35話 兄さんたちに拉致られたんだが(上)
35話です! 全然出番がなかった2人に出番が!?
評価ありがとうございます! つくと思わなかった。
1年と10ヵ月が経った。……魔法で確かめているので間違いないだろう。外はちらちらと雪が降っており、少しだけ積もっている。今日はシンディが来ない日で魔法の練習も既に終えている。今日はどう過ごそうかと窓越しに雪を眺めていたらノックが聞けてきた。イリスやイネアは現在部屋にいるため母親かな? と思っている間にイリスが返事をした。ドアが開き入ってきたのは兄さんたちだった。こんな寒い中元気だなと思って見ているとマインズ兄さんが俺を抱き上げてってえええええ! 部屋出ちゃったんですけど! 後ろでフレッツ兄さんが許可をもらってる。いや、先に許可取れよ!
外に出ちゃったよ……。これ本当に大丈夫? というか外かなり寒いな。早く帰って毛布に包まれていたいんだけど。
少しの間家の前で止まっているとフレッツ兄さんも外に出てきた。
「フレッツ、許可はちゃんと取れたよな? 早く行こうぜ。」
「ああ、もちろん取れたよ。兄さん。」
ああ、出掛ける気満々ですね……。一応家の方から少し視線を感じるから多少危険な目に合っても大丈夫だとは思うが……。
「兄さん、毛布を持ってこないとカイが寒がるよ?」
「そういやそうだったな。」
そう言いながらフレッツ兄さんが毛布をくれた。とりあえず一安心と思っていると兄さんたちは俺を抱き上げたまま走り出した。どこ向かっているのか知らないけどあまり遠くへは行かないで欲しいのだが……。それにちょっと振動で痛い……。
15分くらいずっと走ったところでようやく止まった。兄さんたち普段走ってるからか体力あるな。軽い息切れ程度でしか疲れていない。
辺りを見ると所々岩がある空き地みたいな場所だ。草は雪に積もっているが普通に生えており、右側に小川が流れている。近くで子供2人が騒いで遊んでいる。さらに言えば150m先くらいには木の葉は完全に落ちて雪が積もっている森が広がっている。魔物が出そうなんだけどこれ本当に大丈夫?
「おーい。連れて来たぜー!」
「遅えぞー! もっと早く来いよー!」
マインズ兄さんが大声で言うと小川の近くで遊んでいた子供たちがこちらに来た。髪色が変わってるなあ……。赤髪と緑髪だ……。
「すまんなー。メイドさんが中々許してもらえなくてよ。」
「そりゃそうだろ。まだ赤ちゃんとはいえ貴族様だぜ? お前はそう見えんがなー。」
赤髪の子供がこちらを覗き込んでくる。かなりやんちゃそうな顔してるな。視線を無視してとりあえず降りますか。15分も走った状態で抱っこされていたからマインズ兄さんが触っていたところが痛い。降りる―と言いながら、少しジタバタしたら簡単に降ろしてもらえた。
「何をー! 俺だってちゃんとした貴族だぞー! ちゃんと勉強や稽古だってちゃんとしてんだかんなー!」
「そんな態度が貴族に見えねえんだよ、マインズ。」
いや、勉強くらい普通だろ。貴族であり、次期領主なんだから。稽古は知らないが。
「うっせー! 家や村の外ではちゃんとしてるからいいんだよ!」
「でも兄さん前に街行った時、勝手にどっか行っちゃってお父さんに怒られてた。」
「あ……あれは面白そうなものがあったからしょうがねえんだよ!」
いや、面白いものがあって見に行きたかったら許可を入れてから行けばいいじゃん。
「ブハハハハ、マインズは街でも貴族らしくないな!」
「うっせえよ、アルドー! お前だって、この前なんかおばさんに怒られてただろ!」
「俺は貴族様じゃないからいいんですー。でもマインズは貴族だから駄目なんですー。」
いや、貴族じゃなくても駄目だろ。もうちょっと大人しくならないのかな……。
座ったら雪で濡れてしまうので立ちながらそう思っていると緑髪の子供がこっちに来た。
「へえ、可愛らしいじゃん。名前なんて言うんだっけ?」
「ん? カイだよ。抱っこしてみる?」
「んー、してみる。」
女の子の声? てっきり男かと思った。ショート過ぎて男にも見えてしまう……。まだ第二次性徴期に入っていないみたいだし、ズボンを履いているから余計にそう見えるのか? 髪長くしていたら綺麗そうなんだけどなあ……。
そう思ってる間に緑髪の女の子が俺を抱っこしてくる。そして高い高いをしてくる。なんか満足気にしているから笑顔で返しておこう。
「……ねえ、フレッツ。」
「何? カーラ?」
「この子貰ってもいい?」
「駄目だよ!?」
いきなり何を言ってるんだこの子は……。
「いいでしょ、大切にするからさー。」
「いや、カイもちゃんとした貴族なんだから駄目だよ!」
おう、言ってやれ。フレッツ兄さん。
「じゃあここにいる間だけ!」
「そのくらいなら……いいよ?」
フレッツ兄さんーーーー!?




