33話 イネアが専属になったんだが
33話です! 1200文字くらいで終わる予定だったんだけどなあ……。
1歳と7ヵ月くらいだろうか……そのくらいになった頃、朝食を食べ終えてのんびりしているとノックが聞こえてきた。
入っていいことを伝えると小学生低学年くらいの女の子……イネアが入ってきた。やっべえ……普通に返事してしまったよ……。いや、まだ取返しつくはずだ。
「マリン様とフェンド様から許しが出ましたので本日よりご主人様にお仕えするイネアです。ご主人様、よろしくお願いいたします。」
緊張しているからか声が少しこわばってる気がするが、約一年前と比べたら大分変わった気がする。それにしても今日からイネアが専属として就くのか。あらかじめ言って欲しかったな。言ってくれたらちゃんと年齢通りに振舞うのに……。
「よろしうー!」
とりあえず今からでも年齢通りに見えるように演技するしかないな。……もしかしてあらかじめ言わなかったのはもう少しちゃんと隠せという知らせなのか……?
イネアの顔を見ていると若干驚いている? どうしてだ?
「ご主人様は凄いですね。その年齢で返事ができるなんて……。」
え、まさかの返事すらアウトだった!? だったら食事の時とかどうなってるんだろ……。色々やらかしている気がするな……。ええい、今更変えたらかえって変になるからもうしょうがないか!
「イネア、言い終わったのなら早速仕事に入りますよ。やることは沢山あるのですから。」
「はい!」
イリスが言い、イネアが少し慌ててるが足音を一切立てずにイリスの後についていく。出ていく際に礼をするのだがその時に俺は笑顔のみで礼を返す。イリスにはいつもやっていることだがイネアは初めてだからか少し驚いているようだった。
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イネアが再び来たのは昼食を食べ終えてからだ。いつもならイリスがいる場所にイネアがいる。……イネアとコミュニケーションを取れというイリスからのメッセージ? とりあえず会話してみるか……?
「イネア―?」
「は、はい! どうなさいましたか? ご主人様。」
……こりゃ緊張してらっしゃいますね。数日したら流石に緊張しなくなっているとは思うが……。
俺は棚から絵本取り出して
「絵本読んえー。」
と言ってみた。ちなみに喋り方はシンディの真似だ。こうすればやらかすことはないとは思う。
「かしこまりました。ベッドで座って見ますか?」
おっと、これはベッド以外の選択肢があるんですか! それじゃあ膝の上に座って読んでもらってもいいんじゃないかな? ちなみにイリスには既にシンディごとやってもらいました。あれは良かった。
「膝ー。」
多分これだけで分かるはずだ。
「膝ですね分かりました。」
と言ってイネアは俺を抱き上げてベッドまで行き、俺を横にして頭を膝の上に置いた。……ってまさかの膝枕!? 脚に肉があまりついていないからか前世で経験した膝枕より硬い気かがするがこれはこれでいいな……。ってそうじゃない! 不意打ちで驚いた。いや、嬉しくないのかと聞かれたら間違いなく嬉しいと答えるのだが少し体勢がきつい気がするな。だがここは我慢だ。体勢がつらいくらいでこの至福を逃すのは後悔する。
「では読みますね。」
イネアは絵本を読み始めた。俺が読みやすいように絵本を下げて見やすいように読んでくれている。気遣いはかなりありがたいが、膝枕が良くてこれ寝ちゃいそうなんだが……。
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……はい、寝ちゃいました。起きた時もイネアが膝枕してくれていました。俺が起きるのを確認すると膝枕を止めて、イリスを呼ぶためか部屋を出ていった。
とりあえず起きて窓を見てみると暗くなり始めている……だと。どれだけ寝ていたんだよ……。3時間……いや4時間か? とにかく寝すぎたかもしれない。
っとノックが聞こえてきたな。返事して入ってもらう。
「カイ様。どうでしたか? イネアのメイドとしての態度は。」
イリスが入ってきて、早々に聞いてきた。そりゃあ……まあ……。
「少し緊張しているところがあったが、良かったん……じゃないかなあ。」
膝枕最高でした。
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夜、夕食を食べて部屋に戻ると部屋の片隅にベッドと荷物が追加されている。
「イリス、このベッドはなんだ?」
「あれ? 言いませんでしたか? うちの貴族は代々初めて買った奴隷とは同室で過ごすのですよ? そうすることで奴隷を大切に扱うように教育するみたいです。」
え……まじか。そんなこと言っていたか……? 街から帰る馬車で言っていたような気もする……。
イネアにはまだ転生者ということを伝えていないから魔法の練習はどうしようか……。言ってしまうのが一番楽なんだろうけどなあ。考えておかないと。




