36話 兄さんたちに拉致られたんだが(下)
36話です。昨日アクセス数が一気に伸びたのでかなり驚きました。いつもありがとうございます。
フレッツ兄さんが許可を出してしまってから10分程経った。その間俺が何をされているかというと。
「ほーら、高い高ーい。」
カーラさんにずっと高い高いを繰り返されている。ずっと笑顔でいるのも疲れるし、繰り返されて嘔吐感が少しある。いい加減降りてしまいたいのだが、
「降いる―!」
「カイ君ならまだいけるー! まだまだ遊ぶよ―!」
と言っており、降ろしてくれないのだ。楽しそうだがこちらはいい加減きつい。早く降ろして欲しく、ジタバタしてみても全然通用しない。本気でジタバタをやると赤ちゃんにしては力が強くなっているので不思議に思われてしまう。なので本気ではやらないが。
他に何か良い案がないか考えていると
「おーい、カーラ。雪投げしようぜー!」
とマインズ兄さんの声がする。声の方を向くとフレッツ兄さんともう一人の男の子……名前何だったか……思い出したアルドーだ。2人とも既に雪を投げあっている。雪合戦かな? 俺を高い高いして楽しんでいるカーラさんも雪合戦に参加してこればいいのに。主に俺の安静のために。
「今日はカイと遊ぶー!」
「分かったー。 カイを一人にしないようになー!」
「もちろんよー。」
ええ、マインズ兄さんカーラさんを止めて―! ヘルプヘルプ! 愛しの弟君が苦しんでるよー!
「マイうあああああああああああぁぁぁぁぁああああ!」
「カイ君、高い高ーい。」
ちょっと!? 高い高いの高低差が激しくなってません!? というかカーラさん? もう少しで手を離しそうな勢いなんですが本当に大丈夫!? 俺まだ死にたくないんだけど? 早く降りさせて!?
「ほーら、特大の行くよー! 高い高ーい!」
「ああああああああああああああああああ!!!」
ちょっとおおおおおおおおおおおお飛んでる! 飛んでるから! というかこの人力強くないか!? 今2mくらい飛んでるぞ! というかちゃんと取ってよ!? 取り損ねて赤ちゃんにカーラさん含めて3m落下とかシャレにならないから!
「ありゃ。ちょっと飛ばし過ぎちゃったかな。」
そう言いながら俺をちゃんとキャッチした。意外と衝撃がなかったからまだ良かったが、ちょっと飛ばし過ぎたじゃないから! キャッチできてなくて打ちどころ悪かったら死んじゃうから! もうちょっと手加減して!
……このままでは死んでしまう気がする! ちょっと強引だけどレベルアップで上がった筋力を使ってジタバタして逃げるしかない!
「降ーりーるー!」
「え、ありゃりゃ。逃げられちゃった。」
よっしゃ! 何とか逃げれた。もう高い高いされるのは勘弁なので素早くカーラさんの後ろ側に行き、おんぶをしてもらうように背中に飛び込む。ここで逃げたりしたら捕まってまた高い高いされそうだからな。おんぶなら大丈夫だろう。
「あ、おんぶがいいのね。しょうがないなあ、してあげようじゃないの。」
と言いながら実に嬉しそうにおんぶをさせてくれる。そして俺をしっかりと抱えて歩き出した。
「どこか行ってみたいところあるー? 連れてってあげるよー。森は駄目だけど。」
ん? 今度はここら辺を案内するつもりのか? 高い高いの前例があるのであまり言いずらいのだが……。
「か、川?」
「川ねー。行こっかー! 」
近くに川が見えたので言ってみたら、カーラさんは小川に向かった。
小川に着き、小川の方を見てみると川に流れがあるから表面が凍ってなく、水は澄み切っている。川の底の方は小石が沢山あり、ひっくり返したら虫がいそうだ。それに川の端には落ち葉が溜まっているところもある。その近くに何やら動いているものがある。小魚か何か? 小川の周りは雪が少し積もっているが、小石が沢山落ちているのが見える。
「川、ちょっと触ってみる?」
「え? は、はい。」
小川をじーっと観察していると、突然カーラさんが聞いてきたので少し驚いた。夏ならあるが、冬に川の水を触ったことがなかったため頷く。
俺はカーラさんから降りて川の側まで歩いて川の水を手で触ってみる。夏場でもかなり冷たい水は氷を沢山入れた冷水に手を突っ込んでいると思ってしまうほど冷たかった。あまりの冷たさにすぐ手を戻して、水を毛布で拭く。思わず毛布で拭いてしまったが元からあまり濡れてないので気にしないでおく。
「凄く冷たかったでしょ?」
俺が驚いているのを見たからか少しニヤニヤしながら言ってくる。確かに凄く冷たかったので頷く。そしたらしてやったりと笑みを出しだす。俺は少しムッとなってしまうが怒っても意味がないので特に反応しないでおく。
「ほら、次はどこ行ってみる? それとも雪で遊んでみる? 家あまり出てないだろうから触るの初めてなんじゃない?」
俺は再びおんぶするようにせがむ。雪を触っていてもいいのだが手が冷たくなるし、すぐ体力なくなりそうだ。
「おんぶがいいの? じゃあ乗りなさい。」
俺は再びおんぶをさせてもらう。そして兄さんたちの雪合戦を見ることを言う。
「ん? いいよー。見てよっか。」
そして俺とカーラさんは兄さんたちが帰る時間までの間、雪合戦を見て、俺はカーラさんの背中でかすかに感じる人特有の温かさを感じながらゆったりとした。カーラさんも笑顔でいたので楽しんでいるのだろうからこれでもいいのだろう。




