82話 対人戦をするんだが(上)
82話です! この話で投稿を始めてから4ヵ月が経ちました! これからもよろしくお願いします!
「さて、カイも大分稽古に慣れてきただろうから今回は皆で模擬戦をしようか」
ポーションを作り始めて1ヵ月程、いつも通り稽古をしていたら父親がそんな事を口にした。
模擬戦か……。模擬戦は稽古を始めた時に1回やっただけだから上手く出来るかな? 剣の基礎に関しては毎日の稽古で出来ていると思うが、対人戦はについては1度しかやったことがないからすぐ負ける……なんてことも十分にあり得るだろう。
「最初はマインズとフレッツで模擬戦をしてみなさい。次にカイと俺でやろうか」
最初は父親とか。以前より粘れるように頑張らないとな。というか最初って事は後で人が変わるんだな。なら後で兄さんたちと戦うのか。兄さんたちの素振りを見る限りでは当然であるが技量、体力、筋力全てにおいて兄さんたちに負けているから胸を借りるつもりでやっていこうか。
「模擬戦開始!」
考えている間に模擬戦が始まった。2人とも距離を詰めて攻撃する。速度はかなり早いがまだ見える速度なのでまだ何とかなりそうだな。2人とも何回か木刀をぶつけては受け流しを繰り返して、一度距離を開ける。
「フレッツ、大分強くなったよな」
「稽古を頑張っているからね。……そういう兄さんだって前にやった時よりも強くなってるじゃないか。それにまだ本気を出してないでしょ?」
「それをいうならフレッツだってそうじゃねえかよ。……いくぞ!」
2人はまた距離を詰めて木刀を交差させる。先程よりも木刀を振る速度が上がっており、目で追うだけで精一杯だ。防ぐことは何とか出来るだろうけど攻めることは難しそうだ。
……というか兄さんたちは本当にまだ本気じゃなかったんだ。だったら勝ち目が無いような……。いや、勝てる気は最初からほとんどしてなかったけども……。それでも結構差があるなあ。これでも狩りなどで魔物を狩ってレベルを上げて強くなったんだけどなあ……。
「マインズとフレッツが何故あんなにも強いのか気になるのか?」
隣で同じように観戦していた父親が聞いてくる。確かに気になる。いくら稽古を以前からやっているにしてもあの動きは流石に異常だと思う。元からなら分からないでもないが、1歳の時に外に連れていってもらった時と比べると成長速度が流石におかしい。
「うん、気になる。稽古を頑張っていることは一緒にやっているから勿論知っているけど、それでもあそこまで強くなることは難しいと思う」
「確かに2人の稽古だけを見ると異常と言えるほど強いな。それこそ初心者冒険者に勝つことができるくらいには既に強くなっている。何故だと思う?」
初心者冒険者よりも強くなっている理由……稽古だけではいくら何でも無理がある。なら……
「兄さんたちも俺と同じように魔物を狩っている?」
「そうだ。勿論誰かを必ず同伴させているがな。最近ではゴブリン……それも複数を相手にして勝って、殺せるようになったと聞いたな」
「ゴブリンを……」
俺が現在の目標にしているゴブリンを……それも複数殺すことが出来るなんて……。だとしたら今繰り広げられる模擬戦は納得できるがここまで出来るようになるまでにどれだけ狩りをしたのだろうか? 兄さんたちが何を目指しているのか分からないがそこまで頑張る必要があるのだろうか? フレッツ兄さんは少し予想が付くのだがマインズ兄さんは完全に分からない。
「父上……」
「ん? どうしたんだ?」
「兄さんたちはどうしてそんなに強くなろうとしているの?」
「ああ、それはな……」
ドカン!
父親が質問に答えようとしたところで兄さんたちが行っている模擬戦の方から大きな音がした。慌てて父親から兄さんたちの方を見るとマインズ兄さんが立っており、フレッツ兄さんが倒れていた。2人とも傷をつけているところから接戦だったんだな。途中から父親と話していて見ていなかった……。というか大きな音はどうやってなったんだ……?
「お、決着がついたみたいだな。そこまで! 勝者はマインズ!」




