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閑話 監視

閑話です! 少し難産……。次もまた閑話です。

すみません……投降は2日遅れます。

「ここまでは予定通りに進んでるね」

「そうだね。彼の情報もこの通り集まっているよ」


 宿の地下、宿の地図には載っていない立ち入り禁止の部屋に鎮座する3m程の大きさをした球体をクレアとローヴァは真剣な表情で眺めている。その球体の中には可視化された魔素が存在し、とある一室……監禁部屋の様子を形作っていた。


 可視化された魔素は単色で鮮明に形作る事が出来ないが、監禁部屋の様子が変化するにつれて少しずつ魔素の形を変化させているため、監禁部屋の様子が離れた場所からでも監視する事が出来ている。しかし、音は分からないため、少し不便であったりする。


 そんな監禁部屋を写す球体の下には大きな六角形の魔法陣が発動している。その魔法陣の一端から一筋の線が飛び出しており、その線は40cm程の大きさをした球体につながっている。その球体もまた、魔素が可視化されており、沢山の文字を形作っている。沢山の文字には身体情報、精神状態などが含まれており、カイ・アインのステータスの情報もまた含まれていた。


「……あの宮廷魔導士が持ってきた情報はやはり本当だったね。ステータスにしっかりと出てる」

「出来れば違って欲しかったよ。そうしたらただここで過ごしてもらうだけだからね」

「でも本当である以上、色々と見ていかないといけないよ。彼が今後、この国に対してどのような行動を取る危険性があるのか、見定めなければいけない。危険性がなければそのまま貴族として過ごしてもらって構わないし、危険性があれば最悪消えてもらう必要が出てくるね」


 クレアが少し冷めた目で彼を眺める。ローヴァもまた少し冷めた目で40cm程の球体を眺めながらクレアに言葉を発す。


「にしても彼は少し警戒しているね。これだと危険性があっても隠される可能性があるね」

「罰が軽すぎるからしょうがないよ。私だって警戒するよ?」

「それもそうだね。警戒を解くまで待つしかないかな……そうだ、間食を用意してみるのはどうだろう? そうしたら少し警戒を解くかもしれないよ」


 そんなローヴァの提案をクレアは一蹴する。


「それは駄目だよ。罰を受けているのに間食なんて貰えるなんて余計におかしいと思うでしょ?」

「なら、待つしかないのかな?」

「彼は軽すぎるから警戒しているんだから罰を重くしてみるのはどうかな? 例えば、食事をわざと粗末なものにするとか」

「それは良いね。料理人に頼んでくるよ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「そろそろ食事が届くかな?」

「ええ、そろそろのはずだよ……あ、届いたね」


 球体の中では、メイドがテーブルに粗末な料理を運んでいく様子が映し出される。粗末な料理は本来捨てるような食材のみで作られており、量は少なく、味付けもほとんどされていないものだ。


「クレア、彼の精神情報を見てごらん。食事を見て驚愕しているみたいだよ」

「本当だね。あ、でも少しずつ安心してきてもいるね。罰が軽すぎる事に納得したのかな? でもまだまだ警戒をしているね」

「でも、先程より警戒はしていないよ。この調子で警戒しないように仕向けていこうか」


 クレアとローヴァは警戒を解かせるために更なる手段を考え始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うーん、色々やってみたけどあまり警戒を解かないね」

「どうしてだろう? もう罰については妥当だと感じたのかな?」


 クレアは40cm程の球体を眺めながら考える。そうして、一つの単語を見て判明する。


「あ、もしかして魔素感知で魔道具の数が多い事に警戒しているのかもしれないよ」

「ああ、それならしょうがないね。あれでも、最低限しか用意してないのだから」

「やっぱり小さい方の球体だけの方が良かったかな?」

「それでも宿にある魔道具の数よりも多くなるよ。どっちみち警戒していたと思う」


 ローヴァは40cm程の球体を眺めて、どうしようかと考える。警戒は最初よりも大分減っているが、まだ警戒している。この警戒を解くには魔道具を何とかする必要があるのだろうか。だが、下手に魔道具を止めたりすると余計に警戒するだろう。


「あーもう、このまま様子を見よう。魔道具はもう何とか出来ないよ。警戒を解いてくれる事を祈るしかない」

「そんなすぐ諦めないでよ。そういう所は子供の頃から変わってないんだから」

「いたたたたたっ」


 クレアは諦めたローヴァの頬を引っ張る。痛そうにしているが、クレアは止めたりしない。


「分かった。もっと考えるから引っ張らないで!」

「分かったならいいよ。でも、その癖はいい加減に治した方が良いよ?」 

「僕も治した方が良いと思うだけど中々治らないんだよねえ」


 引っ張られた頬を撫でて、苦笑いを浮かべながらローヴァは返事をする。


「とりあえず彼はもう寝てしまうみたいだから監視を一旦終わりましょ。ちゃんと対策を考えてきてね? すぐに諦めないでよ?」

「分かってるからその手を降ろして……」

「分かっているのならよろしい」


 クレアは手を降ろして、40cm程の球体に少し処置を加えた後、球体に扉に向けて歩き出す。ローヴァはその後を追う様にして扉に向けて歩き出した。

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