76話 久しぶりの狩りなんだが(上)
76話です!
「狩りねえ……。いいわよ。ただ私は今日忙しいからイリスに連れていってもらいなさい」
昼食を食べ終え、兄さんたちが遊びに行くことを確認してから母親に森まで狩りに行ってもいいかと聞いてみると許可が出た。まあ元から1人で森にいくつもりはないのでイリスに来てもらえるなら安心だな。
「うん。最初からそのつもりだったから問題ないよ」
「ならいいわ。イリスは……キッチンだったわね。狩りの事は言っておくからカイは部屋で準備をして待ってなさい」
「はーい」
イリスについては母親に任せて俺は自分の部屋に向かって、狩りに行く準備をする。ロープや水の入った革袋など今まで母親に準備してもらっていた物も準備しておかないとな。水の入った革袋は魔法があるから準備しなくてもいいんじゃないかと思うかも知れないが、いざ魔物と戦う時にギリギリ魔素が足りなくて魔法が打つことが出来ない……! という事を少しでもなくすためだ。イリスもいるからそういう様な事態にはならないと思うが用心することに越したことはない。
……よし、準備が出来たな。後はイリスを待つだけかな? そういえばイネアには何も言っていないがどうしようか。今はいないが部屋に戻ってきたら適当に誤魔化せばいいかな。
後は……狩りに行っていなかったからステータスを確認してないな。今はどうなっているのだろうか。イリスが来る前に見ておくか。
「ステータス」
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名前 カイ・アイン
種族 人間
性別 男
年齢 3歳
属性 水、風、無
レベル 14
HP 90/90
MP 1121/1121
物攻 9
物防 8
魔攻 16
魔防 9
速さ 7
体力 9
魔素 112
運 150
ースキルー
<算術lv6><料理lv3><魔素操作lv5><無詠唱lv4><風魔法lv4><水魔法lv5><無魔法lv5><五感強化lv4><身体強化lv5><ステータス変更lv4><剣技lv1>
ー称号ー
<転生者><幸運者><魔法使い中級者><誑かす者><見習い剣士>
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……半年ほど狩りをしていなかったのでレベルはあまり上がってないな。魔素の上がり具合は相変わらずだが稽古を始めたからか魔法方面より物理方面の数字が上がっているな。後は水魔法のレベルが上がり、剣技というスキルと見習い剣士という称号が増えているな。ピコンという音は聞こえてこなかったからいつ取れたんだ? 素ぶりの時は集中しているので聞き逃したか? まあいいか。効果を見てみよう。
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ースキルー
剣技
剣を扱いやすくなる。
恩恵 剣に関するイメージ強化(小)
ー称号ー
見習い剣士
剣を扱う事が出来る者。
恩恵 剣に関するイメージ強化(小)
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イメージ強化はありがたいが恩恵が被っているな。これは魔法も同じことなので気にしないでおく。そういえば魔法のウエポンで剣を扱った場合、魔法と剣の恩恵を受けることが出来るのだろうか? 狩りする時に確認してみるか。
そう思っているとノック音が響く。イリスかイネアか分からないな……。準備した荷物は隠しておいて……。
「入ってきていいよー」
「失礼します。狩りに行きたいとの話ですが準備は出来ていますか?」
入ってきたのはイリスの方だった。イリスの服装が狩りに行く時の服になっているので準備は出来ているようだ。
「準備は出来ているよ。その様子だと準備が出来ているみたいだから早速行こうか」
「かしこまりました」
久しぶりの狩りなので少しワクワクしながらイリスと共に外に出て森に入っていく。森の中は視界が悪く敵が近づいて来ても気づかない時があるから今のうちに探知を使っておこう。母親がいれば探知しなくても安全なんだけどね。20m程で押さえておけば長く使うことが出来るだろう。切れそうになったら休憩すればいいかな?
視界以外にも森は足場が悪いがこれはもう慎重に行くしかないな。っと危なっ!
「カイ様、森は足場が悪いので気を付けてください」
言ったそばから転びそうになってしまったな。反省せねばな。転んだ時に手に付いてしまった土を払って再び歩き出す。雪解けしてから少し経ったとはいえ森の中だから泥濘が所々あるな。泥濘がある所は勿論、落ち葉の上を通る時も気を付けないと……。
「カイ様、こちらの草を鑑定なさってみて下さい」
「ん? うん、分かったよ」
足元に注意しながら歩いていると突然イリスが5cm程の草を差し出してきたので手に取り、鑑定を使ってみる。
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ヨユルギ草の葉
レア度 コモン
薬草として使われている葉。食用。
回復量:HP3
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おお、RPGなどでよくある薬草だ。定番だとポーション作りの材料になるよな。この薬草もそうなるのだろうか? 回復量は……少ないな。もう少し多くてもいいと思うが。
「ヨユルギ草だね。薬草ってことはポーションを製作する時に使うの?」
「そうなりますね。そのまま食べたり、草をすり潰して傷口に塗っても効果がありますよ。勿論ポーションを使った方が効果が高くなります」
「じゃあポーション作った方がお得なんだね」
「そうなります。ただ薬草よりも高い効果を持つポーションを作る場合、創薬というスキルが必要になります。また、創薬のスキルレベルによっても効果が変わるのでご注意を」
創薬というスキルか。ポーションを作ったら創薬のレベルによって効果は変わっていくんだな。ポーション作りは面白そうだな。ヨユルギ草をもっと集めてポーションを作ってみようか。ならヨユルギ草以外にも必要になる物があるな。
「……ねえイリス、ポーションを作ってみたいのだけどポーションを作るために必要な器具や作り方について書いてある本ってある?」
「ポーション作りに興味を持ちましたか? でしたら器具と本は家にありますので帰宅後にお持ちしましょう」
「そうしてもらえると助かるよ、ありがとう」
あるのなら帰ってからすぐに出来るな……真夜中に部屋を抜け出してポーションを作ってみれば大丈夫……だよな?
その辺の対策は帰ってから考えるとしてヨユルギ草を探してみようか。ヨユルギ草の大きさは5cm程で明るい緑色だ。葉がヨモギみたいな形をしているから他の草と比べて分かりやすいな。匂いの方は……雑草だ。後は……茎か? ちぎった所から少し透明な液が出ているな。まあこれはちぎらないと分からないのでヨユルギ草を探すときは関係ないか。まあそれっぽい草を見つけたらとりあえず鑑定していけば分かるかな。ヨユルギ草に似たような草もありそうだからね。
ただヨユルギ草を探すことに夢中になって魔物の接近に気が付かない……なんてことが無いようにしないとな。




