表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/220

閑話 イネアの変化(下)

イネアの閑話です! カイとの話はもう少し先になります。

現在、少しずつですが1話から加筆、修正しています。再度読まなくても大丈夫ですが変わった所もありますので修正する前との違いを見てみるのもいいかもしれません。

  長い時間進んでいた馬車が止まり、フェンド様とマリン様が降りたので私も同じように降ります。

 そして目の前に広がったのは大きな家と大きな家の背後に広がっている森でした。大きな家は新しくはないですけど綺麗で大きいです。森の方は葉が落ちきった木々が広がっています。

今までずっと奴隷商館にいた私にとってこの風景は街とはまた違い、踏んでいる地面も草も木も空も何もかもが新鮮です。本当に外に出れて良かったです。


 その後私は目の前にある大きな家に入りました。家の中も綺麗です。いくつか絵なども飾ってあるみたいです。

 私が家の中を見ている間に、フェンド様は近くにいるメイドさんに色々と話し、最後にこの子を面倒見てあげて欲しいと言い、右側にある部屋に入っていきました。

 私はどうすればいいか分からずにメイドさんを見ると、付いて来てくださいと言われました。言う通りにメイドさんの後に付いていくとメイドさんがとある部屋に入っていきましたので私も入ります。

 その部屋でメイドさんにここですることの説明を受けました。


 これから私はこの家でメイドさんと共に働くそうです。明日から約1年間他のメイドさんと共に仕事をしてメイドとしての実力を付けて、あの赤子であるカイ様の半専属になるそうです。そしてその約1年後に様子を見て専属にするそうです。

 これからやる仕事については朝早く、掃除から始まり、最後に礼儀作法の勉強をするそうです。そして今はこの部屋でこの大きな家で働いている人たちと寝るそうです。

 聞いた限りでは辛い仕事などは無いようですが私は奴隷です。失敗しないように気を付けないといけません。

 

 説明が終えた後、今日の所はご飯を食べてから私の隣にあるベッドで寝て明日に備えなさいと言われてご飯を渡されました。

私はその時に渡されたタオルと水の入った樽、服を持ち、体を水で洗ったタオルで拭きます。そして用意された服を着てベッドに入り、明日はどうなるか少し不安に思いながら目を閉じました。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


 私が目を覚ました時間はまだ日が出て来ていませんでした。昨日は早く寝たこともありますが、この時間で起きることは奴隷商館ではもはや習慣になっています。


 周りを見ると他の人はまだ寝ているようです。

 再度寝て遅く起きると怒られるかもしれないのでベッドから降り、昨日聞いた通りに棚に入っているメイド服を出して着替えます。


 着替終えたので他の人を起こさないようにベッドの上で座りながら少しの間待っていると昨日説明してくれたメイドさんが起きたみたいです。

 そして私も起きていることに気づいたのか寝ぼけた顔で私を見ておはよう。朝早いのね。と言いました。


 今まで挨拶などほとんどしたことがない私にとってどう言葉を返したらいいか分からず、必死に考えて出た言葉はただおはようございます。という言葉しか出てきませんでした。

 メイドさんが挨拶の慣れていない私にそんなにかしこまらないでいいのに。と苦笑しながら言い、私の近くまで来て優しく抱きしめてきました。

 なぜ抱きしめたのか分からずにメイドさんを見ているとメイドさんは私も数年前にフェンド様によって買っていただいたんですよ。と私の耳元で安らぐような声で囁きました。

 こんな綺麗なメイドさんが奴隷だなんて思えないと驚きを隠せずにいるとそれを感じたのか、今の私は奴隷に見えないでしょ。と少しおかしそうに笑いました。

 思わずはい。と素直に言いましたら、それだけここの人たちは私たちにも優しいという事よ。と私に言いました。

 メイドさんは髪も綺麗で、肌も潤っていて怪我など一つも見当たりません。今着ている寝着も豪華ではありませんがみすぼらしい服という印象はありません。

 どうやらここの人たちは奴隷にも本当に優しいようです。 


 数分後、メイドさんが私から離れてメイド服に着替えると髪がぼさぼさより整っていた方がいいでしょ? と言いながら私の枝毛が沢山出ていてぼさぼさな髪を整えてくれました。

 

 それから部屋を出てすぐ掃除や皿洗い、また掃除……と日が沈むまで少しばかりの休憩を取りながらも精一杯働きました。仕事は大変でしたが他のメイドさんが丁寧に教えてくれたこともあってあの日々と比べるまでもなく楽しい仕事でした。

 

夜は歩き方や礼の仕方などの礼儀作法を教えてもらって今日の一日は終わりました。疲れていますけど奴隷商館の日々の疲れとは違い、どこか心地良い疲れです。

 まだまだこの生活に慣れないことが多いですが、これからが楽しみでしょうがないです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ