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悔いのない転生を!  作者: デジカナ
6~8歳
215/220

198話 帝国についてなんだが(後半)

198話です! 凄く眠い……。

次回の投稿は今週の土曜日です。

 ……正直な所、ここまで自国が追い詰められているとは思っていなかった。誘拐も十分不味いが、国内の交通に打撃を与えているとかもうかなり不味い状態だ。戦争が始まる前からこちらはかなりの損害を受けているため、帝国の方が大幅に有利な状況となってしまっている。このまま何も策を用意せずに戦争を始まると負けるだろうな。


 これは自分の憶測なのだが、自国は戦争を始まる前から苦労する事になると思う。国内における交通の打撃をほとんど解決する事が困難だからだ。戦争の準備は交通の便も必要だ。それが解決しないのだから苦戦を強いられるだろう。


 さらに、戦争の準備というだけでも帝国の邪魔が入る可能性がある。自国はそれを防ぐだけで精一杯になるだろうな。となれば残りは傭兵や冒険者たちが何とかしなくてはならないのだが、戦力に不安が残るな。なので、例え帝国と同時期に準備が完了し、戦争が始まったとしても苦労は続く事となるな。


 まず考えられるのは国内に帝国の者が多数存在するため、帝国の奇襲攻撃が多々起こる危険性がある事とそれによる士気低下だ。


 それ以外にも、兵の中に大勢の内通者がいる可能性が十分にあるため、作戦がほとんど筒抜け状態になったり、突然裏切りが発生する事も考えた方が良い。戦争は兵力だけでなく情報も大切なので、どちらも不利状態にある自国はかなりの苦戦を強いられる事になる。 


 それにその苦戦は戦争が続いても終わる事はない。新兵の数が劣るからだ。子供の誘拐は恐らくそのためだ。長く戦争を続けたらいつか俺の世代が新兵になる時がくる。俺らの世代はかなりの人数が誘拐されているだろうからその分新兵の数が少なくなる。そのため、兵の数でも負ける事になるだろう。


 ……パッと思いついただけでもこれは不味いと思う。帝国と自国の国力の差は分からないが、大して変わらないのなら負ける事になる。人口が多少多いだけでも駄目だし、技術力が多少高いだけでも駄目だ。もっと大きな差がなければこのままでは負けてしまうだろう。


「……カイ? どうした? そんな難しそうな顔をして」

「いえ、今後に起こり得る事を考えていました」


 表情が出ていたのか父親から声が掛かる。多分分かっていると思うけど思いついた憶測を話しておいた方が良いな。そう思い憶測を話すと両親は勿論の事、ライルさんも子供の意見だからと適当に聞き逃さずにしっかりと聞きつつ、憶測について考えてくれているように見えた。


「この年でここまで先を考えられるとはやはり聡明ですな。カイ殿が言った事は起こり得ないとは言い切れない。そんな所が悲しい所ですな。一応今話して貰った事も勿論懸念してるのであるが、解決策は中々思いつかないものであるな」

「そうですね。状況はかなり悪いです。私たちに出来る事を考えなければなりません」

「であるな。何か相手の戦力を落とせるような事はない物であるか……」

「じっくりと議論していきましょう。カイもエファ嬢も間違っていても良いですので参加して下さいね」

「「分かりました」」


 父親の頼みに俺とエファさんは答える。俺としても出来るだけ知恵を絞っていきたいな。


「では、まずは戦争が始まるまでの事だが―――」


 こうして日が暮れてきて夕食が出来上がるまでの間、ずっと議論は続いたのだが、やはりこれだと思わせるような策が出る事はなかった。ただ、何も収穫がなかったわけではない。俺個人としては両国について幾つか知る事が出来た。


 一つ目は自国は技術は帝国よりも高いが、帝国は自国よりも人口が少し多いという事だ。技術はこちらが有利なので戦争でそれをどれだけ発揮できるかが鍵となると思う。さらに、時間を掛けてしまえば人口の差で負けてしまう。この戦争はどこかの策で兵を大量に打ち取る事が出来ない限り、短期決戦でないと勝ち目はほとんどないという事だ。


 二つ目は食糧の差だ。国土の大きさはどちらもさして変わらないらしいが、質は異なるらしい。聞いたところによると帝国では麦があまり育たないらしい。人口が自国よりも多いので、食糧難も珍しくないという。勿論、代替の主食となる食べ物もあるらしいが、それでも足りないらしい。


 三つ目は軍の特徴だろうか。自国は陸が得意で帝国は海が得意らしい。帝国は自国以外の国と国境で接しておらず、海に囲まれているらしいので自然と海から出るようになり、発展していったそうだ。そのため、自国は陸で盗賊と戦いつつも不利な海で戦争を行う必要があるらしい。


 四つ目は思想の違いだ。自国は戦争を行わずに自国の力で富んでいこうとしているが、帝国は他国と戦争し、富んでいこうと考えているのだ。どちらも富むとは思うが、帝国のやり方は嫌いだ。罪のない人まで巻き込んでいくからな。


 他にも価値観の違いや、魔物数などの違いと色々知る事が出来たのは収穫だ。後は、良い策を考える事が出来れば良いのだが、やはり難しいな。自国が不利な状況になり過ぎているのが辛い所だ。もう少し有利な点があれば話は少し変わってくるのだろうがな。


 ……ライルさんやエファさんも交えての夕食中、あえて誰も議論の話をせず、楽しく喋りながら食べている中、心の中では何か良い策はないかと俺はずっと考えていた。

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