30話 魔物狩りなんだが
30話です! 長くする予定はありませんでしたがいつもより少し長いです。カイのセリフが安定していないので後で修正するかもしれません。*一応修正終わりました。
自分の事を話してから1週間。母親に頼んで食用の魔物を狩りに行こうと思う。今回狙う魔物は角兎だ。極一般のウサギに角を生やしたウサギだ。角兎の生息地は主に森にいるらしい。森の中でも狙う場所があるらしく、今回は母親がいつも狩っている場所にする予定だ。角兎の強さはゴブリンより弱いが俺からしたらかなり強い。まずかなりすばしっこいらしい。最高速度が初級者冒険者の全力疾走くらいはあるらしい。初心者冒険者がどのくらい速いかは知らないが。そんな魔物では普通狩る許可がでないが、許可が出たのは理由がある。それは母親が俺を抱きながら戦闘を行うという条件の元、狩ることに許可が出た。速さで負けるなら速い人に抱いていれば安全ということらしい。
早速出発する訳だが、角兎を夕食に出したいので、今日は日の出頃の時間に家を出ている。まだ外は少し薄暗いが森の中に向かう。
森の中は真っ暗に近いのでイリスがランタンを持ち、母親が俺を抱きながら森を進む。夜は昼と違い視界が狭いので魔物からの襲撃に気を付けなければならない。また、夜にしか出ない魔物もいるらしい。森の中は日が出ているが真っ暗に近いのでまだ夜にしか出ない魔物も出てくるだろう。なので俺は一応探知の魔法を使っておく。通用する魔物がほとんどだと思うが、母親の例があるので目でもしっかりと探す。途中見たことない魔物が襲撃してくるが母親は難なく殺していく。イリスも油断なく進んでいて茂みから出てきた犬を短剣で殺している。
森の中を進むこと30分程進む頃には大分日の光が差し込んできた。ここからは母親から降りて自分で歩く。さらに進むこと1時間程、ようやく母親がいつも角兎を狩っているらしい場所に着いた。その場所は所々穴が空いており、いかにもウサギがいそうな場所だった。というか角兎の角が穴から出ているため既に見つけている。
俺は母親に抱いてもらって角兎に攻撃をしてみようと思う。ただ、ふわりんの場合は全部殺しても問題ないが、角兎の場合、全部殺すことは生態系を壊す恐れがあるため数体のみ殺す予定だ。作戦はこうだ。まず俺は魔法を何時でも打ちだせるように用意をしてから母親にファイヤーボールを何もないところに打ってもらい、音を立てる。そしたら角兎が襲撃かと思い穴から出てくると思うので俺が魔法で倒すという作戦だ。
イリスは死んだ角兎の回収と俺に被害があいそうになった場合に加勢してもらう予定だ。最もそんなことがある前に撤退する予定だが。俺が立って倒すなら別の作戦もいいだろうが母親に抱いてもらっているためこの作戦で行こうと思う。
母親に聞いてみると撤退も考えなさい。と言われたので考える。ファイヤーボールで砂埃を上げてその間に逃げればいいんじゃないかな? 母親に聞いてみるといいんじゃない? と言ったのでそうしてもらうように頼んだ。
母親とイリスの戦闘準備ができるのを待ってから巣まで10mのところまで近づいてもらって、早速魔法を構築する。今回は複数魔法を維持するようにイメージをしてみる。攻撃する魔法はウォーターボールがいいと思ったが、今回はウィンドボールにしようと思う。できるだけ巣を壊さないようにしないとね。
ある程度魔法を構築したところで
「ファイヤーボール!」
という声が聞こえてきた。それは巣の近くに被弾して、辺りに轟音が響いて砂埃が舞った。
そして穴の中から角兎が次々と出てきた。その数は軽く数えただけで30羽はいた。今も増えてきているので早めに殺さないと大変だろう。
角兎がこちらに気づくと凄い速さで向かってくる。その速さは50mを6秒台後半で走るくらいには速い。俺は角兎が走る所を予測してウィンドボールを角兎1羽1羽それぞれに放っていく。その数は10発だ。これで殺せるといいのだが……。
打ち終わった時点で母親が移動を始めた。俺を気遣っているからかかなりの速さでも全く揺れがない。俺は被弾を確認する前に新たにウィンドボールをイメージして先ほどと同じ数だけ構築していく。
構築し終わり、最初に被弾したウィンドボールを見ていく。そしたら8羽外して、2羽当たって角兎が倒れているがまだ少し動いているので生きているだろう。元いた場所も見ると角兎が数羽いて、こちらに向かって走ってきている。俺は一先ず倒れた2羽に向けてウィンドボールを放ち、残りのウィンドボールは追ってきている角兎に放った。すぐに新たにウィンドボールをイメージして構築する。今回はもしもの時のためにウィンドボールを1つだけイメージして構築する。そして先ほど放ったウィンドボールの結果を見る。
倒れた角兎には無事に当たり、動かなくなり、イリスによって回収された。残りのウィンドボールは今度は1羽しか当たらなかった。初見じゃないから回避が簡単だったのだろう。2発くらいは普通に外したが気にしない。当たった1羽は先ほどと同じく倒れているがまだ動いている。
俺はウィンドボールを放ち、倒れた角兎を攻撃する。
「カイ、そろそろ引き上げるわよ。」
「はい。」
引き上げるらしいので魔法の構築をやめる。1羽の角兎は無事当たって動かなくなり、即座にイリスによって回収されてこちらに走ってきた。片手にはナイフ、もう片手には角兎が3羽の耳を持っている。慣れている感が凄いのは気のせいだろうか。
母親はイリスが追いついたことを確認してからファイヤーボールの詠唱をして母親と角兎の中間くらいに放つ。砂埃が舞っている中、母親とイリスは先ほどよりも速度を上げて引き上げていく。
2分程走ったところで母親とイリスは走るのをやめた。
「カイが倒したのは……3羽ね。初めてにしては上々ね。」
3羽で上々なら1羽くらいが普通なのかな? ただ21発ウィンドボールを放って5回しか当たらなかった。放つ時のスピードが足りなかったかな? それとも1羽当たりに2発ずつやってみるか? 帰ってから考えてみよう。
「とりあえず血抜きをしないとね。これをしないと美味しくないもの。」
「血抜きは任せてください。マリン様とカイ様は休憩なさってください。」
「じゃあイリスお願いね。」
イリスが3羽の角兎を短剣で切った。
「うわ……。」
思わず声が出てしまった。角兎から血がドプドプと出てきた。それと同時に鉄の匂いが辺りに充満した。今まで血が沢山出るような魔物を殺してなかったので少しくるものがあるな。
「血を見るの初めてだった?」
「こんなに見たのは初めてだよ……。」
「なら今はあまり見ない方がいいんじゃない?」
「いや、冒険者になるならある程度見慣れておかないといけないから……。」
「そうね。酷い時は血塗れになるから慣れないとつらいわね。」
アニメとかでも血塗れのシーンとかあったな。あれと同じくらい血塗れになるようなら慣れないとな……。気は進まないけど……。
「そろそろ血抜きが終わるわね。イリス、ちょっと離れて頂戴。」
「かしこまりました。」
「よし、全を分に、解体。」
母親が3羽の角兎に触れた瞬間、3羽の角兎が光に包まれて一瞬に解体された。
綺麗に毛皮と肉と骨と魔石に分かれている。凄い魔法だな……。
「この魔法は中級者向けの方にある魔法だからしっかり覚えておきなさい。」
「はい。ここまで綺麗に……凄いなぁ。」
「最初はここまで上手くいかないわよ。沢山練習したからここまで綺麗にできるのよ。」
練習しないと綺麗に解体できないのか。この魔法は絶対覚えたいな。冒険者には必須でしょこれ。
「さて、後数羽は狩ってから帰りましょうか。」
「はい。」
この後同じように狩りをして今日は家に帰った。魔石はもらって、角兎は煮込んで美味しくいただきました。




