閑話 警戒
閑話です! 8/25に追加しました。次回は27日の予定です。
後、総合評価1000pt突破しました! 沢山のブックマーク、評価ありがとうございます! まだまだ拙く、書き方も迷走していますが頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします!
翌日、ローヴァは日の出前から地下にある部屋に入った。手に持っている光を出す魔道具で奥を照らすと既にクレアが球体の近くにある椅子に座りながら球体を眺めていた。
「あれ? クレア、朝早いね?」
「ローヴァが遅いんだよ。彼だってもう起きて軽く体をほぐしているよ? もっと早く来ないと」
「ごめんねってもう彼は起きているの? 早いね?」
のんびりと入ってきたローヴァを見て、少し呆れたようにクレアは言うのだが、ローヴァは軽い様子で小言を受け流していき、椅子に座る。
「まあ、そうみたいだね。私が来た時にはもう起きていたよ。これでも早く来たつもりだったんだけどね」
「彼はいつもこんなに早いのかな?」
「どうだろう? いえ、それは後で考えるとして考えてきた?」
「警戒を解かせる方法はしっかりと考えてきたよ。成功するかは分からないけどね。クレアはどう?」
分からないと言いながらも自信あり気にローヴァは話す。
「私も考えてきたよ。でもローヴァと同じで成功するかは分からないね」
「なら、早速試してみようよ」
「まだ早いよローヴァ。日が出てない時間に行動開始すると余計に警戒されるよ?」
「そうだったね。なら日が出るまでに色々と打ち合わせしようか」
「ええ」
ローヴァとクレアは対面に座って、日が出るまで打ち合わせを始める事にした。
まず、ローヴァが考えた方法は簡単なもので、メイドと少し話をさせるという方法だ。大人でも子供でも男性は女性に興味を持つ人が多い。実際彼は先日行われた子供会で、女性と会話している所を目撃されているため女性に興味はあるようだ。
ローヴァはそこに目を付け、今回の方法を考えた。ただ、ローヴァがクレアにこの計画を話した時は変な目で見られたのは言うまでもないだろう。ちなみにローヴァは複数方法を考えたのだが、この一つしか採用されなかった。
次にクレアが考えた方法なのだが、クレアが考えた方法もまた簡単なもので鎮静作用のある香を立てるという方法だ。警戒するという事は心が落ち着いていないという事。ならば心を落ち着かせて警戒を解かせようという考えだ。安直かもしれないが効果はありそうだとクレアは考えている。勿論、効果はなくとも次の手はあるので問題ない。その次の手も既にローヴァに話して採用された。
ローヴァの方法もクレアの方法も簡単に行えるため、同時に行う事にした。勿論、失敗したらさらに作戦を考えるだけだ。そう二人は考え、朝食を運ぶメイドに指示を出した。
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少し時が経ち、先程打ち合わせされた方法が行われた。クレアがメイドに頼んだ時は何故そのような事をするのかと少し面倒くさそうな顔をしたがしっかりとやってくれたようだ。実際に朝食を食べ終えた彼は読書をしており、小さい球体からは警戒がある程度解かれている事が確認できた。これで危険性があるか判断する事が出来るとクレアとローヴァの二人は感じた。
「流石クレアが使っている香だね。凄く効いてるよ」
「結構高かったけどね。けど、効果があったようで良かったよ」
クレアとローヴァは少し安堵した様子で大きい球体を眺め、話し合う。メイドと話している時は然程警戒が解かれていなかったが、香が置かれて少しすると少しずつ警戒が解かれていったのだ。二人は少しずつ警戒が解かれた事に喜んでいたが、クレアは内心、予想以上の鎮静作用に少し驚き、これからは使う場所を考えないといけないと感じていた。
「後は彼の行動と彼の心情次第かな?」
「そうなるね。しっかりと監視していこうね」
「勿論だよ」
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監視を始めて三日目となった。時折休憩として外を軽く出歩いたりしているが、二人は軽く運動不足を感じ始める頃、ようやく監視が終了となった。彼が部屋から出る事を確認してクレアは魔道具を停止させた。
「ようやく終わったー!」
「クレア、お疲れ様。でも、まだ仕事は終わってないよ。この用紙を献上しないといけないからね」
手を合わせながら背を伸ばして一息ついているクレアに三日間行動した彼の様子を纏めた用紙の束を纏めながらローヴァが言い含める。
「分かってるよ。でもその前に紅茶を貰っても良いでしょ? 流石に疲れたよ」
「まあ、それくらいなら良いかな? すぐ献上城とも言われてないからね」
「だったら早く行こうよ。お気に入りの店が混んじゃうよ」
「クレア、分かったから少し落ち着いて。まだ開店もしてないと思うから大丈夫だよ」
ローヴァはそう言いながらクレアの後に追うようにして、監視部屋を出る。彼の持っている一枚目の用紙の一部分には結論が書かれており、そこには危険性がないと書かれていた。