45話 ピクニックに行ったんだが 6
45話です! もうちょっと深い話にしようかと思いましたが、そちらは見直すとかなり胸糞だったので没となりました。
魚も食べ終わったのでまた遊ぼうと思う。とは言っても何しようか……。魔法で現在の時刻を見ると14時であった。おそらく4時くらいには帰ると思うので軽めに遊べるものがいいよな? 湖に入るのは魔物がいたりすることもあるから駄目だろうし、ある程度遠くまで行ったら怒られるしな。
シンディと近くで遊ぶか。どうせならイネアも混ぜて遊ぼう。そう思い、イネアを見てみると他のメイドさんと一緒に料理の片付けをしている。
……終わってから呼ぶことにしよう。
シンディと遊びつつ20分くらい経ったところで片付けが終わったみたいだ。さてさて、呼んでみるか。
「イエアー。」
「はい? どうされましたか?」
こちらに歩いてきて聞いてくる。今は特に急いでいる様子とかはないので誘っても大丈夫だろう。
「すあってー。」
「はい。これでいいですか?」
さて、ここからどうしようか。いつもなら膝の上に座るか膝枕になるわけなんだが、今はピクニックだ。だったらイネアの隣に座って、ゆっくりと話をしたりするのもいいんじゃないか? うん、いいかもしれない。
そう思い、シンディも来るように言ってイネアの隣にシンディと一緒に座る。イネアは一瞬驚いていつもの表情に戻った。いつも膝の上か膝枕だったから予想外だったのだろうな。
「おはなち……しよ?」
「はい。今回はどんなお話にしますか?」
話しの内容は人によってだいたい決まっている。母親だと冒険談、イリスだとメイドの体験談、イネアの場合だと……
「おみちぇのおはなち。」
「あい~。」
「お店の話ですね。そうですねえ、とある人と一緒に勉強していた時の話でもしましょうか。」
「あい。」
イネアがいた奴隷商館の店の話になる。イネアを買う前の話を聞いてみると色々な話があったりする。
ごく普通の勉強から始まり、最低限の家事、よく来る客、ご褒美の鍛冶など色々だ。
「私がまだ4歳の時、文字の勉強をしている時に7歳くらいの男の子が大きな男の人に連れられて入ってきました。物心がついたころからいる私が知らない人だったので今日ここに来た人だと思いました。」
「あう~。」
物心ついた頃からということを最初聞いた時はかなり驚いた。買った時は六歳のため、二歳か三歳になるよりも早くに売られたのかもしれない。なぜ売られたのかは分からないが。
ちなみにさっきから声を出しているのはシンディだ。俺じゃないぞ。
「その男の子は男の人に逆らってました。そしたらその男の子は叩かれて無理矢理勉強させられていました。男の子も叩かれたくないのか泣きながら勉強し始めました。」
「きゃうー。」
「男の人は勉強しだしたのを見ると部屋の壁にもたれかかって見張りを始めました。勉強をさぼろうとすると男の人が叩き出すので勉強はやめられません。私も叩かれたくないので勉強をやめません。そしてそのまま勉強をほぼ一日中させられましたとさ。終わり。」
前世ではまず考えられない扱いだがイリスに聞いてみると、奴隷の育成でこういう扱いをされるのはよくある話らしい。そういうことを日常にすると奴隷が従順になりやすいそうだ。
こういうような話を聞くと胸糞だけれど実際によく行われている行為らしいので、もう郷に入っては郷に従えになるんだろうな。ここは異世界、前世とは価値観が違うのである。
いや、こちらからそういう事をやるようなことはしたくないが。
「あいー!」
「きゃあい!」
話も終わったことだし笑顔で拍手しますか。これは話を聞くたびにやっているのでイネアも驚いた表情などはなく、喜んでくれたことに頬を緩ませているくらいだ。
その後、30分くらい経った頃に眠くなったので昼寝をして、帰る用意が終わるまでずっと寝たままだった。




