77話 久しぶりの狩りなんだが(中)
77話です! 本当は下の予定でしたが書く時間がありませんでした……。
ヨユルギ草を探しながら森の中を歩いて20分程。採取する人が少ないのかヨユルギ草はすぐに見つかった。イリスから聞いた話だとポーションを作るために必要な部分は葉だけらしいので葉を8割程取り、残りはそのままにしておく。全部取ると茎だけになってしまい、ヨユルギ草が枯れるかもしれないからね。だからある程度残しておく。
後、ヨユルギ草だけでなくヨユルギ草に似ている草があった。カユルギ草という草だ。この草は触るとかぶれてしまうみたいで俺がヨユルギ草と思い、採ろうとした時にイリスが教えてくれたのでかぶれることはなかった。イリスも気づかなかったら手が悲惨なことになっていたな。さらにカユルギ草はヨユルギ草と同じようなところに生えているようなので質が悪いな。
とりあえず今日使うだけなら十分な量を取ることが出来たのでもう取らなくてもいいかな。
ならヨユルギ草を探すことは終了して魔物に専念しようか。だが今の所、森の浅場を歩いているせいか魔物の数はほとんど見当たらず、唯一見つかった魔物がゴブリンだけなのでイリスに倒してもらっている。なので俺はまだ魔物を狩る事が出来ていない。ふわりんやスライムがいればいいのだが中々会えないな。良い事ではあるのだが狩りに来ているので魔物を発見できなければ意味が無い。このまま見つからないようならもう少し奥へ進んでみるか? ……いや、母親がいないから下手に奥に進むとハプニングが起きた時に対処しきれないから駄目だな。
なら少し歩く速度を上げて倒せそうな魔物を探してみるか。
「イリス、少しだけ歩く速度上げていい?」
「はい。ですが転ばないようにしてくださいね?」
「勿論」
今日は既に一回転んでいるからちゃんと気を付けている。そのせいで服も汚れてしまったから後で汚れを落とさないとな……ん? 魔物の反応だ。体の大きさはあまり大きくないな。ゴブリンほどの強さではないがふわりんやスライムよりも魔素の量が多いみたいだから気を付けないとな……。すぐ近くにいるので慎重に行こう。
イリスに指を魔物がいることに向けて指して魔物の位置を教える。ちゃんと分かってくれたようで頷いた。
落ち葉を慎重に踏みながら進んでいくと5m程先にその魔物の姿が見えてきた。……鼠だな。体の色は黄土色で落ち葉の色と似ているので上から見たら気づきにくそうだ。だが体の大きさが40cmはあるみたいなのでこうして横から見ると丸わかりだ。鼠は木の実か何かを食べており、こちらには気づいていない様子だから不意打ち出来そうだな。
イリスに攻撃することをあらかじめ決めていたハンドサインで伝えてからウェポンを詠唱して短剣を手に持ち、少しずつ近づく。
4m……3mと気づかれないように木や草を使って近づいていき身体強化で一気に近づく! ……って速っ!
想定していた速度よりも速く鼠に近づき、短剣を刺すことが出来たが勢いが強すぎるせいで勢いを止めることが出来ず、そのまま鼠に体当たりをするようにぶつかってしまう。体に痛みが走るが鼠の方は少し吹き飛んだ。半年狩りしていなかったから身体強化の加減を間違えてしまったが少し吹き飛ぶなんて威力おかしくないか?
短剣を刺したことは出来たがまだ鼠が生きているといけないため体をすぐに起こしてウェポンの魔法で再度短剣を作り、倒れた鼠に近づいていく。どうやら鼠の首元に短剣が刺さったようで一撃で死んでいるようだ。短剣の当たり所が良かったなと思い、ウェポンの魔法を解除する。
「カイ様! 大丈夫ですか!?」
「問題ないよイリス。身体強化を久しぶりに使ったから加減を間違えただけだから」
鼠に体当たりしたことに心配しているイリスに返事をしながら念のために水癒を少し痛むところに掛けていく。ダメージになるような傷ではないからすぐ治ったから問題ないな。
「もうあんなことはなさらないで下さい。次あのような無茶をなさるようでしたら帰りますよ?」
「うん、心配かけてごめんなさい」
イリスが怒り、注意してくる。身体強化については予想外だったとはいえ魔法の確認は事前に出来たはずだから魔法の確認を怠った俺が完全に悪いな。次からちゃんと確認してから使おう。




