世界に産まれてから7ヵ月経ち、今日も魔法の練習をしようかなと今日の予定を考えているとノックが響き、母親が入ってきた。
「イリス、明日街に行くから準備をお願いね」
「かしこまりました」
どうやら街に行くみたいだ。異世界の街は行ってみたいな……もしかして俺も行くのかな?
「カイー、街に行くのよー。楽しみだねー」
母親が自身の髪を抑えて、こちらを覗き込んでくる。
どうやら俺も行くみたいだ。でも俺まで連れて何しに行くんだろうか? 食事についてはリリィさんがやってくれるから問題ないと思うのだが……。まあ街に行けるのだからいいか。
どんな街に行くのかはは明確には分からないがおそらく明日行く街は村から一番近いであろうドナンドの街になるだろう。
ドナンドの街のことは話を盗み聞きしただけなのでほとんど知らないが、半日で着くらしいので野宿はなさそうだ。
「あいー!」
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翌日、早朝から俺と両親は家を出た。
家の前ではイリスと他数人のメイドが馬車の準備をしていた。既にかなり荷物を馬車に載せてあるのでもう少しで準備が完了するのかな?
「イリス、馬車の準備は出来たか?」
「フェンド様、申し訳ございません。後5分程で準備が完了すると思われます」
「そうか。なら馬車の中で待っていよう。マリン、行こうか」
「ええ、そうね。カイー、これで街に行くのよー」
馬車は馬2頭で街まで移動するみたいだ。馬車の外見は木造で鮮やかに黒く色づけられている。そして馬車の中に入ると座席があり、その横に窓がある。
そういえば現在両親の服は街にいくためなのか、貴族らしい服を着ている。父親は豪華な剣をはめており、服もかなり豪華だ。母親は少し光沢のある白のドレスだ。どっちも美人さんなので凄く絵になるな。俺? 白い服を上下着ています。
しばらく両親の会話を聞いていたら外からイリスの声が聞こえた。
「ご主人様、馬車の準備が完了致しました。出発なさいますか?」
「ああ、そうだな。出発してくれ」
「かしこまりました」
イリスが了承してから馬車が動き出した。
馬車で揺られている間、特にすることがないので両親の会話を聞きつつ窓から景色を見ることにしよう。
スピードは早歩きより少し早いくらいだろうか。思っていたよりもゆっくりと動いている。馬車は早いイメージがあるけど案外遅いんだな。
窓からは見える景色は畑が辺りに広がっており、奥に森が見える。季節が秋なのか紅葉が始まっているな。黄色や赤色がほとんどであるが、中には青色の紅葉があるので元の世界とは違うのだと痛感するね。馬車が来ていることに村人が気づいて、声を掛けてきたり、手を振ってきたりしている。平和だなあ。
「カイ、見てみなさい。村の人達が手を振ってくれているぞ」
父親はそう笑いながら言い、村人に見えるように手を振っている。村人から慕われているなあ。
馬車が動き始めて30分程で村から出た。
村から出るとずっと森が続いているのかな? と紅葉を見ていると森が少し続いただけでそこからは草原だった。道には草などが全く生えていないが道以外には30cm程草が生い茂っており、ちらほら兎みたいな生き物とふわふわしてる何かが浮いている。森の中でなく草原に村を作ればいいのにと思うのだがどうなんだろうか?
「あう~?」
「ははは、カイはあのふわふわしている生き物が気になるか! あれはなふわりんと言ってふわふわと浮かんでいるんだ。襲ってきても弱いが、こっちから攻撃さえしなければ襲ってこない魔物だから安心しなさい」
「そうよ、あの魔物は魔物の餌なのよ。普段はふわふわしてるだけだから他の魔物にとても狙われやすいのよ。でも私たちは食べないわね。ふわりんは美味しくないから」
「あうー。」
なるほどね、ふわりんは色々不憫みたいだ。というか赤ちゃんに向けての説明にしては詳しくない?
「こうして見ていると冒険者の頃を思い出すな」
「あら、今でも冒険者みたいなことを偶にしてるじゃない」
「そうだけどな。最初に倒した魔物がふわりんだからな。どうしてもふわりんを見ていると懐かしくなるんだよ」
「それは私も同じよ」
ふわりんが一番最初に倒す魔物になるのか。あのふわふわしている魔物を殺す……罪悪感とかあるのだろうか? そういえばふわりんは一番弱いにもかかわらずなんで絶滅していないのだろうか? 不思議な魔物だ。
「あら……ゴブリンの気配がするわ」
「やっぱり来るか。数はいくつだ?」
「6匹ね」
「6匹か。少し危険だな。退治しておこう」
「だったら私がやってくるわね。馬車を止めるまでもないでしょうし」
「そうだな。カイは見ておくからやってきなさい」
「ええ」
「イリスにも伝えておくのだぞ」
「分かってるわよ」
窓からはゴブリンが見えないのにどうしてわかったんだ? というか母親は降りて大丈夫なのだろうか? まあ、母親は以前、ゴブリンを一瞬で亡き者にしていたから大丈夫なのかな。
「カイはまだ戦闘を見るの早いから俺と一緒にいような」
「あいー」
少し経ったら後方から爆音が複数回聞こえた。母親がやったんだろうなあ。ゴブリンご愁傷さまです。来世は頑張ってください。
「戻ったわ」
「おかえり。また派手にやったな」
「それは私の属性魔法が炎だからしょうがないのよ。むしろあれだけ派手に魔法を使って火事1つないところを褒めてほしいわ」
「そうだな。凄い凄い」
「雑に扱わない! 全く……」
両親は賑やかだな。見てて飽きないな。
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しばらく進んで馬車の揺れで眠たくなってきた頃、父親がイリスに声をかけた。
「イリス、そろそろお昼としようか」
「かしこまりました」
イリスが馬車を止めて、馬車の中から食材を出して調理を始めた。
母親を呼び、火をだしてもらい、イリスが水魔法で容器に水を入れて、その後いくつかの野菜を入れ、軽々と調理を行っていた。……水魔法は飲食可能なんだね。喉乾いた時に飲んでみよう。
僅か3分程でスープが出来て、荷台からパンを出して昼食が完成した。
異世界は魔法があるからその分準備が早いな。
見た目はともかく匂いからしておいしそう。まだ乳離れはしてないから食べることができない事が辛い。俺も食べたい。
20分程で昼食を食べ終え、出発した。
時折、ゴブリンが出て来ては母親が殺りに行っては帰ってきたくらいで道中は特に何も危険なことはなかった。そういえば両親の護衛がいないことに今気づいたが必要ないのだろうか? 母親が全部なんとかする未来しか見えないのでいなくても大丈夫なんだろう。
とまあ比較的安全に馬車に揺られて5時間程で街が見えてきた。
「見てみろ。、カイ。あれがドナンドの街だ」
「あいー」
「街に行ったらまずは宿探さないとな。教会は明日行けばいいしな。」
「あい?」
宿はまあ行って帰ったら真夜中になるからしょうがないとして教会? 何かあるんだろうか?
まあ、とりあえずドナンドの街についた。




