188話 試練を見るんだが
188話です! 更新一日遅れます!
朝食を取り、イリスと共に正規のルートとは異なる森の中を通って鍛冶屋に向かう。勿論、魔物を狩るためだ。といってもここら辺ならあまり魔物がいないので、戦闘というより虐殺という形で狩っていく。程よく魔物を倒していき、そろそろ森を抜けるなと思った時に鍛冶屋が見えてきた。どうやら着いたみたいだ。
「カイ様、入る前に泥などを」
「うん、大丈夫。分かってるよ」
出てきた森の近くで、泥を落としたり、荷物を整理してから鍛冶屋に向かい、中に入る。鍛冶屋の中には武器や防具、小道具などの品揃えがコールディ程ではないが、揃っている。鍛冶屋に来た事はないからじっくり見ていたくもあるが、今回はイネアの試練についてだ。試練の様子を見てから店内を見ていった方がいいだろう。
そう思い、店員を呼んでイネアの件について聞いてみる。店員はイネアの師匠であるミルさんの妻だと思う。イネアから聞いていた外見によく似ている女性が出てきた。
「ああ、イネアが言ってた子ね。いらっしゃい。中に入っても大丈夫よ。ただし、今は旦那も弟子たちも仕事中だし、イネアは試練をやっているから静かにね?」
「やっぱりもう始まっているのですね。分かりました。それでは、お邪魔します」
「はいはい、存分に見てらっしゃい」
朝起きる時間が遅くて最初は見れなかった事は少し残念だが、しょうがないと思いながらも奥に案内される。奥に進むにつれて気温が高くなり、今着ている服装のままでは少し暑いくらいだった。途中で服を一枚脱いでから奥の道を進んでいく。
道の奥は広い空間だった。この空間は先程よりも暑いなと思いながらも進もうとする。
「ここが、仕事場だよ。ああ、そこの紐より奥は入らないでおくれよ。怪我をしてしまうかもしれないからね」
「はい、分かりました」
しかし、ミルさんの妻に止められたので、ここから奥の光景を眺める事にする。奥に広がる光景は材料の山が大量にあり、空間の奥には真っ赤に燃えている炉の中がある。材料の山と炉の間には四人おり、そのうち一人がイネアであった。
イネアは額に汗を掻きながらも一瞬の隙も見逃さないと言わんばかりに真剣な顔つきで小道具の部品と思われる金属を見ている。しかし駄目だと判断したのか少しだけ部品を削ったりもしている。その削る方法がまた特殊で魔道具と思われるもので削っていた。魔道具に少し当てては見てはまた少し当てている。微調整が大変なのだろうな。
やはり試練は大変そうだ。ここで暑いからイネアがいる場所はさらに暑いだろうな。そんな所で真剣に微調整とか正直苦行だと思う。俺なら……と思ってみていると隣で同じように見ていたイリスが話し出した。
「やはり、大変そうですね」
「そうだね。あんなに真剣に頑張ってる。無事認められたらご褒美を用意してみようかな?」
「それは良いですね。イネアも喜ぶと思いますよ」
だが、イネアに褒美か。何がいいんだろうか。まあ、それは後で考えておこうか。長い事ここにいても邪魔になるだけだしね。イネアが頑張っている所を見る事が出来たし、商品も見ていこうかな。後ろを向くと既にミルさんの妻はいなかった。俺たちが見ている間に戻ったのかな?
「そろそろ戻ろうか。ここにいても邪魔になるだけだからね」
「かしこまりました」
先程通った道に戻って店内に戻ると、商品を見ていたミルさんの妻がいた。
「お忙しい中、見せてもらってありがとうございました」
「良いよ良いよ、気にしないで。何時でも来て良いからね」
「はい、出来れば試練中にまた来たいと思っています」
イネアが頑張っている所を見たいし、見ていたら何かご褒美が決まるかもしれないからね。
「だったらまた来ると良いさね。何時でも歓迎するよ」
「ありがとうございます」
そういって話を終えて、俺とイリスは店内の商品を見ていった。




