53話 ふわりんリーダーと戦うんだが(上)
53話です!
ビッククロウラーを殺した次の週、また草原に来た。
魔物を殺してレベルを上げるわけではなくテイムが目的だ。まあ草原に来る時は毎回テイムの習得に向けて練習しているのだが中々スキルの習得は出来ていない。
いつかは出来るようになると思うので焦らずやっている。
早速ふわりんを見つけたので母親の許可を得て、ふわりんの元に向かう。ふわりんは近づいても逃げたり攻撃したりなどしないので本当に楽にコミュニケーションを取ることが出来る。本当にふわりん様様だな。
まずはふわりんに触れてコミュニケーションを取る。最初の頃とやることは変わらない。
だがふわりんにもツボやこりなどがあるそうで、優しくツボやこりを揉んであげると喜んでいるのかきゅ~っと可愛らしく鳴き、体を擦り付けてくる。そんなふわりんに思わず頬が緩みながら触っている。
次にふわりんにやることは魔素を与える。このことも最初の時とやることが変わらないが、その時とは態度が大分変ってきた気がする。
以前は魔素を与えていたが当の本人は関係なさそうにふわふわしていたが今ではしばらく手に体を擦り付けるようになった。ある程度の大きさになったら今でも離れていくけどね。
母親にこの態度の変化について伝えてみるとテイムの才能がある証拠らしい。さらにコミュニケーションを取ればテイムのスキルがそろそろゲットできるらしい。逆にずっと態度が変わらない人はテイムの才能がない証拠らしい。良かったよ、才能あって。
最後に魔素を十分にあげると離れて分裂を始める。10分程で分裂を終えるとまたふわふわと辺りを彷徨う。……のだが今回は違った。
ふわりんはが分裂を始めるのかと見ていたらいつもとは別の行動を取り出した。突然パーンッという音が響き渡ると同時にふわりんの周りに黒く色づいた魔素が飛び出し、魔素がふわりんを包んだ。
そんないつもとは違う……異常な光景に驚いて慌てて後ろに下がる。
母親とイリスが驚いた様子で、こちらに来る。
「母様、これは……?」
「珍しいわね。変態よ。」
「変態?」
「本に書いてあったじゃない。極稀に上位種になるって。」
確かに書いてあった。それが今起こっているのか。確か本では上位種が発生しているところを目撃したら倒せるのならそのまま倒せばいいが、倒せないようならギルドなどに報告しなければならない。
改めてふわりんの方を見てみると飛び出た黒い魔素が段々とふわりんの中に入っているように見える。
「そろそろ上位種になると思うから簡単に説明するわ。ふわりんの上位種はふわりんリーダー。強くはないけどふわりんを束ねたり、魔素をあまり使わない下級の魔法を全て吸収してしまうから注意しなさい。それにふわりんリーダーに接触されると一気に魔素を吸われるわよ。まあ今のカイなら倒せると思うからやって見なさい。」
え? 俺がやるのか。母親がやるのかと思った。まあ今日はまだ戦闘してないので何とかなるか。
ふわりんの方を見ると大分黒い魔素が大分小さくなり、ふわりんの形になっていっている。そろそろ終わるのかな? 母親は強くないと言っていたけど油断せずに頑張りますか。




